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「彼女が姉になる」お泊りデート。
しおりを挟む彼女は、
「車のドアを開ける」ということをしなかった。
生れてから、
常に、「ドア」は開けてもらうという生活をしてきた。
もちろん、
日常。
部屋のドアは自分で開ける。・・・・ショップ。教室・・・
しかし、
それとて、「誰もいなければ」であって、
基本的には、自分では開けない。
「淑女は自らドアを開けるものではない」
同行する男性が全てをするもの。
それが、レディーとしてのマナーであり、
「そうされる女性になりなさい」
両親から教育されてきた。
また、
両親からは、
こうも言われてきた。
「レディーファースト」
その国家の「文化度」を表す尺度である。
その程度が低いのは、
「後進国」の証だ。
「ダカラ・・・・日本、感動シマシタ・・・・」
Mimiは、
初めて日本のタクシーに乗った時に感動したそうだ。
・・・・そう、
目の前に止まったタクシー。
ドアが自動で開いたんだった。
「コンナ、レディーファーストノ国、見たコトアリマセン・・・・」
Mimiは、
タクシーの自動ドアが、
「オ・モ・テ・ナ・シ」ではなく、
「レディーファースト」だと思ったんだとさ・笑。
「日本。
アメリカより、ヨーロッパより、レディーファースト進ンデマス」
ボクは、
Mimiの行きたいところ、
その全てに、
「従者」のように付き添った。
彼女の前にドアがあれば開けた。
「従者」
「執事」
「通訳」だった。
ドライブで、
そして、
ご飯を食べながら、
景色を見ながら、
いろんな話をする・・・
いつも、
ボクが「兄」で、
Mimiが「妹」だった。
・・・しかし・・・・
あるとき、
Mimiと向かった先は、
「幼稚園」だった。
先進的な、
英語をはじめとした幼児教育を行うところだった。
幼稚園児たちが・・・・3歳児・・・4歳児たちが、
楽しそうに、
遊びながら学んでいる・・・・
ふたりで、
その景色を見ながら、
なんともいえない笑顔になっていた・・・・・
3歳・・・4歳・・・
最も可愛い盛りの頃だ・・・・
帰り道。
互いの子供時代の話になる。
Mimiの想い出は・・・
可愛らしく、
美しいものだった。
恵まれた家庭環境。
ふたりの兄に愛された幼少期・・・
・・・・・ボクの想い出は・・・
「辛い想い出」だった。
・・・・そう、
弟と生き別れとなった経験・・・
ここで描いてる、
「父を愛した」父を憎んだ。
それが、ボクの子供の頃の悲しい体験だ・・・・
コンビニ駐車場。
停められた車内。
ボクは、
Mimiに抱きしめられ、
優しく・・・・優しく・・・頭を撫でられた。
彼女は、ボクのために泣いてくれた。
号泣だった。
彼女は、
「姉」のように、ボクを包み込んでくれた。
ボクは、
彼女の胸に抱かれ、
「愛情」を感じていた。
母のような・・・姉のような・・・・
柔らかな・・・・あたたかな・・・やすらかな・・・肉親の情愛だった・・・・
・・・・・次のデート。
彼女が、
「行きたい場所」
それは、軽井沢・・・・・長野県の施設だった。
日帰りで行くには、ちょっと遠い場所だ。
日帰りだと難しいよ。
泊まりでもいいのかい?
「Yes no problem」
・・・・こうして、
初めての「お泊り」デートが決まった。
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