学校にいる人たちの卑猥な日常

浅上秀

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雨の日の純情

中編

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二人を雨音が包み込む。

「最近クラスでどうだ?」

「んー、特に何もないですね」

「そ、そうか。部活とかはどうだ?」

「先生、僕帰宅部ですよ」

「あ、そうだったな」

弾まない会話が続く。
意外にも駅から学校まで15分ほどで着くので、気まずい空気もすぐに終わりを迎えると思われた。

「え、まじかよ…」

奥野の最寄り駅方面の電車がなぜか止まっていた。

「先生、あっち方面なんですか?」

「あ、あぁ。葉山は大丈夫か?」

「はい、僕はこっちなので」

葉山が指をさした方面の電車は通常運転しているようだ。

「はぁ、しょうがない。歩いて帰るか…葉山、気を付けて帰れよ」

奥野はとぼとぼと再び雨の中を帰ろうと傘を開きかけた。

「せ、先生!良かったら僕の家で雨宿りしていきませんか?」

「は?」

「駅から家まで傘持ってないから濡れちゃうし…」

「いやいや、親御さんに迷惑だろ」

「大丈夫です、今日二人とも旅行でいないので」

葉山は一人っ子だ。
家には完全に一人である。
それでも本当に生徒の家に行ってもいいのだろうか。
奥野は考えた。

「先生?早く行こ?」

「あ、あぁ」

気が付くと葉山に手を引かれて電車の乗り込んでいたのだった。



葉山の家は駅からすぐ近くのマンションの一室だった。

「これなら傘がなくても大丈夫だったんじゃないのか?」

エレベーターに一緒に乗り込みながら奥野は言った。

「だって濡れたくないもん」

葉山は頬を膨らませた。
エレベーターを降りて部屋の前まで向かうと葉山が手慣れた手つきで鍵を開ける。

「どうぞ」

「お、お邪魔します」

玄関に靴をおいてフローリングの床を進むと突き当りには広いリビングがある。

「先生、濡れた?風呂入る?」

「は?さすがにそれは申し訳ないから遠慮する」

思わず苦笑いを浮かべながら断る奥野。
しかし葉山は奥野の手を取ると脱衣所に連れてきた。

「はい、これ新品のタオル。着替えは出しておきますからごゆっくり~」

「お、おい!葉山!!」

葉山は脱衣所の扉を閉めてしまった。
奥野はため息をつく。

「しょうがない…ここは甘えさせてもらうか」

スーツを脱いで裸になる。
風呂場に入ってシャワーで身体にお湯をかけると冷えていた身体がじんわりと温まる。

「先生~スーツかけておくね」

「お、おぅ、ありがとう」

脱衣所の扉越しに葉山に声をかけられた。
身体を洗っている間に湯船にお湯が貯まったチャイムが鳴る。

「葉山は気が利くな…」

全身がほっこりと温まる。

「失礼します~」

和んでいたら急に浴室の扉が開いて裸の葉山が入ってきた。

「は、ははは葉山!?何してるんだ!?」

「ん?僕も温まろうと思って」

「じゃ、じゃあ俺は出るから!」

奥野は慌てて湯船から立ち上がる。

「いいよ、先生はゆっくりしてて」

葉山はさっと身体を洗うと奥野のいる湯船に一緒に入ってきた。
ザプリと波を立ててお湯があふれる。



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