戦争奇譚

榛翔

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出撃!!

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 艦船が揺れてから数分後が立ち、状況をまとめるのを手伝ってくれと艦長に言われ、同行することにした。やがて艦長は船内にあるスピーカーを通して報告を始めた。

「先ほどの敵襲は、夢戦ナイトメアだと確認された。夢戦アイツラは、国と国の争いの間に突如として現れた。どうして襲うか未だに不明瞭な点が多い。夢戦が襲って来ていたとしても、私たちの目的は変わらない!絶対に、領土を奪い返すぞっ!」

 ナイトメア…それは、僕たちの世界から恐らく飛んで来たんだろう。本来のナイトメアは普通に生活している分には人を襲ったりしない。人が何かを起こすと止めに来る。例えば、いじめ・万引き・遊園オンナソビ。そして、殺人。戦争がきっと殺人に分類されて、人を止めにかかるんだと思う。それが、本来のナイトメアの仕事だ。

「今回の作戦では、速さが必要だ。戦闘機で敵地へ奇襲をかける。恐らく、夢戦が出現したことを向こうも捉えていると思う!心して、かかれ!」

 艦船をかける船員たち。僕も操縦する戦闘機へと移動しようと艦長から離れようとしたら。

「あぁ、飛衛少尉。まだ、話の続きがある。ここに残って」

「あっ…了解であります」

「悪いが、私は飛衛少尉と話がしたいから席を外してくれ」

 司令室にいた者たちが、部屋から出ていった。

「そんなに固くしなくていいわよ」

 艦長の言葉で僕はやっと背よっていた重い荷物から解放された感覚を覚えた。

「貴女には朗報かもしれない情報を掴んだわ。貴女にはそこに向かってもらいます」

「その朗報っていうのは?」

「そうね、貴女がさっき言いかけてたと思うけど、私も永遠(ゼロ)時代の人だから。これでも魔法に関しては結構分かるつもりだから。さっき、微かにだけど貴女じゃない反応を感じたの。簡単にいうと新たな魔力が生まれる兆しがあるってことよ」

「それって…この時代に僕たちと似たような人が来るってことですか?!」
 
 僕は興奮を抑えられなくて、艦長に寄る。それを簡単に手のひらで抑えられた。

 艦長はどこか物思いにふけながら語り始めた。
「はいはい、興奮するのは分かるけど。とりあえず、聞いて。この戦艦榛名はね…幸運艦で、金剛型の中でも最後まで生き延びた艦なのよ…ってそれは貴女も知ってるわね」


榛名コノコはね、私たち永遠時代の人たちを呼び寄せているの。もちろん、この艦に集められている大半は、ゼロ時代の人たちよ。みんなが言おうとしないから違うって思っているけどね。まぁ、そんなことがあるからきっと榛名には何かあるのかもしれないわね。貴女も榛名によばれたのよ。自覚はないと思うけどね。呼ばれる基準みたいなものがあるとは思うんだけど…そこはまだ分からない。ごめんなさいね」

 艦長は申し訳ない気持ち頭を下げた。

「そ、そんな、艦長、謝らないでください!そのことについては、僕も一緒になって考えますからっ!」

「えぇ、ありがとう…さぁ、私たちの戦いを始めましょう」

「了解っ!!」



「作業している時に悪いが僕の機体はどれだい?」

 いくつかある戦闘機に何人かの整備士が手入れをしていた。近くにいた整備士に声をかけた。

「これはこれは、少尉殿!お待ちしてました!」

 整備士は、僕とあまり身長は変わらなく、頭にはバンダナをつけて、Tシャツの左袖を切ってあって何かを巻いていた。肌は少し焦げていて、顔にも黒いスミがついていた。

「少佐殿には、特別仕様になっております!ゼロ時代ってことなので、見やすい感じに保起こしてあります!この機体にはまだ名前がありません。少尉殿、つけてあげてください」

「なるほどっ!確かに見やすいなぁーここのカーソルがなんとも…ってなんで!?」

 整備士は、淡々と機体の説明をした。が、聞き捨てになれないセリフが聞こえた。そう

「なんで、ゼロ時代って分かって…」

「バレてないと思ったんっすか?だっははははっ」

 整備士は、お腹を抱えて爆笑した。そんなに笑うことか?艦長といいこの船内にいる人は、笑いのツボが浅いとか?

「結構、バレてますってー。まぁ、気を張りすぎるのもダメっすから!ここで、緩んだってことで、許してくださいよ~」

 整備士は、ヘラヘラしながら頭を掻いた。

「ったく…飛衛少尉、出撃スル!」

 出撃態勢を終え司令室宛に通信をし程なく返信が来た。

「…飛衛少尉ノ出撃ヲ許可スル」

 コックピットに入る前にもう一度、機体に触れた。

(じゃあ、行こうっか。疾風ハヤブサ

 初めての実戦。それも、単独で。生きて帰れるのか?違う、生き残って仲間を探しに行くんだ。
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