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《色世界編》一章 策謀揺れるアカデミー
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「見て、『無色』のアルカナよ」
「よく来れるわよね、魔力だけの『落ちこぼれ』なのに」
(―――憂鬱すぎる)
はあ、と溜息を一つ吐いて、公爵令嬢アルカナ・アルフェジアは廊下を歩いていく。
彼女を遠巻きにする視線はどれも軽蔑や忌避のもので、憧憬や興味の類は存在しない。
シディル国の国立アカデミーは、全国民を対象にした幅広い教育を行うことでとても有名な学園である。
その中でも魔法教育については世界随一であり、沢山の魔法使いを排出していた。
魔力がある者は魔法が使える。
これは世界の誰もが知っている常識だ。
誰もがこの枠から外れず、魔力がある者は「七色」に分類される。
これは世界に「魔法」を与え、司るとされる7人の神に由来し、魔法は必ず「どの神が司る属性の類なのか」で分かれ、どの属性に適性があるかで人間も分類されるということだ。
魔力がある者は魔法が使える。
そして使える魔法は七色のうちのどれかであり、魔法が使えるということは、神に選ばれたということ―――
魔力のあるなしに関わらず教育される、誰もが知っていること。
(私はどの色でもない。魔力を持ちながらどの色の魔法も使えない、『無色』であり『落ちこぼれ』)
魔力がない者はいる。
だが、魔力を持ちながら魔法が使えない者の前例は聞いたことがない。
(……魔力があるから、私は魔力なしの『普通科』の生徒になれない)
アカデミーにて、魔力がない者は魔法の授業がない『普通科』になる。
だが魔力のあるアルカナは『魔法科』に入らなければいけなかった。
(いや、魔法科であることはいいのよ。問題は『無色』の私の持つ力のこと。無闇に人に話せない秘密)
アルカナは、自分の教室―――最低クラスの『D』の教室に入り席に着くと、自分の白い掌を見つめた。
(私は無色。無色という色であり、無色の魔法が使えること)
言うならば、自分だけがもつ「八色め」の力。
それが、13歳のアルカナが、今まで自分の力に向き合ってきて出した結論だった。
「よく来れるわよね、魔力だけの『落ちこぼれ』なのに」
(―――憂鬱すぎる)
はあ、と溜息を一つ吐いて、公爵令嬢アルカナ・アルフェジアは廊下を歩いていく。
彼女を遠巻きにする視線はどれも軽蔑や忌避のもので、憧憬や興味の類は存在しない。
シディル国の国立アカデミーは、全国民を対象にした幅広い教育を行うことでとても有名な学園である。
その中でも魔法教育については世界随一であり、沢山の魔法使いを排出していた。
魔力がある者は魔法が使える。
これは世界の誰もが知っている常識だ。
誰もがこの枠から外れず、魔力がある者は「七色」に分類される。
これは世界に「魔法」を与え、司るとされる7人の神に由来し、魔法は必ず「どの神が司る属性の類なのか」で分かれ、どの属性に適性があるかで人間も分類されるということだ。
魔力がある者は魔法が使える。
そして使える魔法は七色のうちのどれかであり、魔法が使えるということは、神に選ばれたということ―――
魔力のあるなしに関わらず教育される、誰もが知っていること。
(私はどの色でもない。魔力を持ちながらどの色の魔法も使えない、『無色』であり『落ちこぼれ』)
魔力がない者はいる。
だが、魔力を持ちながら魔法が使えない者の前例は聞いたことがない。
(……魔力があるから、私は魔力なしの『普通科』の生徒になれない)
アカデミーにて、魔力がない者は魔法の授業がない『普通科』になる。
だが魔力のあるアルカナは『魔法科』に入らなければいけなかった。
(いや、魔法科であることはいいのよ。問題は『無色』の私の持つ力のこと。無闇に人に話せない秘密)
アルカナは、自分の教室―――最低クラスの『D』の教室に入り席に着くと、自分の白い掌を見つめた。
(私は無色。無色という色であり、無色の魔法が使えること)
言うならば、自分だけがもつ「八色め」の力。
それが、13歳のアルカナが、今まで自分の力に向き合ってきて出した結論だった。
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