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変化

狭間……

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帰宅後。
(やっぱり家が落ち着くな~)

今日は祝日でシャワーを浴びてベッドに横になって色々考えた。

入社してから約一年、最初は変化に戸惑っていた女性的な生活もだいぶ慣れてきた。

社長のおかげで生活も安定してきたし、何より毎日が楽しく感じてきた。

社長は本当にいい人で僕をいつも気にかけてくれる。
そして昨日の事を思い出した。

社長とのキス…あれはなんだろう? 
今まで感じたことのない不思議な感情が芽生えていた。


そして白上さんに対しても同じような感情を抱いていた。
僕は誰の事が好きなのだろうか?


でも今はそれ以上考えるのをやめることにした。


翌日、僕はいつものように出社した。

「おはようございます!」

すると二階堂課長から

「あ、ユウちゃんオハヨー着替えたら社長に今日の予定の書類渡してきてね」

「わかりました」

なんだか一昨日の事があり少し気まずいけど…社長に書類渡さなきゃ…と思いながら社長室に入った。

「失礼します」

「あ、ユウちゃん!おはよー」

「せ、先日はお招き頂いてありがとうございました」

「うふふ、楽しかったわね、ユウちゃんはどうだった?」

「はい、とっても美味しい料理とワインで……」

「あら、それだけ?」

「いえ、あの……」

「ねえ……また二人だけで飲みましょうね♪今度はもっと大人っぽいことしようね……」

そう言って僕の耳元に囁いた。

「あ、はい……」

僕は顔を赤らめて俯いた。

「あら、ユウちゃんメイク薄いよ、こっちにいらっしゃい、直してあげる」

「え?あ、はい……」

僕は言われるままソファに座った。

「今のヘアにはしっかり赤いリップしないと合わないわよ……ほら」

社長は自分の口紅を取り出し僕の唇に塗っていった。

「んっ……」

「かわいい声出しちゃって……だいぶ上手くなってきたけどまだまだね……」

「すいません……」

「はい、出来た。綺麗よ♪このリップあげるから使いなさい」

「ありがとうございます」

「あ、社長これ今日の予定です」

そう言って書類を手渡した。

「うん、ありがと。あらあら今日もハードね…準備しなきゃ」

僕は予定を渡してオフィスへ戻った。

社長と向き合うとあの日の事を思い出してしまって顔が熱くなる。


社長は二階堂課長と出張だし、僕はゆっくり書類の整理をすることにした。

休憩時間になり化粧品を買う為に17階に向かった。一人エレベーターに乗ると途中から白上さんが乗ってきた。


「あっ……」

「あら、どこのモデルさんかと思ったら山名君♪」

「こんにちは……」

「休憩なのに忙しいの?」

「い、いや17階に行こうかなと思って」

「私も着いて行こうかな~」

「あ、じゃあ化粧品切らしちゃって、今髪型とか変わったから一緒に選んでもらっていいですか?まだよくわかってなくて……」

「もちろんよ、私がバッチリ合うの選んであげるから任せて」

「お願いします……」

17階へ着くと白上さんに腕を組まれてコスメ売り場へ向かった。

「どれがいいと思う?私はこれがオススメだけど……」

「あ、なるほど…こういうの使った方がいいんですね」

「せっかく可愛いんだからしっかりアピールしないと」

「は、はい…」

僕は鏡の前で色々試された。

(こんなに変わるもんなのか?)

一通り白上さんに選んでもらって何とか買い物は済ませた。

「色々ありがとうございます、白上さんは買うものはないんですか?」


「あ、そうそう香水買おうと思ってたのよね~」

「じゃあお礼に僕に買わせて下さい」

「え?悪いわよ」

「そんな事ないですよ、いつも気にかけてもらってるので」

「じゃあお言葉に甘えようかな♪」

そう言うと白上さんはいつも香水を買っているお店へ向かった。

「あ、これ2つ下さい」

(2つも買うのか……)

今月は臨時の手当もあって財布は余裕があって会計を済ませた。

「はい、これ」

白上さんは2つ買ったうちの1つを僕に渡した。

「え?僕にくれるんですか?」

「だってそれ私のお気に入りなんだよ、いつもつけてて山名くんからも私の匂いするといいな~なんてね♪」

僕はドキドキしてしまった。

「あ、ありがとうございます」

「早速つけてみて、私のお気に入りなんだよ」

僕は首筋につけた。

すると白上さんと同じ匂いがして更に心が高鳴っていった。

「あ、はい……凄くいい香りですね」

「でしょ~♪あ、そろそろ戻ろうか」

「そうですね」

二人でエレベーターに乗り込んだ。

「じゃあ私はここで降りるね、がんばってね~♪」

そう言って手を振って降りていった。

なんだか少し寂しさを感じながらオフィスに戻った。
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