8 / 38
八話 決心
しおりを挟むベットは一つしかないので、僕がいつも使っているベットに男の子を寝かせた。
「ノアはどこで寝るつもり?」
そんなやつ床に寝かせときなよ、とユリは言うけど、怪我人にそんな扱いできない。
「ユリ、ベットに変身できたりしないの?」
「はぁ?この俺様をベットにして寝るつもり?」
「うん」
「うんじゃねーよ」
結局とりあえず飯にしようという話になり、鴨を捌くことにした。
「今日は僕疲れちゃったからユリ作って」
「……いいけど、後でご褒美ちょうだいよ」
メイド服を翻してユリは厨房に向かった。
「さてと…」
僕は眠っている男の子の服を脱がせてやった。
服は血だらけだった。
(これは捨てるしかなさそう…)
服を全部脱がせてから体を拭くと、目に毒なほど白い肌が現れた。
治癒魔法は成功していた様で外傷は無くなっていた。
「なにがあったか知らないけど、こんな小さい子が可哀想に…」
着せるものもないので、とりあえず裸のまま布団をかけておいた。
「ノアーご飯できたよぉ」
「わーありがとうユリ~」
ユリが二人分のご飯を持って現れた。
「…ねぇ、その子供どうするつもりなの?」
食べるの?と聞かれて僕は口に入れていた鴨肉を吐き出した
「ば…ばかっ!食べるわけないでしょうが!!」
「じゃあ俺が食べてもいい?」
「良くないよ!」
「じゃあ育てるつもり?ノアに子育てなんて無理でしょ」
「いや…村に預ければ…」
「こんな森にくるだから訳ありでしょ?引き受けてくれる人、居んのかな?」
「……ユリのいじわる!!」
「いじわるってなんだよ!俺は事実を教えてるだけだ」
僕はもぐもぐ鴨肉を頬張る。
わかってるよ、でもほっとけないじゃん。
でも、人間を育てるのは難しいのは本当だから…
まぁ、かくいう僕も元人間なんだけど…
僕たちはご飯をそんなに食べなくてもいい。
でもこの子は食べなきゃいけない。
しかも僕たちは肉か野菜だけでもいいけど、この子は違う。
ちゃんとバランスの取れたものを食べさせなきゃ…
「…ユリ、おねがい。手伝って…」
「…」
「この子が一人で生きていける様になるまで、面倒見てあげたい」
「……俺は報酬なしには動かないよ」
ニヤリとユリが笑う。
「何が欲しいわけ?」
「そうだなぁ、子育てって疲れるからさぁ…お腹空くでしょ?」
「…」
「お腹いっぱい食べたいな」
ユリの主な食べ物は魔力、精力だ。
つまりユリは僕の精液が飲みたいって言ってるんだ。
精液はほんとにときどき大きなことを頼む時だけあげていた。
「…月に、一回なら」
「えぇ?ご飯は毎日三回もあるんだよ?」
「それは人間の話でしょ?」
「週に一回」
「…」
「そうじゃなきゃ手伝わないよ」
「…分かった」
じゃあさっそくいただこっかな
そういうや否や、ユリは自分のお皿の鴨肉を腹に入れた。
僕はというとホカホカの鴨肉がまだ全然残っている。
「え、今から…!?」
「うん」
ぐにゃんとユリの体が歪み始める。
「ま、まって!また服溶かすつもり!?」
「だって久しぶりのご馳走だもん、待ってらんないよ」
「脱ぐから、脱ぐから待って!」
鴨肉をその辺に置いて、ズボンを脱ぐ。
スライムの形に戻ったユリはうにょうにょと待っている。
「ほら、食べていいよ」
するとユリが飛び込んできてスライムが僕の下半身を覆った。
「つめた…」
「我慢して」
「ん…」
にゅこにゅこと扱く様にスライムがうごめく。
「ゆ、ゆりぃ…」
「我慢しなくていいよ。早く出して」
ただ僕に出させることのみを目的としている行為は自慰するときよりも手つきが性急だ。
「ん…あ、も、ダメかも…」
「早いね。溜めてたの?」
「だって、抜こうとすると、お前が邪魔するじゃんっ…」
「邪魔じゃなくて手伝ってあげてるだけだよ」
「お前に精液飲まれると疲れるんだよっ…んひ」
もうでる、
びゅく、と白い粘液が出た。
「ん…はぁ」
「ふ…お、おいしいぃぃい!!」
うにょうにょスライムが動いたかと思うと、もとのメイド姿に戻っていた。
「久しぶりのノアの精液♪」
「…喜んでもらえて何より」
僕の方はというと、精力を奪われたせいでくたくただ。
「僕もう寝る…」
ユリをベットにしてもいいけど、生き物の上に寝るのも落ちつかないだろう。
仕方ないから男の子の側の小さなスペースに寝ることにした。
「狭いかもだけど、がまんしてね…」
うとうととして、そのまま僕は眠りについた。
24
お気に入りに追加
537
あなたにおすすめの小説
魔性の男は純愛がしたい
ふじの
BL
