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12.初めての舞踏会
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いよいよ舞踏会。
私は異界の渡り人として、国王陛下に紹介される。
今日のために選んだのは、空色のシルクの生地に銀糸で刺繍を施したマーメイドラインのドレス。
髪はアップして毛先を巻いて散らしてもらった。
丸顔なので、シルエットには気を付けたい。
「はぁー。ミュウ様……なんてお美しい。これでは、殿方の注目を集めてしまいますわね。」
舞踏会の支度を整えニナが満足そうに頷いた。
鏡の中には、化粧によって更にのっぺりとした丸顔の私が映っている。
この国の化粧は顔の凹凸をできる限る消し去るように施される。
私には全く美しく見えない!
この顔をレオンハルト様に見られるのは正直言って複雑……。
もっと目元がぱっちり見えるアイメイクをして、好きな人には会いたい。
そんな事を考えていたら、迎えの時間になってしまった。
「レオンハルト様がいらっしゃいました。」
王宮の侍女たちは流石に顔は背けないものの、それでも目を伏せるようにして彼を迎え入れた。
「ミュウ様。お迎えに上がりました。」
入って来たレオンハルト様を見て心臓が跳ねる。
神!!
神々しい!!
いつもとは違う盛装は、レオンハルトさまの美貌を引き立てていて、髪を撫で付けたせいで露になった透き通るような空色の瞳が、色気を醸し出している。
彼は私を見て、少し固まった後、緩やかに笑顔を浮かべた。
「お綺麗です。……想像していたよりずっと……。」
心臓を射抜くような衝撃!
もうっ、素敵ですっ!!
ニナ、ごめんなさい。
化粧に文句言って……。
グッジョブですっ!
私はレオンハルト様にエスコートされ、王宮舞踏会に参加することになっている。
大好きな彼の隣にいるだけで、緊張と幸福感でふわふわしていて足取りも覚束無い。
いよいよ、コールがあり、レオンハルト様にエスコートされて会場に入る。
急に明るい場所に出たせいで、目が眩み、彼の袖をギュっと掴んだ。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。」
明るさに慣れて、視界がはっきりすると華やかな衣裳に身を包んだ貴族たちが此方を向いているのに気がついた。痛いほどの視線を感じる……。
そんなに見ないで欲しい………。
前世から目立つのは苦手で、恥ずかしくて隠れたくなる。
私は美人、私は美人、心の中で唱えて自分を奮い立たせ背筋を伸ばした。
けれど、レオンハルト様を見る貴族達の視線で、彼が今まで周囲からどのような扱いを受けてきたのか分かってしまった。
恥ずかしいとか、目立ちたくないとか、そんな悩みは些細だ。
男性貴族の蔑むような視線。
女性貴族は皆が揃って顔を背ける。
そんな貴族達の態度を気にも留めず、レオンハルト様は優美に歩みを進める。
決して俯かない。
そんな彼を見て私の浮かれた気持ちは引っ込んだ。
彼に寄り添いたくて、少し腕を引くと彼は直ぐに振り向いてくれた。
「ん?どうされましたか?」
僅かに首を傾げ、優しく目を細める。
今までよりずっと強く、彼の事を好きだと思った。
誇り高い、この人を!
「もっと近づいて歩きたいです。」
私たちは会場のどのカップルよりも、身体を寄せ合って歩いた。
「歩きにくくないですか?」
「いいんです。」
近づきすぎて躓いた私を不思議そうに見るが、彼は何も言わなかった。
不自然に身体を寄せ歩きにくそうにしている私を見て、何かを察したのかクックッと笑いを噛み殺している。
レオンハルト様と視線が合う度に微笑み合う。
彼の傍らに寄り添う私が誰よりも幸せに見えるようにと願いながら………。
私は異界の渡り人として、国王陛下に紹介される。
今日のために選んだのは、空色のシルクの生地に銀糸で刺繍を施したマーメイドラインのドレス。
髪はアップして毛先を巻いて散らしてもらった。
丸顔なので、シルエットには気を付けたい。
「はぁー。ミュウ様……なんてお美しい。これでは、殿方の注目を集めてしまいますわね。」
舞踏会の支度を整えニナが満足そうに頷いた。
鏡の中には、化粧によって更にのっぺりとした丸顔の私が映っている。
この国の化粧は顔の凹凸をできる限る消し去るように施される。
私には全く美しく見えない!
この顔をレオンハルト様に見られるのは正直言って複雑……。
もっと目元がぱっちり見えるアイメイクをして、好きな人には会いたい。
そんな事を考えていたら、迎えの時間になってしまった。
「レオンハルト様がいらっしゃいました。」
王宮の侍女たちは流石に顔は背けないものの、それでも目を伏せるようにして彼を迎え入れた。
「ミュウ様。お迎えに上がりました。」
入って来たレオンハルト様を見て心臓が跳ねる。
神!!
神々しい!!
いつもとは違う盛装は、レオンハルトさまの美貌を引き立てていて、髪を撫で付けたせいで露になった透き通るような空色の瞳が、色気を醸し出している。
彼は私を見て、少し固まった後、緩やかに笑顔を浮かべた。
「お綺麗です。……想像していたよりずっと……。」
心臓を射抜くような衝撃!
もうっ、素敵ですっ!!
ニナ、ごめんなさい。
化粧に文句言って……。
グッジョブですっ!
私はレオンハルト様にエスコートされ、王宮舞踏会に参加することになっている。
大好きな彼の隣にいるだけで、緊張と幸福感でふわふわしていて足取りも覚束無い。
いよいよ、コールがあり、レオンハルト様にエスコートされて会場に入る。
急に明るい場所に出たせいで、目が眩み、彼の袖をギュっと掴んだ。
「大丈夫ですか?」
「は、はい。」
明るさに慣れて、視界がはっきりすると華やかな衣裳に身を包んだ貴族たちが此方を向いているのに気がついた。痛いほどの視線を感じる……。
そんなに見ないで欲しい………。
前世から目立つのは苦手で、恥ずかしくて隠れたくなる。
私は美人、私は美人、心の中で唱えて自分を奮い立たせ背筋を伸ばした。
けれど、レオンハルト様を見る貴族達の視線で、彼が今まで周囲からどのような扱いを受けてきたのか分かってしまった。
恥ずかしいとか、目立ちたくないとか、そんな悩みは些細だ。
男性貴族の蔑むような視線。
女性貴族は皆が揃って顔を背ける。
そんな貴族達の態度を気にも留めず、レオンハルト様は優美に歩みを進める。
決して俯かない。
そんな彼を見て私の浮かれた気持ちは引っ込んだ。
彼に寄り添いたくて、少し腕を引くと彼は直ぐに振り向いてくれた。
「ん?どうされましたか?」
僅かに首を傾げ、優しく目を細める。
今までよりずっと強く、彼の事を好きだと思った。
誇り高い、この人を!
「もっと近づいて歩きたいです。」
私たちは会場のどのカップルよりも、身体を寄せ合って歩いた。
「歩きにくくないですか?」
「いいんです。」
近づきすぎて躓いた私を不思議そうに見るが、彼は何も言わなかった。
不自然に身体を寄せ歩きにくそうにしている私を見て、何かを察したのかクックッと笑いを噛み殺している。
レオンハルト様と視線が合う度に微笑み合う。
彼の傍らに寄り添う私が誰よりも幸せに見えるようにと願いながら………。
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