63 / 437
『幕間:二年二組、立花恵子の場合(前)』
しおりを挟む
『幕間:二年二組、立花恵子の場合(前)』
アタシには一組に仲のいい友人がいる。
いや、いた。
過去形なのは三分ほど前、SNSのメッセージを受け取った時に長かった友人の縁を切ったからだ。
まったくもってうらやま……許せない。
スマホに送られてきた写真には、元友人の加奈子が男子と肩を並べて一緒に映っている。
男子は笑顔だ。
掃除当番を変わったからとか、昼食のパンを献上したとか、そういう交換条件で撮影した写真では絶対に出ない笑顔で彼は加奈子と肩を寄せ合っている、いや、あきらかに接触している。
加奈子ももちろん笑顔だが、彼の爽やかさの引き立て役といわんばかりの下品なにやけ顔だ。
この写真と一緒にそえられたメッセージには『二組には男子が二人いるから……なんだったっけ?』の一文。
「……ぐぬぬぬぬ」
事の起こりは進級直後。
一組になった加奈子に対して、アタシの二組には男子が二人いる、という自慢をしたからだ。
しかもそのうちの一人は席が隣で、朝と帰りなら、たまに挨拶も返してくれる。
アタシは今年の幸運に浮かれまくり、ここぞとばかりに盗み撮りした写真を見せびらかした。
加奈子からは殺気のこもった視線と罵声を向けられたが、負け犬の遠吠えが気持ちいいーと言い返し、マウントをとりまくっていたのだが。
一組にまさかの転入生!
もともと進級に合わせたタイミングで転入する予定だったらしいが、ご家庭の事情か何かで日程がズレこんだらしい。
一組には当初、男子がいなかったし、クラス名簿にも男子生徒の名前はなかった為、一組のクラスメートたちは絶望していた。
そこから男子が転入してくるという神展開。
彼がやってきて一ヶ月も経っていないのに、すでにクラスになじみ皆と良い関係を築いているそうだ。
確かに一組からそんな噂は流れてきていたが信じられないと思っていた。
だが、ついさきほど友人から送られてきた写真がコレだ。
すさまじいまでのイケメ……いや、美少年。
イケメンなんて軽々しい呼び方では不相応。
すさまじい、美・少・年、だった。
構ってあげたい、守ってあげたい、そんな母性本能をえぐってくるような雰囲気をもった彼は、宮城京という名前らしい。
非常に温厚で、噂通り、女子に対しても常に柔和な態度で対応してくれるそうだ。
なんと盗撮がバレても特に何も言わなかったという。
むしろ頼めば一緒に写真も撮ってくれるほどの天使と判明して以降、盗撮などのイリーガルな事をする者は私刑(宮城君に一週間接近禁止)対象となったそうだ。
それはそうだ。
本人が許可してくれるのに、気を悪くさせて女子に対する態度が硬化したら私刑どころか死刑モノだ。
加奈子もダメモトで一緒に写真を、それもツーショットでと頼んだらフツーにポーズまでつけて撮ってくれた。
二人で指をあわせて、ハートマークをつくるアレだ。
こんな事をただのクラスメートにしてくれる男子が、それもこんな美少年が? 信じられない。
対してこっちの二組の男子二人は一般的な男子生徒だ。
用もなく話しかければ不機嫌になるし、不意に近づこうとすると警戒されるか逃げられる。
体育教師の冬原の恰好には、常に嫌悪感丸出しの視線を向けている。
シャツ一枚の上にジャージを羽織っているだけってのはアタシからしてもムサいというか、暑苦しいと思うが体育教師のフォーマットみたいなものだし、むしろ四月なんて微妙に寒い季節によくやるよと思う。
そんな冬原は宮城君の担任でもあるのだが、そういった嫌悪感などもないらしくいたって普通にすごしているそうだ。
認めたくないが……やはり美人は得か。
それに胸もスゴい。完全なまったいら。正直憧れる。
そんな話はどうでもいい。
アタシは元友人の加奈子に電話をかける。
メールやメッセージではダメだ。
直接、話す必要がある。
しばらくして、加奈子が出た。
『もしもーし? どこの負け犬さんですかぁ?』
加奈子の声はこれまでの長い付き合いの中でも、最上級に機嫌のいい声だった。
アタシには一組に仲のいい友人がいる。
いや、いた。
過去形なのは三分ほど前、SNSのメッセージを受け取った時に長かった友人の縁を切ったからだ。
まったくもってうらやま……許せない。
スマホに送られてきた写真には、元友人の加奈子が男子と肩を並べて一緒に映っている。
男子は笑顔だ。
