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第103話 リークの笑いのつぼ

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 部屋に入り、白いベッドの上に座った。ベッドの感触は思ったよりも柔らかい。

「明日、朝だったな」
「さっきも話?」
「ああ」
「そうね、合ってる」
「部屋、分かるのかな」

 確かに言われてみればそうだ。だが、あの受付嬢にでも聞くのだろうと考えれば、心配無さそうだ。

(貴族のナターシャとなれば、限られてくるしな)

 リークは窓に近づき、景色を眺め始めた。ちなみにここは5階になる。

「高いな、ここ」
「5階だからね」
「まるで塔みたいだ」
「あら、塔はもっと高いかもしれないわよ?」

 私は前世で、大聖堂の塔に登った事がある。後宮の行事で登る羽目になったのだが、それはそれはすごい高さと眺めだった記憶がある。

「そうなのか?」
「…たぶんね」
「はは…」

 リークがいきなり笑い出す。あまりにも突然だったので私は驚くばかりだ。

「どうかしたの?」
「たぶんね…たぶん…」

 どうやら言葉につぼったようだ。リークのつぼが良くわからないが、何となく彼が可愛く見える。

「可愛いわね、リークって」
「…そうか?」
「笑っている所とか」
「そ、そうか…」

 時計はもう23時を指している。私達は照明を落として、寝る事にした。

「リーク、お休みなさい」
「ナターシャ、お休み」

 こうして私達は、眠りにつく。
 次に私の目が覚めた時、窓を見ると夜明けを迎えていた。

(トイレに行くか)

 共用トイレに向かう途中、軽装姿のナジャと再会した。

「ナターシャ、おはよう!よく眠れた?」
「ええ、ナジャ。よく眠れたわ。あなたは?」
「私もばっちりよ」

 聞けばナジャは、受付嬢の元に向かう所だったようだ。

「あなた達の部屋番号を聞きにね」
「それなら見に行く?」
「ああ、良いわよ!トイレに行ってからでいい?」
「勿論」

 トイレで用を足してから、私はナジャを部屋の前まで案内する。ナジャはドアに記された番号をじっと見つめた。

「ここね。覚えた。後で来るわ」
「忘れたりしない?」
「しないしない!」
「ふふっ約束よ」

 約束を守るべく指切りを交わした後、ナジャは部屋へと戻っていった。
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