【R18】転生先は男女比１：３０の貞操逆転世界～ビッチを夢見る三十路の魂～

『後輩は見た！ 硬派の先輩が男と歩いているその現場を！（３）』

『後輩は見た！　硬派の先輩が男と歩いているその現場を！（３）』

とっさに校舎の陰に身を隠した自分のすぐ横を気づかずに通っていく二人。

わずかに聞こえた会話は、夏木が声を荒げているようで、逆に男の方の声はなだめるようだった。

まるで、別れ話か、それに近いようなもめ事でやりあっている、そんな雰囲気が感じられた。

「……彼氏、とか？」

夏木という女は顔だけ見れば美人の部類だが、それを貶めてあまりあるほどに身長が高く、何より胸が大きい。

長身巨乳。この世で最も男から嫌われるタイプ。

彼氏ができる、なんてありえるのだろうか？

「けど、青葉センパイなら、ありえる？」

ぶっきらぼうで無愛想だが面倒見もいいし、料理だってうまい。

背丈と胸以外に欠点がない。

ちょっと目つきはキツいが美人でもある。

自分が男ならほおっておかない、とも思うが、実際、男だったらやっぱり外見で判断してしまうだろうから、夏木の良さに気付くこともないだろう。

「ちゃんと人の内面を見る男っているもんなんスね……」

薫は信じられないものを見た結果。

「これは明日、青葉センパイに聞くしかないッスねー」

直接、問いただすという、まっすぐな不良らしい行動に出る事にした。




＊＊＊



「んチャス！　青葉センパイ！」
「うるせえ、いちいち声がデカいんだよ……ほれ、食うか？」
「あざス！　いただきます！」
「うるせえっての」

昼休み。

いつもの校舎裏で一人、サンドイッチをくわえていた青葉センパイが、ウチの為に別のタッパーに入ったサンドイッチを差し出した。

ちなみに余り物だというサンドイッチをくれる時、例外なく機嫌が悪い。

照れ隠し、という性格でもないだろうから、いまだ理由は謎だ。

ウチは拝んでからそれを受け取る。

野菜サンドが二つと、おお、カツサンドが二つ！　今日はツイてる！

ウチは女にしてはよく食べる方なので、これはありがたい！

青葉センパイの気分やお店の残り物次第でサンドイッチの具は変わるらしい。

ウチはそれを頬張りながら、昨日の事をたずねる。

「青葉へえんふぁい」
「行儀が悪い！　食ってからしゃべれ」

青葉センパイは案外このあたりに厳しい人なんスよね。

「ふぁい！　んぐっ……青葉センパイ！」
「なんだ」
「昨日、連れてた男、なんスか？　もしかして彼氏ッスか？」

青葉センパイが驚いた顔でウチを見た。

「……見たのか？」
「ええ、まぁ」
「何を見た？」

目つきが怖い。

ヘタに勘ぐってカマかけたりとかはヤバそうッスね。

「いえ、ここでボーっとしてたら、通りかかった所をチラっと」
「……あー」

ウチは素直にそう言った。

青葉先センパイが、うーん、と悩むようにうなる。

「アイツはクラスメートだ。転入生でな。隣の席なんだ」
「マジすか。センパイの席、男の横っスか！」
「近い近い」

男は嫌いだ。

けど、女の身でもある事はウチ自身も否定できない。

近くに男がいるならチラ見で目の保養だってできるし、ラッキースケベのチャンスだってある。

これはもう紹介してもらうしか！　っと。

ついつい先走った、迫ってしまった。

お、先輩、なんかいい匂いするっスね？

もしかして、隣に男が一日中横にいるから、その移り香とか？

ますますもって羨ましい！　独り占めはズルいっすよねー！？