掃除当番を変わったからとか、昼食のパンを献上したとか、そういう交換条件で撮影した写真では絶対に出ない笑顔で彼は加奈子と肩を寄せ合っている、いや、あきらかに接触している。
加奈子ももちろん笑顔だが、彼の爽やかさの引き立て役といわんばかりの下品なにやけ顔だ。
この写真と一緒にそえられたメッセージには『二組には男子が二人いるから……なんだったっけ?』の一文。
「……ぐぬぬぬぬ」
事の起こりは進級直後。
一組になった加奈子に対して、アタシの二組には男子が二人いる、という自慢をしたからだ。
しかもそのうちの一人は席が隣で、朝と帰りなら、たまに挨拶も返してくれる。
アタシは今年の幸運に浮かれまくり、ここぞとばかりに盗み撮りした写真を見せびらかした。
加奈子からは殺気のこもった視線と罵声を向けられたが、負け犬の遠吠えが気持ちいいーと言い返し、マウントをとりまくっていたのだが。
一組にまさかの転入生!
もともと進級に合わせたタイミングで転入する予定だったらしいが、ご家庭の事情か何かで日程がズレこんだらしい。
一組には当初、男子がいなかったし、クラス名簿にも男子生徒の名前はなかった為、一組のクラスメートたちは絶望していた。
そこから男子が転入してくるという神展開。
彼がやってきて一ヶ月も経っていないのに、すでにクラスになじみ皆と良い関係を築いているそうだ。
確かに一組からそんな噂は流れてきていたが信じられないと思っていた。
だが、ついさきほど友人から送られてきた写真がコレだ。
すさまじいまでのイケメ……いや、美少年。
イケメンなんて軽々しい呼び方では不相応。
すさまじい、美・少・年、だった。
構ってあげたい、守ってあげたい、そんな母性本能をえぐってくるような雰囲気をもった彼は、宮城京という名前らしい。
非常に温厚で、噂通り、女子に対しても常に柔和な態度で対応してくれるそうだ。
なんと盗撮がバレても特に何も言わなかったという。
むしろ頼めば一緒に写真も撮ってくれるほどの天使と判明して以降、盗撮などのイリーガルな事をする者は私刑(宮城君に一週間接近禁止)対象となったそうだ。
それはそうだ。
本人が許可してくれるのに、気を悪くさせて女子に対する態度が硬化したら私刑どころか死刑モノだ。
加奈子もダメモトで一緒に写真を、それもツーショットでと頼んだらフツーにポーズまでつけて撮ってくれた。
二人で指をあわせて、ハートマークをつくるアレだ。
こんな事をただのクラスメートにしてくれる男子が、それもこんな美少年が? 信じられない。
対してこっちの二組の男子二人は一般的な男子生徒だ。
用もなく話しかければ不機嫌になるし、不意に近づこうとすると警戒されるか逃げられる。
体育教師の冬原の恰好には、常に嫌悪感丸出しの視線を向けている。
シャツ一枚の上にジャージを羽織っているだけってのはアタシからしてもムサいというか、暑苦しいと思うが体育教師のフォーマットみたいなものだし、むしろ四月なんて微妙に寒い季節によくやるよと思う。
そんな冬原は宮城君の担任でもあるのだが、そういった嫌悪感などもないらしくいたって普通にすごしているそうだ。
認めたくないが……やはり美人は得か。
それに胸もスゴい。完全なまったいら。正直憧れる。
そんな話はどうでもいい。
アタシは元友人の加奈子に電話をかける。
メールやメッセージではダメだ。
直接、話す必要がある。
しばらくして、加奈子が出た。
『もしもーし? どこの負け犬さんですかぁ?』
加奈子の声はこれまでの長い付き合いの中でも、最上級に機嫌のいい声だった。
55
あなたにおすすめの小説
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます
neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。
松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。
ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。
PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。
↓
PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる