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『後輩は見た! 硬派の先輩が男と歩いているその現場を!(5)』
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『後輩は見た! 硬派の先輩が男と歩いているその現場を!(5)』
――そうして三日後の放課後。
ウチは青葉センパイに指定された日時通り、体育館裏のトイレにやってきた。
そこには見慣れた青葉センパイと……一瞬しか目に入らなかったが、まぶたに焼き付いている美形の先輩が立っていた。
いや、青葉センパイによりかかっていた。
ええ、あんなに女にくっついて、イヤがらない男っているんだ。
しかも腕とか胸にあたってないスか?
なんか……腕が青葉センパイの胸の間にはさまってるレベルなんスけど?
おそるおそる近づいていくと、お二人がウチに気付く。
「ふうん? ボクたちを脅してる、わるーい後輩ちゃんって、この子?」
「コイツがアタシらの事をペラペラしゃべんねーよう、口止めで仕方なく紹介するだけだ。約束、忘れるなよ?」
「ふふ、心配性だね。手を握ってあげればいいんだっけ?」
「……手を握ってやる”だけ”だ」
なにやら仲良さそうにお話してる。羨ましい。
その後、イケメンセンパイがウチに近寄ってきた。
「初めまして、後輩ちゃん」
「ちゃ、チャス!」
イケメンセンパイは青葉センパイより少し高いくらい。
青葉センパイには悪いがウチは背だけは自信があって、男受けがする140センチ台!
ま、ギリギリ149センチなんスけどね。
一方、間近で見る男のセンパイは体が大きくて厚くて。
声も女よりずいぶん低くて迫力があった。
「ふわぁ……」
つい声が漏れた。
だってマジで美形なんスよ! 目が離せないくらいに!
「夏木さんから聞いてるよ? ボクら先輩を脅す後輩ちゃんがいるって」
「あ、あの、その……それは、言葉のアヤというかですね……」
しどろもどろと言い訳する私。
確かにあの時は衝動的にそんなことを口走ったけど!
ウチだって青葉センパイが本気にするとは思ってなかった。
ゲンコツくらっておしまいの話だと思ったんスよ!
「あ、あう、あの……」
そう釈明したいのに、ウチの口は動かない。
「んー? そんなに緊張しないで? それともボクの事、怖いかな?」
「あ、い、いえ、いえ! その、すごい、カッコいいなって!」
バカか、ウチは。
これって、男が一番いやがるおべっかじゃねーか!
と、口から出たばかりの言葉を飲み込みたい思いだったが、イケメンセンパイは嬉しそうにして青葉センパイに振り返る。
「ねえ、夏木さん、今の聞いた? カッコいいって言われちゃった。夏木さんはどう思う? ボクってカッコいいかな?」
「……見た目だけは上等だよ、クソ野郎。薫、オメーももっとビッとしろ!」
信じられない。
青葉センパイって、こんなイケメンにもツッパるんスか!?
ウチなんて、もう情けないくらい借りてきた猫状態なのに!
ビッとしろ、なんて言われても、とっくに緊張でビッと直立不動になってますよぉ!
「薫っていうんだ? 薫ちゃんって呼んでもいい?」
「あ、あの、は、はい! お、お好きなように!」
薫ちゃん、と男の人の声で! 初めて名前を呼ばれた!
苗字くらいは男の子に呼ばれた事はあったけど(小学校低学年ぐらいの昔ッスけどね)男女を意識するようになってからそんな事すらなくなった。
なのに、こんな、近くで!
すごいカッコいい先輩に!
名前、呼ばれた!
感動でウチが頭をクラクラさせていたら。
「好きなように呼んでいいの? じゃあ……薫」
「へ……へ? へ? 薫、薫?」
露骨に動揺するウチは、ただ、ただ、自分の耳に残る男の声で呼ばれた自分の名の響きを反芻した。
――そうして三日後の放課後。
ウチは青葉センパイに指定された日時通り、体育館裏のトイレにやってきた。
そこには見慣れた青葉センパイと……一瞬しか目に入らなかったが、まぶたに焼き付いている美形の先輩が立っていた。
いや、青葉センパイによりかかっていた。
ええ、あんなに女にくっついて、イヤがらない男っているんだ。
しかも腕とか胸にあたってないスか?
なんか……腕が青葉センパイの胸の間にはさまってるレベルなんスけど?
おそるおそる近づいていくと、お二人がウチに気付く。
「ふうん? ボクたちを脅してる、わるーい後輩ちゃんって、この子?」
「コイツがアタシらの事をペラペラしゃべんねーよう、口止めで仕方なく紹介するだけだ。約束、忘れるなよ?」
「ふふ、心配性だね。手を握ってあげればいいんだっけ?」
「……手を握ってやる”だけ”だ」
なにやら仲良さそうにお話してる。羨ましい。
その後、イケメンセンパイがウチに近寄ってきた。
「初めまして、後輩ちゃん」
「ちゃ、チャス!」
イケメンセンパイは青葉センパイより少し高いくらい。
青葉センパイには悪いがウチは背だけは自信があって、男受けがする140センチ台!
ま、ギリギリ149センチなんスけどね。
一方、間近で見る男のセンパイは体が大きくて厚くて。
声も女よりずいぶん低くて迫力があった。
「ふわぁ……」
つい声が漏れた。
だってマジで美形なんスよ! 目が離せないくらいに!
「夏木さんから聞いてるよ? ボクら先輩を脅す後輩ちゃんがいるって」
「あ、あの、その……それは、言葉のアヤというかですね……」
しどろもどろと言い訳する私。
確かにあの時は衝動的にそんなことを口走ったけど!
ウチだって青葉センパイが本気にするとは思ってなかった。
ゲンコツくらっておしまいの話だと思ったんスよ!
「あ、あう、あの……」
そう釈明したいのに、ウチの口は動かない。
「んー? そんなに緊張しないで? それともボクの事、怖いかな?」
「あ、い、いえ、いえ! その、すごい、カッコいいなって!」
バカか、ウチは。
これって、男が一番いやがるおべっかじゃねーか!
と、口から出たばかりの言葉を飲み込みたい思いだったが、イケメンセンパイは嬉しそうにして青葉センパイに振り返る。
「ねえ、夏木さん、今の聞いた? カッコいいって言われちゃった。夏木さんはどう思う? ボクってカッコいいかな?」
「……見た目だけは上等だよ、クソ野郎。薫、オメーももっとビッとしろ!」
信じられない。
青葉センパイって、こんなイケメンにもツッパるんスか!?
ウチなんて、もう情けないくらい借りてきた猫状態なのに!
ビッとしろ、なんて言われても、とっくに緊張でビッと直立不動になってますよぉ!
「薫っていうんだ? 薫ちゃんって呼んでもいい?」
「あ、あの、は、はい! お、お好きなように!」
薫ちゃん、と男の人の声で! 初めて名前を呼ばれた!
苗字くらいは男の子に呼ばれた事はあったけど(小学校低学年ぐらいの昔ッスけどね)男女を意識するようになってからそんな事すらなくなった。
なのに、こんな、近くで!
すごいカッコいい先輩に!
名前、呼ばれた!
感動でウチが頭をクラクラさせていたら。
「好きなように呼んでいいの? じゃあ……薫」
「へ……へ? へ? 薫、薫?」
露骨に動揺するウチは、ただ、ただ、自分の耳に残る男の声で呼ばれた自分の名の響きを反芻した。
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