大魔法使いに生まれ変わったので森に引きこもります

かとらり。

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九話 これからよろしくね

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「うわぁぁああ!!!!」

 という叫び声で僕は目を覚ました。

「な、なに…」

 眠い目を擦りながら起き上がる。

「あ、あなた誰なんですか!?」

 横を見ると昨日の男の子が目を覚ましていたようだった。

「なんで僕は裸なんですか…?へ、変態!!」

 ぐさ、
 へ、変態って…傷つくんだけど?

「勝手に服脱がせたのはごめんね?でも、君の服血だらけだったから」
「……そういえば、傷ない…」

 少年は呆然として自身の体を見た。

「僕が治した…けど」
「あなたが?……ありがとうございます」
「どうしてあんな怪我したか聞いていい?」
「…足の怪我は魔物に…後の怪我はこの森に入った瞬間に魔法が発動して…」

 うわーじゃあほとんど僕のせいじゃーん。
 いやでも知らなかったんだって。
 そんな物騒な結界張ってたなんて…

「と、ところで君の名前は…?」
「…カイト」
「へぇ、可愛い名前だね」
「お兄さんの名前は?」

 お、お兄さん…
 不覚にもキュンとしてしまった。

「お兄さんの名前はノアだよ。ノアお兄ちゃんって呼んでね♡」
「…ノアさん」

 少年は居心地悪そうにしている。

「あの、できれば服が欲しいんですけど…」
「あ、そ、そうだよね!うーんと、まってて、今作るから」
「作るって…」

 僕は杖を取り出してそこら辺の布の切れ端を持ってきた。
 何もなくても作れるけど、こうして材料になるものがある方が楽に作れる。

「えいっ…」

 杖を振ると、布は一着の服になった。

「こんな感じの服でもいい?」
「すごい…」

 服を手渡すとカイトくんはいそいそとそれを着た。

「カイトくんはいくつなの?」
「…5歳です」
「へぇ…じゃあまだまだ子供だねぇ」

 5歳といえば、小学生に上がるくらいだろうか。

 そんな歳の子があんな傷だらけになるなんてどんな事情があったのだろう。

「子供ではありません」
「どうしてこの森に来たの?」
「……父上が」

 カイトくんがぎゅっと服を掴む。

「父上が、この森の魔法使いが守ってくれるかもって…」

 父上が?僕ってそんなに親切な魔法使いで有名なの?
 全く身に覚えがない。

「もちろん小さい子は守るけど…カイトくんはなにから守って欲しいの?」
「魔王を倒された恨みを持っている魔物に狙われているんです」
「カイトくんが?なんで?」
「……僕の父は勇者です」

 えぇええ!!!?
 驚きすぎて声も出ない。

 た、確かに似てる…

「そうか…そりゃ大変だね…」

 なるほど、確かに勇者には親切にしてあげた気もする。だから息子に助けてくれるかもなんて言ったのか。

「お父さんはどうなったの…?」
「母上と一緒に…魔物に…でも、僕だけは守ってくれました…」

 泣かない様に我慢するカイトくん。
 健気な姿にこっちが涙が出てしまう。

「た、大変だったね…」
「なんであなたが泣くんですか」
「大丈夫、カイトくんは僕が守ってあげるからね…」

 涙ながらに抱きしめてあげると、照れたのかカイトくんは少し抵抗する。

「子供扱いはやめてくださいっ…」
「僕には甘えていいんだよ」
「や、やめっ…」
「なーにやってんの?」

 いつの間にやら入って来ていたユリが僕の首根っこを掴んでカイトくんから引き離した。

「ユリ」
「目ぇ覚めたの?」
「そうみたい」
「こ、この人は…?」
「この子はユリ。スライムだよ」
「スライム…」

 ユリは腕をうりょんと伸ばしてカイトの頭を撫でた。

「うわぁっ!腕がっ…」
「いまは擬態してるだけだからこんなふうに腕を伸ばしたりできるんだよ」
「ちなみに腕を増やしたりもできる」

 ユリは背中から腕を何本も出した。
 気持ち悪いな。

「ここの塔には僕とユリしかいないよ」
「とりあえずご飯の準備しよーよ」

 僕とユリはカイトくんのためにご飯を用意することにした。
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