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皇帝SIDE⑬ ナターシャ探し

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 ザナドゥの町長が言っていた、皇帝キムが「ナターシャ」という名前の女を探し、集めているという情報。

「皇帝は密かに、ナターシャという名前の女を集めているという情報が入ってな」

 この情報について、少し時間をさかのぼって話していこう。
 軍が劣勢に立たされていると知ったキムは、現実逃避出来るモノを探していた。そんな中、夜の閨にてキムはある夢を見る。

「陛下、ナターシャでございます。お会いしとうございました」

 キムの夢の中に、なんとナターシャが現れたのだった。ナターシャはキムのよく知る、美しいドレスと宝石を身に纏い現れたのだった。

「ああ、私をもっと寵愛して下されれば、こんな事にはなっていませんでしたのに…」
「なんだ、今更…!」
「陛下。あなたは私の事を、今でもずっと愛しているのでしょう?」
「…っ!!」

 キムは動けない。そんなキムへ、ナターシャが近づいて、キムの右頬を撫でる。

「陛下…私を愛して…」
「ナターシャ…」
「陛下…」

 ナターシャがキムにそっと口づけをして、煙のように消えていった所で、キムの目が覚める。

「!!」

 キムの左横には、側室が寝息を立てて寝ている。キムは起き上がると、自身の乱れた息を肩をゆっくり上下させて整える。

(ナターシャ…!)

 そして朝が来た。この日の朝食はスクランブルエッグにパンと焼いたハムとウインナーに、茹でたブロッコリーににんじん、キャベツのサラダ。
 サラダにはドレッシングを、スクランブルエッグにはマヨネーズをかけて食べるのがキム流である。

「陛下、お味はいかがでしょうか?」
「うむ、美味い」
「有り難き幸せ…」

 キムは朝食を食べ終えると、王の間に赴く。玉座に座ると家臣を呼んだ。

「陛下、お呼びですか」
「ナターシャという名前の女を国中から集めよ。集めたら後宮に入れるのだ。結婚している者でも構わない」
「は、ははっ…」
「秘密裏に進めてくれ」

 こうして、国中からナターシャという名前の女が秘密裏に集められる事になった。
 ある者は、買い物中に拉致されるような格好で後宮に送られた。

「~っ!~!」
「捕縛したまま、後宮に連れて行け」
「隊長、了解しました!」

 またある者は、召集するのと同じように連れて行かれた。

「おたくの奥さま、ナターシャという名前ですね?」
「はい、お役人さま…」
「今から、後宮で働いて貰います。これ、契約金です」
「こんなにくれるのかい?!良かったなあ、ナターシャ!」
「ああ!後宮で働けるなんて楽しみだよ!」

 こうして、後宮に集められた「ナターシャ」達は、キムの相手をする事となる。

(ナターシャ…どこだ…)

 そして、彼の魔の手は、ナジャと本物のナターシャにまで及ぼうとしていたのだった。
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