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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その40
しおりを挟む試合が始まった。
相手は権能の力により、アンデッドと化した精霊を操っている。
本来であれば異常な事象なのだが、逸脱者連中に常識は通じない。
現実を受け止め、アンデッドに有効な製属性を付与した“千変宝珠”を放つ。
「……チッ」
「データ通りの結果だよ。アンデッドとはいえ、精霊としての性質はそのまま。つまり高い魔力抵抗性を有しているわけさ」
弱点となっている聖属性、だが攻撃を受けてもまったく減らないアンデッド精霊。
数を増やして何体か減らしたが、検証とやらを止めない限り数は一定を保つようだ。
「いったい、どのような絡繰りなのやら」
「質問に答えよう。僕の権能は至って単純なものさ──禁忌を踏み倒す、それだけだよ」
「……それだけ、ですか」
「そう。失敗すればリスクは生まれるし、成功しても自在に操作できるわけじゃない。ただ何をしても、その行いが禁忌として認定されない。ただそれだけなんだよ」
彼女の発言に嘘が無いのであれば、何ともまあ恐ろしいものだと思う──彼女自身が。
だがその在り様はある意味、『生者』の権能と似たようなものだろう。
一点、一つの事柄のみに権能の力を集約させることで理不尽を体現している。
俺ならば死亡時の復活、その速度が休人の誰よりも早いこと。
それ以外の要素は[称号]とアイテムによるもの、場所の指定やデスペナ無効などだ。
つまり『忌創展概』を強者足り得る存在にしているのは、彼女自身ということになる。
「職業やアイテム、あるいは加護……恵まれた環境でこそ、その権能は真価を発揮する」
「正解だよ。それを提供してくれたのが、他ならない僕のパトロンというわけさ」
「……生産世界ですか」
「ここで迷わず人ではなく星だと考える、君は間違いなく知っている側か。うん、ますます検証のし甲斐があるね」
さすがに職業の提供はできないだろうが、アイテムと場所ぐらいは用意できるだろう。
目的は生産世界の発展、そのために多少の禁忌を見逃すレベルで……危険だろうに。
「ああ、無論ノーリスクとはいかなかったとも。きちんと星約を結び、星にとって有意義な研究をしているとも」
「有意義、ですか……」
「……」
俺の訝しむ視線も何のその、笑みを浮かべている『忌創展概』。
まあなんだ、契約って割と抜け道が用意されているものだからな……仕方がないさ。
そうこうしている内に、精霊たちの数が減り始めた。
最初に零した謎の液体、どうやらその量に応じた数までしか出現しないようだ。
「さて、次の検証といこうか」
回復系以外の持ち込みは自由だ、つまりその数だけ彼女は検証を行うのだろう。
制限時間があるとはいえ、好き勝手にやらせるのは不味い……手を打たねば。
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