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追加エピソード
第38話:準備 *
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*同居開始~本編最終話ラストに至る迄の物語*
今回少しRなので苦手な方はご注意ください
試すと約束してしまった以上、最低でも一度は挑戦しなくてはならない。やり方を調べ、日を改めて事前に準備をすることにした。
「スマホの検索履歴がヤバいことになった」
「オレなんか通販サイトのおススメ商品欄にアダルトグッズしか表示されなくなったぞ」
「え、マジで? ……ぶふっ」
互いのスマホを見せ合ってバカ笑いしつつも何となく気不味い雰囲気になるのは、これからやろうとしている行為が頭にチラついているからだろうか。
「し、寝室、行く?」
「……そうだな」
これまでに何度か抜き合いはしたが、ズボンと下着を少し下ろすだけに留まっていた。しかし、今からしようとしていることを考えれば服は脱いだ方がいい。
同居して以来、風呂の脱衣場やら着替えやらで互いの裸を見たことは何度もあった。同じ男の身体だ。見ても見られても何か思うはずもなく、ましてや性的に興奮することなどなかった。
でも今夜は違った。
明確な目的があって同じベッドの上で下着一枚だけの姿になっている。それだけで妙に落ち着かなかった。
まだ肌寒い時期なので布団を被り、その中でいつものように唇を重ねて抱き合う。普段は布越しでしか触れたことのない素肌に直接身体が当たる。手のひらを這わせるだけで互いに息が上がった。
「はは、これだけでなんか気持ちいいな」
「あったかい通り越して熱いくらいだよな」
「このまま寝ちまいたい」
「やだ、やる」
「チッ」
先送りに失敗し、龍之介は小さく舌打ちした。だが、身体を離したりはしない。自分の上に覆い被さっている謙太の首に腕を回したままだ。
枕元にあるローションを手に取り、謙太が指先を濡らす。そしてその手を下へと伸ばした。
「リュウ、足広げて」
「ん」
下着の中に潜り込んだ謙太の手はいつもと違い、更に下へと降りていった。目的の場所を探り当て、指先でなぞると、龍之介の身体が強張った。
「や、やっぱ抵抗あるな、これ」
他人に触られたことのない場所だ。抜き合いの時とは比べ物にならないほどの羞恥を感じている。
周辺をローションで十分に湿らせてから中指を挿し込む。
「うわ、きつ」
「これ無理だろ」
軽口を叩きながら緊張を解し、少しずつ動かしていく。指一本、第二関節部分までは問題なく入った。
「痛くない?」
「んー、痛くはない」
「気持ちいい?」
「正直それどころではない」
こんな場所に指を突っ込まれてすぐに気持ち良くなれるほど人体は簡単な構造をしていない。
この違和感を乗り越え、更に快楽を拾えるようになるまでにどれほどの時間が掛かるのか。先は長そうだ、と龍之介は溜め息をついた。
「もうちょっと足すか」
「うわ、冷た!」
布団を跳ね除け、直接ローションのボトルを股間の上で傾けて垂らす。冷えた液体が掛かり、龍之介が抗議の声を上げるが、謙太は構わず指を動かした。
「……ん、」
ぬめりのある液体が指の動きを滑らかにしたおかげで、先ほどよりすんなりと抜き差しが出来るようになった。代わりに粘り気のある水音が薄暗い寝室内に響く。
「あ、なんかラクになったかも」
「やっぱ滑りが良くないと駄目なんだな」
指一本は何とか受け入れられるようにはなったが、まだ快感を得る段階には至らない。
「もうちょい頑張れる?」
「ここまで来たら一緒だ。付き合ってやるよ」
今回少しRなので苦手な方はご注意ください
試すと約束してしまった以上、最低でも一度は挑戦しなくてはならない。やり方を調べ、日を改めて事前に準備をすることにした。
「スマホの検索履歴がヤバいことになった」
「オレなんか通販サイトのおススメ商品欄にアダルトグッズしか表示されなくなったぞ」
「え、マジで? ……ぶふっ」
互いのスマホを見せ合ってバカ笑いしつつも何となく気不味い雰囲気になるのは、これからやろうとしている行為が頭にチラついているからだろうか。
「し、寝室、行く?」
「……そうだな」
これまでに何度か抜き合いはしたが、ズボンと下着を少し下ろすだけに留まっていた。しかし、今からしようとしていることを考えれば服は脱いだ方がいい。
同居して以来、風呂の脱衣場やら着替えやらで互いの裸を見たことは何度もあった。同じ男の身体だ。見ても見られても何か思うはずもなく、ましてや性的に興奮することなどなかった。
でも今夜は違った。
明確な目的があって同じベッドの上で下着一枚だけの姿になっている。それだけで妙に落ち着かなかった。
まだ肌寒い時期なので布団を被り、その中でいつものように唇を重ねて抱き合う。普段は布越しでしか触れたことのない素肌に直接身体が当たる。手のひらを這わせるだけで互いに息が上がった。
「はは、これだけでなんか気持ちいいな」
「あったかい通り越して熱いくらいだよな」
「このまま寝ちまいたい」
「やだ、やる」
「チッ」
先送りに失敗し、龍之介は小さく舌打ちした。だが、身体を離したりはしない。自分の上に覆い被さっている謙太の首に腕を回したままだ。
枕元にあるローションを手に取り、謙太が指先を濡らす。そしてその手を下へと伸ばした。
「リュウ、足広げて」
「ん」
下着の中に潜り込んだ謙太の手はいつもと違い、更に下へと降りていった。目的の場所を探り当て、指先でなぞると、龍之介の身体が強張った。
「や、やっぱ抵抗あるな、これ」
他人に触られたことのない場所だ。抜き合いの時とは比べ物にならないほどの羞恥を感じている。
周辺をローションで十分に湿らせてから中指を挿し込む。
「うわ、きつ」
「これ無理だろ」
軽口を叩きながら緊張を解し、少しずつ動かしていく。指一本、第二関節部分までは問題なく入った。
「痛くない?」
「んー、痛くはない」
「気持ちいい?」
「正直それどころではない」
こんな場所に指を突っ込まれてすぐに気持ち良くなれるほど人体は簡単な構造をしていない。
この違和感を乗り越え、更に快楽を拾えるようになるまでにどれほどの時間が掛かるのか。先は長そうだ、と龍之介は溜め息をついた。
「もうちょっと足すか」
「うわ、冷た!」
布団を跳ね除け、直接ローションのボトルを股間の上で傾けて垂らす。冷えた液体が掛かり、龍之介が抗議の声を上げるが、謙太は構わず指を動かした。
「……ん、」
ぬめりのある液体が指の動きを滑らかにしたおかげで、先ほどよりすんなりと抜き差しが出来るようになった。代わりに粘り気のある水音が薄暗い寝室内に響く。
「あ、なんかラクになったかも」
「やっぱ滑りが良くないと駄目なんだな」
指一本は何とか受け入れられるようにはなったが、まだ快感を得る段階には至らない。
「もうちょい頑張れる?」
「ここまで来たら一緒だ。付き合ってやるよ」
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お付き合いはお試しセックスの後で。
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