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07 へりくつと本心
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コンビニの跡地には、思った通り色んなものが落ちていました。たばこがたくさんありましたね。僕はいらないですけど。スナック菓子や缶詰、飲み物のたぐいを袋に入れて持って帰りました。本当にコンビニ帰りみたい。ライターも手に入りましたよ。
ま、童貞くんと帰ったんですけどね。
「い、痛いですか」
「……別に」
童貞くんは服を着るのも嫌になってしまった僕にペットボトルの水を渡し、膝を洗い、バンドエイドを見つけて貼ってくれました。膝にバンドエイド。小学生のガキみたい。僕はそれで笑うのをやめて服を着たわけです。
「炭?」
「そう、です。続いてるなと思って」
「よく気づいたね」
彼は僕が自分のために撒いていた炭の目印を辿って、追いかけてきたのでした。ちなみに、二本差しのちょっと前くらいからいたんだそうです。
「なんでそこで黙ってたの」
「いや、いやなのか、嫌じゃないのか、わかりませんでした」
「………そうだね」
自分からしゃぶって、自分から二本差ししてって言って、あんあん喘いでたらね。
「嫌だったよ」
信じられないかも知れないけど。
何も話す気にならなくて、黙って家に戻ると、実家にありそうなダサい毛布がどんと置いてありました。
「あ、見つけました」
「え。へえ……」
しかも二枚。かなり暖かそうです。そしてやかんもどこかから拾って来ていました。いつの間にか、瓦礫で釜戸のような形も組まれています。
「お湯があると、色々便利かなって」
「便利だな。あ。体拭きたい。お湯で……」
本当はシャワーを思い切り浴びたい。凄く汚れた感じがする。
「ふろ…風呂桶の水、あっためますか」
「そうだね」
僕が呆然としている間に、彼は火を起こし(ライターで)、水をやかんにいれて火にかけ、またどこかから少し形が歪んだバケツを持ってきて、沸いたお湯と水を混ぜてくれました。
「はい」
「ありがとう」
バケツにタオルを突っ込むと、それだけでじんわり来ました。お湯に手をつけるのも久々。
「あんたもお湯のうちに拭いたら?」
「あ、はい」
風もあまりないし、3P見られたやつに何を恥ずかしがっても仕方がないので、服も脱いで全部拭きます。髪も。彼は恥ずかしいのか、ボタンを外して拭けるところしか拭きません。
「あのさ、あんた臭いからちゃんと拭いてよ。どうせ……」
ここまで言ってふと疑問が湧きました。「どうせ一緒に寝るんだろ」と言いかけたけど、そうなんでしょうか?
「……そういえばなんでここに戻って来たの?」
彼は困ったような感じで目を泳がせました。
「な、何も考えてませんでした。なんとなく」
「フッ。なにそれ?」
犬かよ。帰巣本能。
「まあいいや。なあ、髪ちゃんと拭けよ。ベトベトなんだよ。枕が汚れちゃう」
「あ。はい」
「少し髪切る? ハサミ拾った」
「え、いや」
「あ、髭剃って」
「え、なんで」
「いいから」
体が冷えないように毛布にくるまりながら、もじゃもじゃの髪をちょっとずつ切っていきます。拭いたらだいぶマシになった。
「おもしれー髪。天パ?」
「あ。そうです」
「いつ切った? 漉いてないでしょ」
「じ、自分で切ってました」
「ハア? 中学生かよ」
肩まで届きそうだった髪を、少しずつ。しばらくそのちぐはぐな髪と戦っていると、童貞くんがポツリと言いました。
「………全然楽しそうじゃなかったですよ」
「………え」
「さっき。今の方が、楽しそう」
「何バカ………」
ちょきん。
「…………」
「本当に、あんなこと、たくさんやったんですか?」
やった。
一日2件はしごしたこともあるし、カラオケルームで回されたこともある。あの時は性病の検査結果が出るまで食欲出なかった。3人くらいのセフレと日替わりでやってたり。一回そういう噂が立つと、色んな奴がそういう目で見てくるから。
「どうしてですか。俺は、楽しいことしかしたくないな……」
「………楽しかったよ。こうなっちゃう前まではさ」
──興味あるの? やってみる?
