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番外編 上京してきた大学生の末路

3話

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それからコウジは写真をちらつかされて、何度も平田に呼び出された。
美味しいものを食べさせてもらうこともあった。
ただし代わりに身体を差し出させられる。
たまに気まぐれにお金をくれるが、これが俗にいうパパ活だということをコウジは知らなかった。

「最近、大学であんまり見ないけど大丈夫?」

久しぶりに大学でコウジを見かけた彼は声をかけてきてくれる。
コウジはかなり疲れた顔をして授業を受けていた。

「あ、うん、平田さんによくしてもらってて…」

美味しいものを食べて、お金ももらって充実しているはずなのに心にぽっかりと穴が開いている気がするコウジは戸惑いながらも彼にそう答えた。

「そっか…何かあったら言ってね。力になるからさ」

彼はコウジの様子を察してか優しくそう言ってくれる。

「あり、がと」

しかしコウジの仮初の幸せは長くは続かなかった。



その日、コウジは平田に彼のオフィスの駐車場に呼び出される。
いつもはレストランやホテルに呼び出されることが多いので少し驚いていた。

「あ、平田さん」

いつものようににこやかに挨拶を返してくれると思った。
駐車場に足早にやって来た平田の顔は険しい。

「今からお前の身体で金を稼いで来い。いいな」

それだけ言うと平田はコウジを自分の車の中に引きずり込む。
二人が乗った車は、ものすごいスピードで走り出した。

「え、あ、それってどういう…?」

運転する平田にコウジが尋ねる。

「あ?やっぱりお前はバカだな。俺といつもしてることを他の男とやればいいだけだよ」

やがて一件のアパートの前で車が止まった。

「あの部屋だな。いいか、中にいる男を満足させろ。それから財布からあるだけ金を全部持ってこい。やることはただそれだけだ。簡単だろ?バカのお前でもできるはずだ」

平田は車からコウジを追い出すと顎でさっさと行くように指示を出す。
コウジはパニックになりながらも指定された部屋のチャイムを鳴らした。

「はぁい」

これから見知らぬ男に身体を許すなんて、コウジは恐怖しか感じなかったが、平田に見張られている手前逃げ出すこともできないのだった。



「お金です…」

もらった分と財布から持ってきた分を差し出すと平田は舌打ちをした。

「これっぽっちかよ?あ?」

「す、すみません…」

「全然足りないんだよ…あぁ、もう」

イライラした様子で頭をかきむしってどこかに電話をかけ始める。
コウジは一刻も早く疲れた身体と心を休めたかったが、平田はそれを許してはくれなかった。

「次行くぞ」

また別のマンションの前で降ろされた。
同じことをして来いと命令される。

こうしてコウジは毎日、毎日自分をすり減らしながら平田のために身を粉にした。
そのうち平田の車にはコウジ以外も乗せられ、複数人でやらされるようになった。

しかしそれも長くは続かない。
通報されてしまったからだ。
内心、コウジはもうやめたいと何度も思っていた。
救われた気持ちになったがそれは甘かった。



「それでは皆様ご覧ください!」

コウジは共犯者たちと共にゲームショーの舞台の上に尻だけ提供させられた。
舞台に上がる前に、平田が手酷く調教される姿を見せられ、次はお前たちだと見せつけられる。
そして舞台上では誰ともわからない不特定多数に犯され、見られて気絶する。
そんな日々の中、コウジはどんどんと絶望していった。

「俺の人生、ここまでか…」

尻穴だけいいように使われて終わってしまうのだろうか。
憧れていた大学生活を送ることなくこのままなのだろうか。

平田を恨もうにももう彼には正気を失ってしまっている。
コウジには自分の未来が何も見えなくなってしまっていた。



「よかったな。貰い手が決まって」

絶望に染まったある日いきなり拘束から解放された。
ゲームショーの舞台には出なくてよくなったと言われた。
その代わりコウジを買い取った人がいる、と。

「誰、なんですか」

コウジは自分の拘束を解いた人に問いかける。
自分を買ったのは、誰なんだろう。

「さぁな」

その人物のとの対面は案外早かった。

「コウジくん、迎えに来たよ」

コウジを抱きしめたのは大学の同級生の彼だった。
平田と自分を出合わせた彼だったのだ。

「どうして、ここに?」

コウジは困惑しながらも彼に尋ねる。

「言っただろう?君が困ったら力になるって」

彼はしっかりとコウジを抱きしめる。
コウジは彼の身体に抱き着きすがった。
そして溜まりに溜まっていた涙を流し始めた。

「あんなクソみたいな人間に騙されて…かわいそうに。俺が全部忘れさせてあげるからね」

頭を優しくなでてくれる彼にコウジは何度も頷く。



それからコウジはそれまで住んでいた部屋を引き払い、彼と一緒に暮らし始めた。
大学には共に登校し、それ以外にも何をするにも一緒だった。

「本当にいいの?」

「う、うん」

優しく接して決してコウジに無理強いしない、そんな彼にコウジが身も心も許すのは当たり前のことだった。

「ずっと大切にするからね」

彼のその言葉に救われたコウジであった。



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