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『後輩は見た! 硬派の先輩が男と歩いているその現場を!(4)』
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『後輩は見た! 硬派の先輩が男と歩いているその現場を!(4)』
「青葉センパイ!」
ウチは自分でもうわずった声で迫る。
「だから耳元で怒鳴るな、うるせぇよ!」
「あの男子、紹介してください! 彼氏じゃないんスよね!? チラ見しただけですけど、めっちゃイケメンで優しそうで……童貞っぽい人でしたよね!」
チラ見といったが、実際はガン見だ。
盗撮できなかった自分に絶望したほどだ。
ここで青葉センパイが断る様なら彼氏確定。
それならそれでウソをついたって事で、なんとか紹介してもらおう! おこぼれにも期待できる!
と思っていたのに。
「やめとけバカタレ。アタシだってもてあましてるのに、お前なんてヒーヒー泣かされて終わり……あ」
「え?」
「何でもない。それ食ったら巣に帰れ、五限始まるぞ」
「ちょっと、ちょっと? 青葉センパイ!? え、まさか? マジっすか! ヤ、ヤヤヤ、ヤッてんスか!?」
「……クソ」
「マ、マジっすか……」
「……」
あきらかに口が滑ったという顔で、何もしゃべらなくなる青葉センパイ。
この人、ウソをついて誤魔化すという事をしないので、都合の悪い質問なんかは黙ってスルーするか、悪態をついてみにらみつけてくるクセがある。
そして今の青葉センパイの眼力の強さは、ウチを視線で射殺して口をふさがんとしているほどだ。
しかし、話しぶりからして彼氏ではないような……と、すると。
まさか?
姉活!?
あんなイケメンさんが姉活!?
「しょ、紹介! して、くだ……さいぃ」
つい声が細くなっていく。
よくよく考えたら、いったいいくらかかるんだって話で。
ウチの小遣いなんて、下に妹がたくさんいるせいで雀の涙だ。
実家の手伝いのバイト代だって高が知れてる。
けれど、こんなチャンスは滅多にない。
姉活をやってる若い男は確かにいるらしいが、金があっても競争率が高すぎてまず出会えない。
けど、センパイの口ききならオトモダチ価格、いや、後輩価格とかでなんとか、おさわりだけでも。
いや、そもそもセンパイはいったいいくらお支払いしてるんスか!?
「ち、ちなみに、おいくら、くらい、なんスかね……」
「は?」
そう聞くと、青葉センパイは首を少しかしげた後、ああ、とうなずいた。
「アホか! 金のカラミなんかねーよ!」
は!?
なら、ってことは!?
「え、じゃあ、やっぱり彼氏ッスか!」
「……」
だから、なんでそこで黙るんスかね。
なんだかよくわからない関係でありそうなものの、青葉センパイとあのイケメン先輩がただのクラスメートで隣の席ってだけの関係でない事は確かっぽい。
であれば、やっぱり、ご紹介だけでもしていただきたい!
近くで匂いとか嗅いでみたいし、ラッキースケベとかも期待したい!
「と、とにかく、紹介してください! かわいい後輩の一生のお願いッス! でないとウチの軽い口が火を噴きますよ! 青葉センパイがイケメン先輩を脅して関係を迫ったって!」
「誰がかわいい後輩だ。あとそれ、脅迫っつーんだぞ?」
う、さすがに調子に乗りすぎた。
しかしそんなウチを見て、ため息をつく青葉センパイ。
「はぁー……わかった。ただし絶対に私とアイツが一緒にいた事は他言無用にしろよ? あと、その勘違いと見当はずれの脅迫と交渉は本人にしろ。言っとくが、アタシはどーなっても知らねーからな」
やった!
まさか本当に紹介してもらえるなんて! 夢みたいだ!
ウチはその喜びを返事にのせた。
「うっす!! 絶対に誰にもしゃべらないッス!!」
「声がでけぇ」
ウチはゲンコツで頭のてっぺんをドつかれた。痛い。
「ち、ちなみにあのイケメン先輩に口止め料としての、こ、こうしょう? っていうのは、その、手ぇ、握らしてもらったりとかもイケそうですかね!?」
「手を、握る……?」
あ、さすがにこれはマズった!
あきらかに青葉センパイの顔がひきつった。
やっぱりイケメン先輩は青葉センパイのいい人じゃんか!
ぶん殴られるか、蹴っ飛ばされるか?
けど、ウチだって、こんなチャンス、逃がしたくな……。
「はぁぁぁああ」
しかし青葉センパイは怒るんじゃなく、さっきよりもはるかに長い溜息をついた。
「わかったわかった。それっくらいならアタシが話通しておいてやる。好きなだけ握って握られてこい」
「え……?」
一瞬、ウチは青葉センパイの言っていることが理解できなかった。
それくらい?
それくらいいいぃぃぃい!?
ウチ、ホントに男の人の、あんなイケメンさんの手ぇ、さわれるんスか!?
