私が美女??美醜逆転世界に転移した私

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14.社交を頑張ります

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前世はしがない一般人の私だが、レオンハルト様との正式な婚約発表をするまでに、幾つかの夜会に出席して欲しいと国王陛下とサンダルース侯爵から頼まれた。

命令では無いが、渡り人をサンダルース家で囲ってしまったと噂されるのは、レオンハルト様の立場が悪くなるそうだ。

そのため、今日も王妃様のご実家であるルブラン公爵家の夜会に出席している。

「ミュウ様、ダンスの相手を願えますか?」

「よろこんで。」

ほんの少し笑って応じる。
お相手の男性は私の顔を見ると真っ赤になり、ダンスのリードも辿々しい。
毎回、4~5人とダンスを踊って帰ってくる。
こうして夜会に一人で参加していると、私は本当にこの世界では絶世の美女なのだと分かる。

貴族令息の皆様が挙って私をダンスに誘いに来る。
私は今後の社交のためにも、愛想笑いだと分かるような笑みを浮かべダンスを踊る。
私からすれば、自分は冴えない外見なのだが、相手の男性がソワソワウキウキしているのが伝わってくる。
私が少しおねだりすれば宝石だって山のように集まるだろう。
そう思える程のモテっぷりだ。

お茶会にも沢山出席した。
そこで私は自分の来た世界ではレオンハルト様がイケメンであることを強調し、惚気話を披露した。
ゴルゾン殿下がイケメンの最高峰に位置するこの国の価値観はなかなか変わらないだろうが、少しでもレオンハルト様への偏見を無くしたかった。


ー・ー・ー・ー

「まぁ、ミュウ様の世界には色んな『萌え』が有りますのね。」

「そうなんです。でね、ギャップ萌えっていうのは……。」

「ミュウ様、レオンハルト様がお迎えに来ております。」

今日はミモーレット様主宰のお茶会。
お迎えの時間なのに、気の置けない女性同士の会話が盛り上がり過ぎてしまった。
侍女の言葉に振り向けば、レオンハルト様が庭園の入り口で待っている。

何気なく佇む姿すらカッコいい!

私は他の参加者の皆様に挨拶すると、席を立ってレオンハルト様の所まで駆け寄った。

「すみません。早かったですか?」
「いいえ。迎えに来てくれてありがとうございます。」

真っ直ぐ彼を見上げれば、私の頬をするりと撫でて微笑んでくれた。
この笑顔をみると、いつも胸がキュッとして少し苦しい。

彼は醜い自分の笑顔が女性の恐怖の対象になると言ってあまり笑わない。
自分の子供がそんな風になってしまうのは悲しいので、私は今価値観の多様化を目指して日々奮闘している。

既に子供の心配!
気が早いっ!
でも、結婚するって事は子供をもうける訳で……。

ちらりとレオンハルト様を見上げる。
相変わらず整った容貌は、最近更に磨きがかかった。
この人と✕✕✕するんだーー

@―#*♯§*@∥※&※%

「どうしました?」

急にじっと顔を覗き込まれ、エッチな事を考えていたのがバレたかと思って慌てて首を勢いよくブンブンと振った。

「な、なんでもないっ、なんでもないです。」

急に挙動不審に陥った私を、イタズラな視線が捉える。

「何を考えてたんですか……。」

「いやっ、な、なんでも無いです。」

頑としてして言わない私を見て、レオンハルト様は悲しそうに顔を背けた。

「私には言えないことなんですね。なんでも言い合える仲になったと思ったのに………。」

あっ!
しまった。
大好きな人を悲しませちゃった?

「れ、レオンハルト様。隠し事では無いです。ただ、将来の子供の事を考えたら、レオンハルト様と……するんだなぁーって思って……。」

あーーーー
言っちゃった!
恥ずかしい……。

「私とするのは……嫌ですか?」

キュッと表情を引き締め、縋るように聞いてくる。私は彼のその表情に弱い…。

「いいえ。むしろ嬉しくて……。」

その言葉を聞いたレオンハルト様は、ニヤリと笑うと、私の頬に手を当てて顔を上向かせた。

とんでもないことを口走ったっ!?

「楽しみ……。そうなんですか?」

少し嗜虐的な笑顔で私を見つめると、私の唇をプニプニと押して、唇を近づける。

「私に、こんな風に触られても良いと……?」
「ふぁ、ふぁい……。」

至近距離で囁かれて、顔は熱いし、息は苦しいし……。目を開けていられなくて、ギュっと瞼を閉じると唇に柔らかい感触がした。

キス……されてる…?

きっとほんの一瞬。
だけど、その時間はとても長く感じられた。
温かくて心地よくて、うっとりとして身体の力を抜くと直ぐに唇が離れていった。

「えっ?」

もう終わり?
温かくて気持ち良かったのに……。

短い、寂しいなんて言えずにレオンハルト様を見上げた。

「ミュウ様……そんな物欲しそうにされると私の理性が切れてしまいますよ?」

え?
そんなに物欲しそうだった?
……いや、少し寂しいかなって思っただけで……。

真っ赤になったレオンハルト様は今までの余裕が無くなってしまった。

「も、もう少しだけして欲しいです……。」

彼の服を引っ張っておねだりすると、レオンハルト様の照れた顔が近づいてくる。
その熱の籠った眼差しに、私を求めている欲を感じて、身体が沸騰したみたいに熱い。

「食べられそう。」

「もちろんたべますよ。」

唇が触れる直前に宣言され、彼の吐息が唇に掛かる
彼の肉食獣のような視線だけで力が抜ける。
私は立っていられなくて彼の首に手を回して身体を預けた。

「あっ……。」

今度は強く唇を押し付けられた。
分厚い唇から流れ込んでくる熱が、私の身体をフニャフニャに溶かしてしまう。
気持ち良くてゆるゆると目蓋を落としてその柔らかな感触を堪能するが直ぐに限界がやってきた。

……………長い、苦しい…

「んっ」

彼の肩を軽く叩いて合図をすると、少し唇を離してくれた。

「……い、息が……。」

はぁはぁと涙目で訴えれば、彼はクスリと微笑んだ。

「すみません。貴女がキスに慣れていないのが嬉しくて……。」
「へ?」
「鼻で息してください。」

耳に息を吹き掛けるように囁かれて再びじっとりと唇を合わせる。

キスってこんなに気持ち良かったの??


身体の力が抜けてくたりとした私をレオンハルト様は横抱きにしてくれて、そのまま馬車に乗り込んだ。


    
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