【完結】魔王を倒して元の世界に帰還した勇者パーティーの魔法使い♂が持て余した魔力を消費するために仲間の僧侶♂を頼ったら酷い目に遭っちゃった話

みやこ嬢

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第3章 苦悩とトラウマ

17話・同じベッドで

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 諒真りょうまが元の世界に戻った理由は「大事な人がいる」から。
 しかし、恋人はいないと言う。
 他愛のない会話をしながら、創吾そうごの意識はそのことばかりを考えて、つい相槌が疎かになってしまう。

「大丈夫か?疲れたんだろ。オレの話し相手はいいから横になったらどうだ」
「まだ帰りの転移ぶんの魔力が回復していないしょう。せっかく顔を合わせたのだから一緒に過ごしたいですけど」
「そ、そうか」

 好意的な言葉に諒真は弱い。繰り返し「迷惑ではない」と言われ、実際に協力してもらい、助けられている。
 なにせこの世界で秘密を共有しているのは自分以外にたったの三人しかおらず、中でも創吾は同じ魔力持ちであり、同じ悩みを抱えている。

 諒真が気を許せる存在は創吾だけ。

 だからこそ、創吾が時折見せる表情や意味深な言葉に戸惑う。距離感を違えれば、この良き理解者を失ってしまうような気がしたからだ。

「ああ、諒真くんは昨夜寝てないんでしたね。どうせ二、三時間は待機しないといけないんですから、少し寝ますか?」

 休息を取れば魔力は自然回復する。昨夜、上限値を超えそうになった諒真は寝ずに魔法を使って危機を乗り越えた。二十代半ばだが、平気で徹夜できるほど若くはない。

「うーん……じゃあちょっとだけ寝ようかな」

 そう言いながら、諒真はクッションを抱きかかえ、ソファーの背もたれに身体を預けて眠ろうとした。
 しかし。

「そんなところで熟睡できるわけないでしょう。ホラ、こっちへ」
「え、え?」

 手を引かれ、連れて行かれた先は寝室だった。ダークブラウンを基調とした落ち着いた部屋のど真ん中に大きなベッドが置かれている。掛け布団をめくり、シーツをポンポンと叩きながら、創吾は笑顔で「ここで休んでください」と言った。

「いやいやいや、それは流石に悪いよ。おまえがベッドで寝てくれ」
「僕も寝ますよ。広いから大人ふたりでも大丈夫だと思いますけど」
「えええええ」

 まさか同じベッドに誘われるとは思ってもおらず、諒真は見るからに狼狽えた。その反応に、創吾は普段と変わらぬ表情で笑った。

「人の布団を使うのは嫌かもしれないけど、異世界での野営よりは寝心地いいですよ」
「あっ、いや、そういうわけじゃ……」

 なんてことのない普通の提案だとアピールしながら、創吾は先にベッドに上がり、戸惑う諒真に手を差し伸べた。

「二時間くらい仮眠を取ったら出前でも頼みましょうか。何が食べたいか考えといてくださいね」
「え、あ、うん」

 一緒に寝る、寝ないの選択肢を敢えて与えず、仮眠後の話を進める。すると、納得いかない表情で諒真はベッドに上がった。端のほうに転がり、すぐに掛け布団を頭まで被る。

 もう少しそばに寄ってくれてもいいのにと思いながらも、とりあえず一緒に寝てくれたことが嬉しくて、創吾も横になって目を閉じた。
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