13 / 15
13.プロポーズ
しおりを挟む
国王陛下夫妻に挨拶すると、ゴルゾン殿下と婚約者が近づいて来た。
殿下の婚約者さん、何だか親しみがもてる!!
地味顔仲間ね。
殿下は私に婚約者を紹介してくれた。
「ミュウ殿、我が最愛の婚約者、ミモーレットだ。これから仲良くしてくれ。女性同士だし、そなたの助けにもなるだろう。」
「は、はいっ。よろしくお願いいたします。」
「ふふふ。何てお美しいのかしら。サンダルース卿が夢中になるのも分かるわ。」
親しみ易いなんて思ったけれど、やはり未来の王妃様。
扇を広げて微笑む姿は人を呑み込んでしまいそうな凄みがある。
レオンハルト様とのダンスが終わるとバルコニーに誘われた。
庭園の木々がランタンで彩られ、ロマンチックな雰囲気を醸し出している。
「我が国での伝統的なプロポーズは、バルコニーで身振り手振りで愛を表現し、自作の恋の歌を月に向かって高らかに歌い上げるんですよ。」
ナニソレ?
嫌!!
ゴルゾン殿下は似合いそうだけど……。
レオンハルト様が恥ずかしそうしている…。
え?
今からするの?
いつも意地悪な感じなのに、可愛いっ!!
でも、彼にはちょっと似合わない。
私は少し考えると、助け舟を出した。
「私の故郷のプロポーズで夢だったのがあるんです。」
「どんな風にするんですか?」
「こうやって……。」
私はレオンハルト様に跪いて手を差し出した。
「私と結婚してくださいって言うだけです。それが、私のいた世界のプロポーズ。これが女性の憧れなんです。指輪を持ってたら尚良いですね。」
「指輪は持っていますよ……。」
「え?」
レオンハルト様はポケットから指輪の入ったケースを取り出して開いて見せてくれた。
「……わぁーー。綺麗!もう探してくれたんですか?」
「ええ、貴女が私の瞳と同じ色の石を、なんて可愛いおねだりをしてくれたので、嬉しくて……。」
三日ほど前に、婚約の証として何か欲しい物はないか聞かれて『レオンハルト様の瞳の色の石がついた指輪が欲しいです。』と伝えていたのだ。
瞳と同じ色の石って異世界といえば定番よね。
それにしても、準備が早いっ!!
レオンハルト様が完璧な恋人過ぎて泣きそう。
「ありがとうございます。」
レオンハルト様は私がしたように跪いて、私に指輪を差し出してくれた。
「ミュウ様、私と結婚してください。」
少し不安そうに揺れる瞳は指輪と同じ澄んだ空色。
美しく整った美貌が私を真っ直ぐに見上げる。
彼氏なんてずっといなかった私が恋をして、夜明けの大地に朝日が当たるように、世界が輝いて見えた。
彼の隣なら、私はずっと笑っていられる。
こんな嬉しいことってないっ。
「はい。よろこんで!!」
私はそのままの体勢でレオンハルト様の胸に飛び込んだ。
「わっ!!」
勢いで尻餅をついたレオンハルト様は、それでも私を受け止めて、背中に手を回してくれた。
「ミュウ様、………すこし勢いが……。」
「……ごめんなさい。」
彼に抱き込まれた体勢のまま、謝りながら見上げると、それでも嬉しそうにはにかむ彼の顔が。
私の視線に気が付いて見下ろすとふっと息を吐くように微笑んだ。
なんて素敵な王子様っ!
幸せ過ぎて視界が滲むっ。
「私の目を怖がらず、真っ直ぐ見つめてくれる貴女が好きです。ずっと、その瞳に私を映してくれますか?」
流石にもうキャパオーバーで、コクコク頷く事しか出来ない。
彼の匂いと体温に包まれて、こんなにも幸せで、鼻の奥がツンとした。
「因みに、ミュウ様の世界では返事をするときにこうやって飛び付くのが慣わしですか?」
ちょっと意地悪な笑顔で、それでも指は優しく、涙を拭ってくれた。
ちょっと困る私を愛おしげにみつめる。
質問は意地悪なのに、愛情いっぱいの視線と態度を私に向けてきてズルい。
私の心臓は煩いぐらいに早鐘を打つし、顔は熱くて湯気が出そうっ!!
そんな私たちの甘い時間に無情の音が響いた。
ぐぅーーーー
「何か摘まむものを持ってきます。」
くっくっと忍び笑いを漏らしながら、レオンハルト様は食べ物を取りに行ってくれた。
ー・ー・ー・ー・ー
会場に戻って二人で果実酒を飲んでいると、バルコニーからゴルゾン王太子殿下の歌声が聞こえてきた。
『まーんげつーのようーにー美しいー君ーをあーいしてーるー。』
どこかで聞いたことのあるフレーズ!
ゴルゾン殿下は大きく夜空に向かって両手を広げ愛の歌を高らかに歌い上げている。
ミュージカル俳優のような見事なビブラートは会場の空気を震わせる。
うっとりと聞いているミモーレット様は心が広い。
絵になる二人だ。
ゴルゾン殿下は求婚の時だけで無く、夜会や舞踏会の度にミモーレット様への愛の歌を捧げているらしい。
殿下の婚約者さん、何だか親しみがもてる!!
地味顔仲間ね。
殿下は私に婚約者を紹介してくれた。
「ミュウ殿、我が最愛の婚約者、ミモーレットだ。これから仲良くしてくれ。女性同士だし、そなたの助けにもなるだろう。」
「は、はいっ。よろしくお願いいたします。」
「ふふふ。何てお美しいのかしら。サンダルース卿が夢中になるのも分かるわ。」
親しみ易いなんて思ったけれど、やはり未来の王妃様。
扇を広げて微笑む姿は人を呑み込んでしまいそうな凄みがある。
レオンハルト様とのダンスが終わるとバルコニーに誘われた。
庭園の木々がランタンで彩られ、ロマンチックな雰囲気を醸し出している。
「我が国での伝統的なプロポーズは、バルコニーで身振り手振りで愛を表現し、自作の恋の歌を月に向かって高らかに歌い上げるんですよ。」
ナニソレ?
嫌!!
ゴルゾン殿下は似合いそうだけど……。
レオンハルト様が恥ずかしそうしている…。
え?
今からするの?
いつも意地悪な感じなのに、可愛いっ!!
でも、彼にはちょっと似合わない。
私は少し考えると、助け舟を出した。
「私の故郷のプロポーズで夢だったのがあるんです。」
「どんな風にするんですか?」
「こうやって……。」
私はレオンハルト様に跪いて手を差し出した。
「私と結婚してくださいって言うだけです。それが、私のいた世界のプロポーズ。これが女性の憧れなんです。指輪を持ってたら尚良いですね。」
「指輪は持っていますよ……。」
「え?」
レオンハルト様はポケットから指輪の入ったケースを取り出して開いて見せてくれた。
「……わぁーー。綺麗!もう探してくれたんですか?」
「ええ、貴女が私の瞳と同じ色の石を、なんて可愛いおねだりをしてくれたので、嬉しくて……。」
三日ほど前に、婚約の証として何か欲しい物はないか聞かれて『レオンハルト様の瞳の色の石がついた指輪が欲しいです。』と伝えていたのだ。
瞳と同じ色の石って異世界といえば定番よね。
それにしても、準備が早いっ!!
レオンハルト様が完璧な恋人過ぎて泣きそう。
「ありがとうございます。」
レオンハルト様は私がしたように跪いて、私に指輪を差し出してくれた。
「ミュウ様、私と結婚してください。」
少し不安そうに揺れる瞳は指輪と同じ澄んだ空色。
美しく整った美貌が私を真っ直ぐに見上げる。
彼氏なんてずっといなかった私が恋をして、夜明けの大地に朝日が当たるように、世界が輝いて見えた。
彼の隣なら、私はずっと笑っていられる。
こんな嬉しいことってないっ。
「はい。よろこんで!!」
私はそのままの体勢でレオンハルト様の胸に飛び込んだ。
「わっ!!」
勢いで尻餅をついたレオンハルト様は、それでも私を受け止めて、背中に手を回してくれた。
「ミュウ様、………すこし勢いが……。」
「……ごめんなさい。」
彼に抱き込まれた体勢のまま、謝りながら見上げると、それでも嬉しそうにはにかむ彼の顔が。
私の視線に気が付いて見下ろすとふっと息を吐くように微笑んだ。
なんて素敵な王子様っ!
