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第1話:俺と幼馴染

4.電話

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実力テスト最終日である金曜日。
今は実力テストが終わり、放課後。そーいちが熱で昨日から休みで、担任の先生からプリントをそーいちの家に届けてほしいと頼まれた。

そーいちの家に着き、インターホンを押すと、そーいちの弟が出てきた。

「わざわざ家まで届けてくださりありがとうございます。」

俺が彼にプリントを渡すと、彼はそう言った。

「いやいや、先生に頼まれて持ってきたから。そーいちはどう?」
「1時間前に兄を見に行った時は眠っていたので、大丈夫だと思います。」
「そっか。なら良かった。じゃあ、俺はこれで。またね。」
「はい、ありがとうございました。」

彼はお辞儀して、玄関のドアを閉めた。はあ、いいなあ。俺もそーいちの弟みたいな弟が欲しかった。…こんなこと言ってるだけ無駄か。

そんなこと考えながら家に向かって歩いていると、スマホが鳴った。って、そーいちから電話!?
俺は電話に出て言う。

「も、もしもし?」
『あ、もしもし?今、家に来たのひろきだよね?何しに来たの?』
「いや、何しに来たの?じゃなくて!寝とけよ!熱が下がるまではせめて!!」
『実は下がってるんだよね。平熱だから大丈夫。』
「お前、体弱いんだから安静にしとけよ。」
『わかってるよ。今日までは風呂入る時以外はベットの上で過ごすつもりだから。それで、何しに来たの?』
「プリント渡しに。お前の弟に渡しといたよ。」
『そっか、ありがとう。それだけ?』
「うん、それだけ。で?お前が聞きたいことはそれだけ?」

俺はそう言った。そーいちがわざわざ電話してきたってことは、他に何か用があると思ったから。

『あー、いや、その、やすあきのタオルの件なんだけど…。何かやすあき言ってた?』
「何も言ってないけど、きっと月曜日怒られるぞ。」
『だよなあ…。』
「とりあえず今は風邪を治せ。じゃあ、切るね。」
『あ、ちょっと待って!』

俺が電話を切ろうとした時、そーいちはそう言った。

「何?」
『俺、思い出したんだよ!何を言おうとしていたのか。』
「何の話?」
『ほら、俺何か言おうとしてたけど忘れてたじゃん。一昨日。』
「そうだっけ?」
『そうだよ!月曜日話す!』
「いや、今話せよ。また忘れるだろ。」
『大丈夫!今度は忘れないから。』
「どこから来るの、その自信。」
『じゃあ、月曜日!今日はありがとう。』
「ああ、じゃあ、またね。」

これ以上話しても月曜日話すで片付けられる気がして、俺は先に電話を切った。あー嫌な予感しかしない。忘れてることを願っておこう。
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