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第1話:俺と幼馴染
5.提案
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始業式から6日たった月曜日。先週受けた実力テストが返ってきた。相変わらず酷い点数で精神的ダメージを受けてる中、実力テストを受けていないそーいちを見ると、熱で休んでたとはいえ腹立った。別にいいし。受けなかったら受けなかったで成績下がるんだし。
そして、放課後。
「やすあき、今日も部活?」
俺はやすあきに聞く。
「うん。1年の頃と同じで、学校がある日は必ずって言っていいほどあるよ。テスト一週間前からは休みだけどね。」
「そうなんだ。頑張ってね。…あ、そーいちどこ行ったか知らない?終礼終わった後、どっか行ったんだけど。」
「あーなんかタオル返してもらった時に『ひろきに職員室行くって言ってて』って言ってた気がするけど。あ、俺もう行かないと。またね。」
「うん、また明日。」
俺がそう言ったのを聞いた後、やすあきは教室から出て行った。それにしてもそーいち遅いな。
そーいちが戻ってきたのは、教室に俺以外誰もいなくなった後だった。
「遅い!もう勝手に帰ろうかと思ってたところだったわ。」
「良かった。ひろきが帰ってたらどうしようかと思ってたからさ。」
「じゃあもうちょっと早く帰ってこいよ。走ってくるとかさ。」
「ごめんごめん。」
「もう帰ろう。やりたいゲームあるし。」
そう言って、俺は自分の学生カバンを持った。
「ちょっと待って。」
そーいちはそう言った。
「何?」
「俺、言ったよね?月曜日に話すって。電話でひろきと話した時。」
「…そうだっけ?覚えてないわ。」
でも、確かにそう言われればそうだった気がする。そーいちは俺に背を向けたまま言う。
「俺、今お前に話さないとダメだと思うんだ、きっと。」
「何だよ、急にかしこまって。怖いじゃん。」
「なあ、ひろき。」
そーいちがそう言った時、俺は固唾を呑んだ。
「一緒に部活作ろうぜ!」
そーいちは振り返って俺の方を見て笑いながらそう言った。
「…え?」
「だから、ひろきと一緒に部活作りたいんだって!」
「え、何で?」
「なんか、青春っぽいじゃん。」
「は?」
俺はそーいちが言ってることに納得できず、そう言った。
「ひろきはさ、何か足りないって思わない?」
「何の話?」
「この高校生活においてだよ。」
「特には。しいていうなら女子高校生。」
そーいちの問いに俺はそう言った。
「俺さ、一年の時から『俺、青春してないなあ。』と思ってたんだよ。」
「彼女いるくせに?」
「まあ、いるけどさ、彼女とも青春してると思ってるんだけど、まだ物足りない気がして。」
「そうなんだ。」
そーいちはグラウンド側の窓を見ながら言う。
「何が足りなくて青春してないのか考えたんだよ。そして気づいたんだよ。始業式の日に雨の中部活をしている人たちを見て。そうだ、部活をやってないからだって!」
「…なんか、ちょっと痛々しいやつになってるぞ。それに、部活=青春って訳じゃ無いだろ。」
「そんなことない!…と思う!」
そーいちはそう言った。
「自信ないじゃん。それに、雨の中やってるからって…」
「別に雨の中やればいいって思ってないから。部活を…」
「あと、作るって言ったよね?さっき。俺と。なんで俺となの?あと、今ある部活に入ればいいでしょ?勝手に。別に俺誘わなくてもいいじゃん。それだったらさ。」
「あー!!!!あー言えばこー言うな、お前!!」
「だって、やりたくないし。」
俺がそう言うと、そーいちは黒板の所に立って、書きながら説明し始めた。
「いいか?まず、俺がある部活に入るとする。そしたら、俺は2年生だから、急に後輩ができるんだぞ。後輩に質問された時、俺以外の同級生はその質問に答えられるけど、俺は答えられないという状況が生まれるんだぞ。それに、その部活にすぐに慣れていかなきゃいけない。それがどれだけ大変だと思っているんだ!」
「それ、作っても同じだと思うんだけど。」
「いや、そんなことはない。だって、みんな後輩だろうが先輩だろうが『初めて』じゃないか。」
「まあ、そうだけど。じゃあ、1人で作れば?」
「何言ってるんだよ!!1人でそう簡単に作れるものじゃないだろ!」
「じゃあ、他の人と作ればいいじゃん。」
「それも考えた。けど、もうこの学年で部活入ってないのほとんどいないんだよ!だから、ひろき。お前しかいないんだ。だから!」
そーいちは俺の前で土下座して、言った。
「お願い!俺と一緒に部活作ろう!!高校生で青春してないなんて勿体無いよ!」
「お、おい。土下座なんてするなよ…。」
「お前だって、青春したいって言ってたじゃないか!ハンバーガー屋に行った日に。」
「え、言った?俺。こんなことなるなら、前言撤回したいわ。」
「お願いだよ。ひろきしかいないんだよ…!」
「ええ、そんなこと言われましても…。とりあえず、土下座やめな…?誰か見たらびっくりするだろうし。」
「じゃあ、俺と作ってくれるか?」
「え…?」
俺は困って思わずそう呟いた。しばらくして、そーいちが立ち上がって言う。
「じゃあ、わかった。こうしよう。」
「え、何?」
俺はそう言った。
「部活を作るには最低5人必要なんだ。だから、4月が終わるまでに残り3人、一緒に作ってくれる人を見つけたら、部員になってくれ。見つけられなかったら、ひろきがどうしたいか決めていいから。」
「はあ…。」
そーいちが言ったことを聞いて、俺は自然とそう呟いていた。…これは、そーいち折れそうにないな。
「…わかったよ。本当に4月までだからね。」
俺は仕方なく折れて、そう言った。
「よし!それじゃあ、明日から部員集めだー!」
そーいちはそう言った。
「え、今日からじゃなくていいの?」
「だって、ひろきやりたいゲームあるんだろ?」
「まあ、そうだけど。え、俺いないとダメ?」
「一応、4月までは部員ってことで。」
「えー。」
「心底嫌そう顔しないでよ!!」
そーいちがそう言って、楽しくて俺は思わず笑ってしまった。
きっと正義やヒーローに関して質問した面接官がここにいたら、「え、本気でこの宮村宗一がヒーローだと思ってるの?」と言うだろうな。ここだけ見れば、そうだよな。俺だって思うかもしれないし。でも、俺の中では、出会ってきた人たちでいうとやっぱり宮村宗一がヒーローだと思うんだよね。
第2話に続く。
そして、放課後。
「やすあき、今日も部活?」
俺はやすあきに聞く。
「うん。1年の頃と同じで、学校がある日は必ずって言っていいほどあるよ。テスト一週間前からは休みだけどね。」
「そうなんだ。頑張ってね。…あ、そーいちどこ行ったか知らない?終礼終わった後、どっか行ったんだけど。」
「あーなんかタオル返してもらった時に『ひろきに職員室行くって言ってて』って言ってた気がするけど。あ、俺もう行かないと。またね。」
「うん、また明日。」
俺がそう言ったのを聞いた後、やすあきは教室から出て行った。それにしてもそーいち遅いな。
そーいちが戻ってきたのは、教室に俺以外誰もいなくなった後だった。
「遅い!もう勝手に帰ろうかと思ってたところだったわ。」
「良かった。ひろきが帰ってたらどうしようかと思ってたからさ。」
「じゃあもうちょっと早く帰ってこいよ。走ってくるとかさ。」
「ごめんごめん。」
「もう帰ろう。やりたいゲームあるし。」
そう言って、俺は自分の学生カバンを持った。
「ちょっと待って。」
そーいちはそう言った。
「何?」
「俺、言ったよね?月曜日に話すって。電話でひろきと話した時。」
「…そうだっけ?覚えてないわ。」
でも、確かにそう言われればそうだった気がする。そーいちは俺に背を向けたまま言う。
「俺、今お前に話さないとダメだと思うんだ、きっと。」
「何だよ、急にかしこまって。怖いじゃん。」
「なあ、ひろき。」
そーいちがそう言った時、俺は固唾を呑んだ。
「一緒に部活作ろうぜ!」
そーいちは振り返って俺の方を見て笑いながらそう言った。
「…え?」
「だから、ひろきと一緒に部活作りたいんだって!」
「え、何で?」
「なんか、青春っぽいじゃん。」
「は?」
俺はそーいちが言ってることに納得できず、そう言った。
「ひろきはさ、何か足りないって思わない?」