「なんだよ? お前が言い出したんだろうが」
ウチは自分で自分のほほを張り飛ばした。
「な、なにやってんだ。大丈夫か、薫?」
「痛い! 夢じゃない!」
「……気持ちはわからんでもないけどな、口の端から血ぃ出てるぞ」
「鉄の味がこんなに甘く感じたこと初めてッス! あはは、痛い 夢じゃないッス!!」
「青葉センパイ!」
ウチは自分でもうわずった声で迫る。
「だから耳元で怒鳴るな、うるせぇよ!」
「あの男子、紹介してください! 彼氏じゃないんスよね!? チラ見しただけですけど、めっちゃイケメンで優しそうで……童貞っぽい人でしたよね!」
チラ見といったが、実際はガン見だ。
盗撮できなかった自分に絶望したほどだ。
ここで青葉センパイが断る様なら彼氏確定。
それならそれでウソをついたって事で、なんとか紹介してもらおう! おこぼれにも期待できる!
と思っていたのに。
「やめとけバカタレ。アタシだってもてあましてるのに、お前なんてヒーヒー泣かされて終わり……あ」
「え?」
「何でもない。それ食ったら巣に帰れ、五限始まるぞ」
「ちょっと、ちょっと? 青葉センパイ!? え、まさか? マジっすか! ヤ、ヤヤヤ、ヤッてんスか!?」
「……クソ」
「マ、マジっすか……」
「……」
あきらかに口が滑ったという顔で、何もしゃべらなくなる青葉センパイ。
この人、ウソをついて誤魔化すという事をしないので、都合の悪い質問なんかは黙ってスルーするか、悪態をついてみにらみつけてくるクセがある。
そして今の青葉センパイの眼力の強さは、ウチを視線で射殺して口をふさがんとしているほどだ。
しかし、話しぶりからして彼氏ではないような……と、すると。
まさか?
姉活!?
あんなイケメンさんが姉活!?
「しょ、紹介! して、くだ……さいぃ」
つい声が細くなっていく。
よくよく考えたら、いったいいくらかかるんだって話で。
ウチの小遣いなんて、下に妹がたくさんいるせいで雀の涙だ。
実家の手伝いのバイト代だって高が知れてる。
けれど、こんなチャンスは滅多にない。
姉活をやってる若い男は確かにいるらしいが、金があっても競争率が高すぎてまず出会えない。
けど、センパイの口ききならオトモダチ価格、いや、後輩価格とかでなんとか、おさわりだけでも。
いや、そもそもセンパイはいったいいくらお支払いしてるんスか!?
「ち、ちなみに、おいくら、くらい、なんスかね……」
「は?」
そう聞くと、青葉センパイは首を少しかしげた後、ああ、とうなずいた。
「アホか! 金のカラミなんかねーよ!」
は!?
なら、ってことは!?
「え、じゃあ、やっぱり彼氏ッスか!」
「……」
だから、なんでそこで黙るんスかね。
なんだかよくわからない関係でありそうなものの、青葉センパイとあのイケメン先輩がただのクラスメートで隣の席ってだけの関係でない事は確かっぽい。
であれば、やっぱり、ご紹介だけでもしていただきたい!
近くで匂いとか嗅いでみたいし、ラッキースケベとかも期待したい!
「と、とにかく、紹介してください! かわいい後輩の一生のお願いッス! でないとウチの軽い口が火を噴きますよ! 青葉センパイがイケメン先輩を脅して関係を迫ったって!」
「誰がかわいい後輩だ。あとそれ、脅迫っつーんだぞ?」
う、さすがに調子に乗りすぎた。
しかしそんなウチを見て、ため息をつく青葉センパイ。
「はぁー……わかった。ただし絶対に私とアイツが一緒にいた事は他言無用にしろよ? あと、その勘違いと見当はずれの脅迫と交渉は本人にしろ。言っとくが、アタシはどーなっても知らねーからな」
やった!
まさか本当に紹介してもらえるなんて! 夢みたいだ!
ウチはその喜びを返事にのせた。
「うっす!! 絶対に誰にもしゃべらないッス!!」
「声がでけぇ」
ウチはゲンコツで頭のてっぺんをドつかれた。痛い。
「ち、ちなみにあのイケメン先輩に口止め料としての、こ、こうしょう? っていうのは、その、手ぇ、握らしてもらったりとかもイケそうですかね!?」
「手を、握る……?」
あ、さすがにこれはマズった!
あきらかに青葉センパイの顔がひきつった。
やっぱりイケメン先輩は青葉センパイのいい人じゃんか!
ぶん殴られるか、蹴っ飛ばされるか?
けど、ウチだって、こんなチャンス、逃がしたくな……。
「はぁぁぁああ」
しかし青葉センパイは怒るんじゃなく、さっきよりもはるかに長い溜息をついた。
「わかったわかった。それっくらいならアタシが話通しておいてやる。好きなだけ握って握られてこい」
「え……?」
一瞬、ウチは青葉センパイの言っていることが理解できなかった。
それくらい?
それくらいいいぃぃぃい!?
ウチ、ホントに男の人の、あんなイケメンさんの手ぇ、さわれるんスか!?
「なんだよ? お前が言い出したんだろうが」
ウチは自分で自分のほほを張り飛ばした。
「な、なにやってんだ。大丈夫か、薫?」
「痛い! 夢じゃない!」
「……気持ちはわからんでもないけどな、口の端から血ぃ出てるぞ」
「鉄の味がこんなに甘く感じたこと初めてッス! あはは、痛い 夢じゃないッス!!」
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