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DIY、とにかく戦い続ける
闘技大会無制限部門前篇 その39
しおりを挟むついに俺の番となった。
生産世界の『星宝級職人:忌創展概』、それが俺の対戦相手である。
≪それでは、試合開始です!≫
様子見、などとは言ってられない。
今回ばかりは容赦なく、『SEBAS』が待機状態していた“ニュートンの林檎”を発動して投射する──が、
「……ダメ、ですか」
「いきなりとは驚いたよ。だが、さすがにタネを明かし過ぎたね」
平然とした姿を見せる『忌創展概』。
全体的、あるいは脳に限定した対策を取りさえすれば、この術式は防ぐことができる。
どうやら試合の間に解析を済ませ、対策を講じていたようだ。
ただでさえ逸脱した連中は星から俺を狙う指示が来ている、調べるのは必然だったか。
「まさか、これで終わりというわけではないだろうね?」
「ええ、まだまだ手札はございますよ」
「それは良かった。なら、少しでもやる気になるように、僭越ながらお手伝いさせてもらおうか」
彼女は試験管を一本、白衣の内側から取り出すと──それを床に垂らす。
いったい何が目的なのか、その答えはすぐに目の前で明らかとされた。
「……これは、精霊? ですが、この瘴気はまさか……」
「『禁忌検証No.18:精神生命体のアンデッド、及びその使役』。再検証といこう」
液体が床に染み渡ると、地面の一部が泥のように崩れ、そこから何かが浮かび上がる。
それは昏く、おどろおどろしい瘴気を放つ球体、精霊と呼ばれる存在に似たナニカ。
「本来、精霊に死は存在しない。彼らは星と共に生き、自我を消滅させた後も星のサイクルの中で何度でも蘇ることができる。だが、その一方で瘴気による堕落も観測している。ゆえにこうして、使役もできるわけだ」
「…………はは、なるほど。たしかに、これは禁忌かもしれませんね」
自然そのものと言ってもいい精霊を、このように『使う』というのは、人として休人でも思うところがあるかもしれない。
精霊、ではなく精神生命体と言っている辺りがこの検証の恐ろしさを示している。
……絶対他にも被験体にしているだろう、そうツッコミたかった。
そうこうしている内に、精霊のアンデッドが動き出しこちらに攻撃を放ってくる。
基本的には精霊と同じ、属性魔力を飛ばす感じだ……ただし、瘴気が渦巻いた。
「──“千変宝珠・聖”」
対抗するように展開するのは、何にでもなれる万能の魔力球。
そこに邪を払う聖なる力を籠めて放てば、相手の属性に関係無く瘴気ごと対処できた。
ノーマルな個体ならそれぞれに合わた対処が必要だったが、今回は全部が瘴気付きなので簡単だったとも言える……ただ、その間もずっとこちらを見ている彼女には警戒だな。
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