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冬編③『銀世界、幾星霜』
第一話「雪の妖精」⑶
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「良かった……あの羽虫は実在していたんですね」
〈探し人〉の少女は安心したような、少しガッカリしたような、複雑な表情で胸を撫で下ろした。
「これから、その雪虫を探しに行ってきます。何か甘い食べ物と飲み物を持って行きたいのですが、おすすめはありますか?」
「それでしたら、」
由良はカウンターに置かれたメニュー表を指した。
「チュロスはいかがでししょう? 屋外でも食べやすいですし、別売りの保温容器に入れれば、ある程度は温度を保てますよ。お飲み物は魔法瓶入りホットティーがおすすめです。糖分はもちろん、フルーツティーなら冬に不足しがちなビタミンも補えます」
「じゃあ、その二つをお願いします。チュロスは各種ミックスで」
「かしこまりました」
「由良さん、誰と話してるんです?」
真冬は不思議そうに首を傾げる。彼女には〈探し人〉の少女の姿が見えていない。
由良は「ひとり言です」と平静を装った。
「真冬さんはいつものホワイトチョコモカと白チョコ焼きでよろしかったですか?」
「は、はい。それと、チュロスのホワイトも追加でいいですか? 生クリームとベリーが乗ってるやつ」
「かしこまりました」
由良は〈探し人〉の少女と真冬のオーダーを受け、厨房へ引っ込む。
真冬は眉をしかめたまま、定位置にしている奥の席へ移動していった。
「おっかしいなぁ。絶対、私以外の誰かと話してたと思ったのに。でも、カウンター席には誰もいなかったしなぁ」
そのカウンター席では、〈探し人〉の少女が素知らぬ顔でホワイトモカの残りを味わっていた。
「お待たせいたしました。チュロスとホットフルーツティーでございます」
「いろいろありがとうございました。行ってきます」
チュロスはお菓子の缶を模した保温容器に入っていました。
レトロなデザインで、大きく「LAMP」と書かれています。見た目とは違い、簡単にフタが開かないようになっているそうです。
私は店員さんからチュロスとホットフルーツティーを受け取ると、喫茶店を後にしました。
雪虫がいるという北国を目指し、寒空の下を歩きます。
駅を目指し、北へ。
電車に乗り、北へ。
電車を降り、さらに北へ……。
お腹が空いたので、公園のベンチに座って、チュロスとホットフルーツティーをいただきました。
チュロスはプレーンとココアとホワイトチョコと抹茶の四種類が入っていました。
悩みに悩んだ末、ホワイトチョコを最初に食べました。雪虫の綿毛と同じ色です。
食べれば、きっと雪虫は現れてくれる……そんな予感がしました。
〈探し人〉の少女は安心したような、少しガッカリしたような、複雑な表情で胸を撫で下ろした。
「これから、その雪虫を探しに行ってきます。何か甘い食べ物と飲み物を持って行きたいのですが、おすすめはありますか?」
「それでしたら、」
由良はカウンターに置かれたメニュー表を指した。
「チュロスはいかがでししょう? 屋外でも食べやすいですし、別売りの保温容器に入れれば、ある程度は温度を保てますよ。お飲み物は魔法瓶入りホットティーがおすすめです。糖分はもちろん、フルーツティーなら冬に不足しがちなビタミンも補えます」
「じゃあ、その二つをお願いします。チュロスは各種ミックスで」
「かしこまりました」
「由良さん、誰と話してるんです?」
真冬は不思議そうに首を傾げる。彼女には〈探し人〉の少女の姿が見えていない。
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「真冬さんはいつものホワイトチョコモカと白チョコ焼きでよろしかったですか?」
「は、はい。それと、チュロスのホワイトも追加でいいですか? 生クリームとベリーが乗ってるやつ」
「かしこまりました」
由良は〈探し人〉の少女と真冬のオーダーを受け、厨房へ引っ込む。
真冬は眉をしかめたまま、定位置にしている奥の席へ移動していった。
「おっかしいなぁ。絶対、私以外の誰かと話してたと思ったのに。でも、カウンター席には誰もいなかったしなぁ」
そのカウンター席では、〈探し人〉の少女が素知らぬ顔でホワイトモカの残りを味わっていた。
「お待たせいたしました。チュロスとホットフルーツティーでございます」
「いろいろありがとうございました。行ってきます」
チュロスはお菓子の缶を模した保温容器に入っていました。
レトロなデザインで、大きく「LAMP」と書かれています。見た目とは違い、簡単にフタが開かないようになっているそうです。
私は店員さんからチュロスとホットフルーツティーを受け取ると、喫茶店を後にしました。
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駅を目指し、北へ。
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電車を降り、さらに北へ……。
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チュロスはプレーンとココアとホワイトチョコと抹茶の四種類が入っていました。
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