「何の話?」
「この高校生活においてだよ。」
「特には。しいていうなら女子高校生。」
そーいちの問いに俺はそう言った。
「俺さ、一年の時から『俺、青春してないなあ。』と思ってたんだよ。」
「彼女いるくせに?」
「まあ、いるけどさ、彼女とも青春してると思ってるんだけど、まだ物足りない気がして。」
「そうなんだ。」
そーいちはグラウンド側の窓を見ながら言う。
「何が足りなくて青春してないのか考えたんだよ。そして気づいたんだよ。始業式の日に雨の中部活をしている人たちを見て。そうだ、部活をやってないからだって!」
「…なんか、ちょっと痛々しいやつになってるぞ。それに、部活=青春って訳じゃ無いだろ。」
「そんなことない!…と思う!」
そーいちはそう言った。
「自信ないじゃん。それに、雨の中やってるからって…」
「別に雨の中やればいいって思ってないから。部活を…」
「あと、作るって言ったよね?さっき。俺と。なんで俺となの?あと、今ある部活に入ればいいでしょ?勝手に。別に俺誘わなくてもいいじゃん。それだったらさ。」
「あー!!!!あー言えばこー言うな、お前!!」
「だって、やりたくないし。」
俺がそう言うと、そーいちは黒板の所に立って、書きながら説明し始めた。
「いいか?まず、俺がある部活に入るとする。そしたら、俺は2年生だから、急に後輩ができるんだぞ。後輩に質問された時、俺以外の同級生はその質問に答えられるけど、俺は答えられないという状況が生まれるんだぞ。それに、その部活にすぐに慣れていかなきゃいけない。それがどれだけ大変だと思っているんだ!」
「それ、作っても同じだと思うんだけど。」
「いや、そんなことはない。だって、みんな後輩だろうが先輩だろうが『初めて』じゃないか。」
「まあ、そうだけど。じゃあ、1人で作れば?」
「何言ってるんだよ!!1人でそう簡単に作れるものじゃないだろ!」
「じゃあ、他の人と作ればいいじゃん。」
「それも考えた。けど、もうこの学年で部活入ってないのほとんどいないんだよ!だから、ひろき。お前しかいないんだ。だから!」
そーいちは俺の前で土下座して、言った。
「お願い!俺と一緒に部活作ろう!!高校生で青春してないなんて勿体無いよ!」
「お、おい。土下座なんてするなよ…。」
「お前だって、青春したいって言ってたじゃないか!ハンバーガー屋に行った日に。」
「え、言った?俺。こんなことなるなら、前言撤回したいわ。」
「お願いだよ。ひろきしかいないんだよ…!」
「ええ、そんなこと言われましても…。とりあえず、土下座やめな…?誰か見たらびっくりするだろうし。」
「じゃあ、俺と作ってくれるか?」
「え…?」
俺は困って思わずそう呟いた。しばらくして、そーいちが立ち上がって言う。
「じゃあ、わかった。こうしよう。」
「え、何?」
俺はそう言った。
「部活を作るには最低5人必要なんだ。だから、4月が終わるまでに残り3人、一緒に作ってくれる人を見つけたら、部員になってくれ。見つけられなかったら、ひろきがどうしたいか決めていいから。」
「はあ…。」
そーいちが言ったことを聞いて、俺は自然とそう呟いていた。…これは、そーいち折れそうにないな。
「…わかったよ。本当に4月までだからね。」
俺は仕方なく折れて、そう言った。
「よし!それじゃあ、明日から部員集めだー!」
そーいちはそう言った。
「え、今日からじゃなくていいの?」
「だって、ひろきやりたいゲームあるんだろ?」
「まあ、そうだけど。え、俺いないとダメ?」
「一応、4月までは部員ってことで。」
「えー。」
「心底嫌そう顔しないでよ!!」
そーいちがそう言って、楽しくて俺は思わず笑ってしまった。
きっと正義やヒーローに関して質問した面接官がここにいたら、「え、本気でこの宮村宗一がヒーローだと思ってるの?」と言うだろうな。ここだけ見れば、そうだよな。俺だって思うかもしれないし。でも、俺の中では、出会ってきた人たちでいうとやっぱり宮村宗一がヒーローだと思うんだよね。
第2話に続く。
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