──女の子よりいいよ、僕。
ちょっと小綺麗にして。わかるんだよね、こいつやってみたいって思ってんなって。視線に独特のやらしさがあるんだ。
「もともと女の子が好きなやつでもさ、ハマっちゃうんだよね、結構。んで……」
もうやめろって言わせんの。他の男誘うのは……
「必死になって、僕のこと独占しようとすんのがさ」
だから、そうなったら、わざと部屋でかち合わせたりしてさ。
もうあんたはいいや。バイバイ。
「表沙汰にはしたくないくせに、僕に未練出してくんのが面白くてさ……」
ちょきん。
ざまあみろってさ。
「それ、面白くないですよ」
「面白いよ」
「セックスが楽しいんじゃないじゃないですか」
「でも気持ちいいんだよ?」
「さっき気持ち良かったですか?」
「うるさいな………」
「ど、どうしてこんなこと始めたんですか」
「…………はい。さっぱりしただろ。あ、自分じゃ見えないか。疲れたから寝るわ」
ま、童貞くんと帰ったんですけどね。
「い、痛いですか」
「……別に」
童貞くんは服を着るのも嫌になってしまった僕にペットボトルの水を渡し、膝を洗い、バンドエイドを見つけて貼ってくれました。膝にバンドエイド。小学生のガキみたい。僕はそれで笑うのをやめて服を着たわけです。
「炭?」
「そう、です。続いてるなと思って」
「よく気づいたね」
彼は僕が自分のために撒いていた炭の目印を辿って、追いかけてきたのでした。ちなみに、二本差しのちょっと前くらいからいたんだそうです。
「なんでそこで黙ってたの」
「いや、いやなのか、嫌じゃないのか、わかりませんでした」
「………そうだね」
自分からしゃぶって、自分から二本差ししてって言って、あんあん喘いでたらね。
「嫌だったよ」
信じられないかも知れないけど。
何も話す気にならなくて、黙って家に戻ると、実家にありそうなダサい毛布がどんと置いてありました。
「あ、見つけました」
「え。へえ……」
しかも二枚。かなり暖かそうです。そしてやかんもどこかから拾って来ていました。いつの間にか、瓦礫で釜戸のような形も組まれています。
「お湯があると、色々便利かなって」
「便利だな。あ。体拭きたい。お湯で……」
本当はシャワーを思い切り浴びたい。凄く汚れた感じがする。
「ふろ…風呂桶の水、あっためますか」
「そうだね」
僕が呆然としている間に、彼は火を起こし(ライターで)、水をやかんにいれて火にかけ、またどこかから少し形が歪んだバケツを持ってきて、沸いたお湯と水を混ぜてくれました。
「はい」
「ありがとう」
バケツにタオルを突っ込むと、それだけでじんわり来ました。お湯に手をつけるのも久々。
「あんたもお湯のうちに拭いたら?」
「あ、はい」
風もあまりないし、3P見られたやつに何を恥ずかしがっても仕方がないので、服も脱いで全部拭きます。髪も。彼は恥ずかしいのか、ボタンを外して拭けるところしか拭きません。
「あのさ、あんた臭いからちゃんと拭いてよ。どうせ……」
ここまで言ってふと疑問が湧きました。「どうせ一緒に寝るんだろ」と言いかけたけど、そうなんでしょうか?
「……そういえばなんでここに戻って来たの?」
彼は困ったような感じで目を泳がせました。
「な、何も考えてませんでした。なんとなく」
「フッ。なにそれ?」
犬かよ。帰巣本能。
「まあいいや。なあ、髪ちゃんと拭けよ。ベトベトなんだよ。枕が汚れちゃう」
「あ。はい」
「少し髪切る? ハサミ拾った」
「え、いや」
「あ、髭剃って」
「え、なんで」
「いいから」
体が冷えないように毛布にくるまりながら、もじゃもじゃの髪をちょっとずつ切っていきます。拭いたらだいぶマシになった。
「おもしれー髪。天パ?」
「あ。そうです」
「いつ切った? 漉いてないでしょ」
「じ、自分で切ってました」
「ハア? 中学生かよ」
肩まで届きそうだった髪を、少しずつ。しばらくそのちぐはぐな髪と戦っていると、童貞くんがポツリと言いました。
「………全然楽しそうじゃなかったですよ」
「………え」
「さっき。今の方が、楽しそう」
「何バカ………」
ちょきん。
「…………」
「本当に、あんなこと、たくさんやったんですか?」
やった。
一日2件はしごしたこともあるし、カラオケルームで回されたこともある。あの時は性病の検査結果が出るまで食欲出なかった。3人くらいのセフレと日替わりでやってたり。一回そういう噂が立つと、色んな奴がそういう目で見てくるから。
「どうしてですか。俺は、楽しいことしかしたくないな……」
「………楽しかったよ。こうなっちゃう前まではさ」
──興味あるの? やってみる?
──女の子よりいいよ、僕。
ちょっと小綺麗にして。わかるんだよね、こいつやってみたいって思ってんなって。視線に独特のやらしさがあるんだ。
「もともと女の子が好きなやつでもさ、ハマっちゃうんだよね、結構。んで……」
もうやめろって言わせんの。他の男誘うのは……
「必死になって、僕のこと独占しようとすんのがさ」
だから、そうなったら、わざと部屋でかち合わせたりしてさ。
もうあんたはいいや。バイバイ。
「表沙汰にはしたくないくせに、僕に未練出してくんのが面白くてさ……」
ちょきん。
ざまあみろってさ。
「それ、面白くないですよ」
「面白いよ」
「セックスが楽しいんじゃないじゃないですか」
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