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飛衛の話
しおりを挟む♤西村 希乃(にしむら きの)
西村艦長:戦艦榛名の最高司令官
☆本編☆
出撃命令が出たことはとても喜ばしい。こんな僕でも実力を認められたってことだ。嬉しい。だけど…何かひっかるものがあった。こんな簡単にも出撃できるのか?まるで、何かに呼ばれている。5年前と感覚が似ていた。
「出撃命令が出されたからといって、慢心はするなっ!その慢心が自分自身を…その周りさえも巻き込んでしまう!己の行動には自信を持て!その行動には意味があるかもしれないからなっ!五省を忘れるなっ!」
僕の上官がそう語ってくれた。それに僕は力強く頷く。
「飛衛少尉、ちょっといいかしら?」
「は、はいっ!」
僕に声をかけてきたのは、戦艦榛名に搭乗する最高司令官。みんなからは提督と呼ばれている。西村 希乃だ。
「西村艦長?何か、僕に用でもあるんですか?」
西村艦長もキョトンとした。
「キミ、面白いわね。用が無いと話しかけちゃ、ダメなのかしら?
「別にそう言うわけじゃありませんけど…ってそんなに面白いですか?」
西村艦長は、笑いながら話を続ける。それに、釘をさす僕。
西村艦長は、次第に真剣顔になって言う。
「飛衛少尉に、聞きたいことがあるの…あなたって、この時代の人じゃないわよね?」
西村艦長は、僕の秘密を知っている?それとも、西村艦長も仲間なのか?
「…どうしてそう思うんですか?」
探るように探るようにして、言葉を探して艦長に問いかける。
艦長の鋭い目付きは僕を射ぬく。
「強いて言うならば、ポケットに入ってる…スマホかしら」
息を飲んだ。正解、この人は仲間だ。
「……いつから?いつからなんですか!?艦長は…いつから、知ってたんですか?僕が違うって…」
「そうねー、貴女が入隊してきた時かしらね。他の子とは何かが違くて、それとなく監視していたのよ。そしたら、スマホを取り出していたのを見たの。この時代、携帯は愚か家電製品なんてほとんどない。通信機って言い張っても個人で持ってるなんてほぼあり得ない。そう、考えたら違う時代の住民になるでしょ?そうでしょ?飛衛少尉」
ここで押し黙るのも癪だし洗いざらい話すことにしようと思う。
「艦長がどこまで信じるかはわかりませんが、僕は魔法が使える永遠って時代から来たんです。12歳の時にここに呼ばれて来たんですけど、とにかく情報を知るために思って適当に書類を揃えて魔法を使って他人の家にお邪魔して生活をして、やっと年が充したので海軍に入隊をしたんですけど…こうも簡単にバレるなんて思いませんでしたけど」
「私もそうだからね…」
そう艦長が言った。
「えっ?艦長も…っ何だっ!」
艦長もそうなんですか!?そう聞こうとした時艦船が大きく揺れた。艦内に備え付けられているスピーカーから慌ただしい声が木霊した。
「敵襲っ!!総員、衝撃ニ備エタシッ!」
咄嗟のことすぎて、艦長にもたれかかってしまった。艦長の体は強くて暖かくて、微かに震えていた。
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