子爵家の私生児であるマクシミリアンは、その美貌と言動から魔性の男と呼ばれていた。しかし本人自体は至って真面目なつもりであり、純愛主義の男である。そんなある日、第三王子殿下のアレクセイから突然呼び出され、とある令嬢からの執拗なアプローチを避けるため、自分と偽装の恋人になって欲しいと言われ─────。
アルファポリス先行公開(のちに改訂版をムーンライトノベルズにも掲載予定)
「頭をなでてほしい」と、部下に要求された騎士団長の苦悩
ゆらり
BL
「頭をなでてほしい」と、人外レベルに強い無表情な新人騎士に要求されて、断り切れずに頭を撫で回したあげくに、深淵にはまり込んでしまう騎士団長のお話。リハビリ自家発電小説。一話完結です。
※加筆修正が加えられています。投稿初日とは誤差があります。ご了承ください。

涯(はて)の楽園
栗木 妙
BL
平民の自分が、この身一つで栄達を望むのであれば、軍に入るのが最も手っ取り早い方法だった。ようやく軍の最高峰である近衛騎士団への入団が叶った矢先に左遷させられてしまった俺の、飛ばされた先は、『軍人の墓場』と名高いカンザリア要塞島。そして、そこを治める総督は、男嫌いと有名な、とんでもない色男で―――。
[架空の世界を舞台にした物語。あくまで恋愛が主軸ですが、シリアス&ダークな要素も有。苦手な方はご注意ください。全体を通して一人称で語られますが、章ごとに視点が変わります。]
※同一世界を舞台にした他関連作品もございます。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/index?tag_id=17966
※当作品は別サイトでも公開しております。
(以後、更新ある場合は↓こちら↓にてさせていただきます)
https://novel18.syosetu.com/n5766bg/
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
【R18+BL】ハデな彼に、躾けられた、地味な僕
hosimure
BL
僕、大祇(たいし)永河(えいが)は自分で自覚するほど、地味で平凡だ。
それは容姿にも性格にも表れていた。
なのに…そんな僕を傍に置いているのは、学校で強いカリスマ性を持つ新真(しんま)紗神(さがみ)。
一年前から強制的に同棲までさせて…彼は僕を躾ける。
僕は彼のことが好きだけど、彼のことを本気で思うのならば別れた方が良いんじゃないだろうか?
★BL&R18です。
【完結】お前らの目は節穴か?BLゲーム主人公の従者になりました!
MEIKO
BL
第12回BL大賞奨励賞いただきました!ありがとうございます。僕、エリオット・アノーは伯爵家嫡男の身分を隠して、公爵家令息のジュリアス・エドモアの従者をしている。事の発端は十歳の時…我慢の限界で田舎の領地から家出をして来た。もう戻る事はないと己の身分を捨て、心機一転王都へやって来たものの、現実は厳しく死にかける僕。薄汚い格好でフラフラと彷徨っている所を救ってくれたのが我らが坊ちゃま…ジュリアス様だ!坊ちゃまと初めて会った時、不思議な感覚を覚えた。そして突然閃く「ここって…もしかして、BLゲームの世界じゃない?おまけにジュリアス様が主人公だ!」
知らぬ間にBLゲームの中の名も無き登場人物に転生してしまっていた僕は、命の恩人である坊ちゃまを幸せにしようと奔走する。だけど何で?全然シナリオ通りじゃないんですけど?
お気に入り&いいね&感想をいただけると嬉しいです!孤独な作業なので(笑)励みになります。
※貴族的表現を使っていますが、別の世界です。ですのでそれにのっとっていない事がありますがご了承下さい。
Switch!〜僕とイケメンな地獄の裁判官様の溺愛異世界冒険記〜
天咲 琴葉
BL
幼い頃から精霊や神々の姿が見えていた悠理。
彼は美しい神社で、家族や仲間達に愛され、幸せに暮らしていた。
しかし、ある日、『燃える様な真紅の瞳』をした男と出逢ったことで、彼の運命は大きく変化していく。
幾重にも襲い掛かる運命の荒波の果て、悠理は一度解けてしまった絆を結び直せるのか――。
運命に翻弄されても尚、出逢い続ける――宿命と絆の和風ファンタジー。
左遷先は、後宮でした。
猫宮乾
BL
外面は真面目な文官だが、週末は――打つ・飲む・買うが好きだった俺は、ある日、ついうっかり裏金騒動に関わってしまい、表向きは移動……いいや、左遷……される事になった。死刑は回避されたから、まぁ良いか! お妃候補生活を頑張ります。※異世界後宮ものコメディです。(表紙イラストは朝陽天満様に描いて頂きました。本当に有難うございます!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる