上 下
50 / 161

第42話 大衆食堂のポトフセット

しおりを挟む
 メニュー表を眺めてみる。どうやらこの大衆食堂のおすすめはトマトが入ったポトフのセットらしい。

「じゃあ私はこれで」

 リークも私と同じものを注文した。しばらく店内を眺めていると、注文したポトフセットが運ばれてくる。内容は白い小鍋風の容器に入ったポトフと、パンが3つ。小皿に入ったコーンとレタスとにんじんの千切りが入ったサラダの計3点だ。

「では頂きます」

 ポトフは熱いのでサラダから頂く。サラダには茶色いオイルドレッシングがかかっている。フォークでサラダを混ぜて食べると、シャキシャキとした食感にオイルドレッシングの油味と塩味がほどよく絡んで美味しい。

「美味しいわね」
「ああ、このドレッシングは手作りだろうか?」
「もしかしたらそんな気はするわ」

 サラダを全て食べ終えてからポトフを食べる。1個分トマトが入っているので、スープの見た目はどこかミネストローネスープと近いかもしれない。ソーセージにキャベツもごろっと入っている。
 まずはスープをすすってみよう。

「!」

 トマトの酸味とコンソメの味が効いている。更にこれはソーセージから出た風味だろうか。食欲がなくてもさらさら食べられそうな味わいだ。

「パンにつけてみましょうか」

 パンをちぎって、端の方をスープにつけて頬張る。うん、これはパンがもっと食べたくなる。

「これつけたか?」

 リークがテーブルに置いてある粉チーズを左手に持って、私へと見せてくる。

「スープを浸したパンに少しつけてみると美味しいぞ」
「…成程」

 と言う訳で早速試してみる事に決めた。パンをちぎってスープに半分くらいつける。そしてその上にちょんちょんと粉チーズをかけて食べる。

「…!」

 スープとパンに粉チーズの濃厚な味わいが加わって、更に美味しくなっている。これは目から鱗の発見と言えるだろう。

「うん、美味しい!」

 その後もポトフとパンを食べ進め、あっという間にお皿は全て空になった。ポトフのキャベツもスープが染みていて柔らかくいただけたし、ソーセージは肉厚で、噛むとぱきっとした食感から、たくさんの肉汁が溢れ出てきたのだった。

「ごちそうさまでした」
「ごちそうさま」

 またこの街に来た時はこの大衆食堂に寄ってみよう。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

海辺の田舎者が考える布製装備品!

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

悪女に駄犬は手懐けられない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:149pt お気に入り:336

言いたいことはそれだけですか。では始めましょう

恋愛 / 完結 24h.ポイント:255pt お気に入り:3,574

【完結】27王女様の護衛は、私の彼だった。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:816pt お気に入り:1,938

あなたの重すぎる愛は私が受け止めます

恋愛 / 完結 24h.ポイント:312pt お気に入り:1,235

私は競売に出された……でも終わりだと思ってたら大間違いよ!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:959pt お気に入り:72

処理中です...