幸せ過ぎて視界が滲むっ。
「私の目を怖がらず、真っ直ぐ見つめてくれる貴女が好きです。ずっと、その瞳に私を映してくれますか?」
流石にもうキャパオーバーで、コクコク頷く事しか出来ない。
彼の匂いと体温に包まれて、こんなにも幸せで、鼻の奥がツンとした。
「因みに、ミュウ様の世界では返事をするときにこうやって飛び付くのが慣わしですか?」
ちょっと意地悪な笑顔で、それでも指は優しく、涙を拭ってくれた。
ちょっと困る私を愛おしげにみつめる。
質問は意地悪なのに、愛情いっぱいの視線と態度を私に向けてきてズルい。
私の心臓は煩いぐらいに早鐘を打つし、顔は熱くて湯気が出そうっ!!
そんな私たちの甘い時間に無情の音が響いた。
ぐぅーーーー
「何か摘まむものを持ってきます。」
くっくっと忍び笑いを漏らしながら、レオンハルト様は食べ物を取りに行ってくれた。
ー・ー・ー・ー・ー
会場に戻って二人で果実酒を飲んでいると、バルコニーからゴルゾン王太子殿下の歌声が聞こえてきた。
『まーんげつーのようーにー美しいー君ーをあーいしてーるー。』
どこかで聞いたことのあるフレーズ!
ゴルゾン殿下は大きく夜空に向かって両手を広げ愛の歌を高らかに歌い上げている。
ミュージカル俳優のような見事なビブラートは会場の空気を震わせる。
うっとりと聞いているミモーレット様は心が広い。
絵になる二人だ。
ゴルゾン殿下は求婚の時だけで無く、夜会や舞踏会の度にミモーレット様への愛の歌を捧げているらしい。
53
お気に入りに追加
1,380
あなたにおすすめの小説
転生したら美醜逆転世界だったので、人生イージーモードです
狼蝶
恋愛
転生したらそこは、美醜が逆転していて顔が良ければ待遇最高の世界だった!?侯爵令嬢と婚約し人生イージーモードじゃんと思っていたら、人生はそれほど甘くはない・・・・?
学校に入ったら、ここはまさかの美醜逆転世界の乙女ゲームの中だということがわかり、さらに自分の婚約者はなんとそのゲームの悪役令嬢で!!!?
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
美醜逆転異世界で、非モテなのに前向きな騎士様が素敵です
花野はる
恋愛
先祖返りで醜い容貌に生まれてしまったセドリック・ローランド、18歳は非モテの騎士副団長。
けれども曽祖父が同じ醜さでありながら、愛する人と幸せな一生を送ったと祖父から聞いて育ったセドリックは、顔を隠すことなく前向きに希望を持って生きている。けれどやはりこの世界の女性からは忌み嫌われ、中身を見ようとしてくれる人はいない。
そんな中、セドリックの元に異世界の稀人がやって来た!外見はこんなでも、中身で勝負し、専属護衛になりたいと頑張るセドリックだが……。
醜いイケメン騎士とぽっちゃり喪女のラブストーリーです。
多分短い話になると思われます。
サクサク読めるように、一話ずつを短めにしてみました。
美醜逆転の世界に間違って召喚されてしまいました!
エトカ
恋愛
続きを書くことを断念した供養ネタ作品です。
間違えて召喚されてしまった倉見舞は、美醜逆転の世界で最強の醜男(イケメン)を救うことができるのか……。よろしくお願いします。
婚約者は醜女だと噂で聞いたことのある令嬢でしたが、俺にとっては絶世の美女でした
朝比奈
恋愛
美醜逆転ものの短編です。
男主人公にチャレンジしてみたくで以前書いたものですが、楽しんでいただければ幸いです。
異世界転生〜色いろあって世界最強!?〜
野の木
恋愛
気付いたら、見知らぬ場所に。
生まれ変わった?ここって異世界!?
しかも家族全員美男美女…なのになんで私だけ黒髪黒眼平凡顔の前世の姿のままなの!?
えっ、絶世の美女?黒は美人の証?
いやいや、この世界の人って目悪いの?
前世の記憶を持ったまま異世界転生した主人公。
しかもそこは、色により全てが決まる世界だった!?
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる