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第2章

「保留…」

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 オレの頭をよしよし撫でながら、ルカがオレを見下ろす。

「そろそろ行くか、下」
「……うん」
「料理、したいだろ?」
「うん」

 ルカ、絶対疲れたろうし。

 ――――……ごはん、食べさせてあげたいし。
 だから、キスはしないし、続きも、またあとでだけど。

 頷いてから、ルカを見上げる。

「――――……」

 首に腕を回して、引き寄せて。
 その頬にキス、した。

「食べて……片づけたら――――……」
「――――……」

 驚いた顔をしてるルカに、ものすごく、恥ずかしくなりながら。

「……ルカが元気だったら……しよ?」

 いつもは誘わないけど。なんか、ルカの生きてるっていうのを感じたくて。したいなって思ってるから。
 オレ的には、すごくすごく勇気を出して誘ってみたのだけれど。
 ルカは、なんだかすごく嫌そうに眉を顰めて、オレを見下ろした。

 え゛。
 そんな嫌そうな顔しなくても……。
 そう思ったら、両頬をぶに、とつままれた。
 そして、ルカってば。大きく大きく、はぁぁぁとため息をついてるし。

「……お前、今オレがすげー我慢してるって、分かってないの?」
「んー……分かってる……かな?」
「嫌がらせか?」
「…………そんなつもりはないんだけど……」

 困ってると、ルカが、最後にちゅ、と頬に口づけた。

「…………覚えてろよ」

 そのまま、くしゃくしゃ頭、撫でられる。

 ――――……ほんとに、口にはキス、しないんだ。
 キスしたら、ルカ、我慢するのがそんなに無理なのかな? と思うとなんだか少しおかしい。

 こんなカッコイイ王子で、すっごくオレ様って感じだし。そういうことにもめちゃくちゃ慣れてて、今までいろんな人とシてきてて、いっつも余裕っぽいのに。キスしたら、我慢できなくなっちゃうとか。

 変なの、ルカ。

「……もう離してもいいか?」
「……?」

「落ち着いたか?」
「あ……うん」

 安心した。ルカが、ちゃんとここに居るって。しばらく、心臓の音聞いて、やっとちゃんと、思えた。

「じゃあアラン、手伝いに行く。ルカも、皆のとこ行く?」
「ああ。オレも行く」

 二人でキッチンへと降りていくと、皆がオレ達を見て、笑った。

「なかなか来ないから、上で始まったのかと思った」

 ゴウの、いつも通り、デリカシーのかけらもないセリフ。
 でも皆も笑ってて何も言わないところを見ると、皆もそう思ってたのかと思うと、かなり恥ずかしいけど……でもこんなこと思われるのは、ルカの日ごろの行いが悪いだけだから、オレのせいじゃないに違いない。
 スルーを決め込む。

「アラン、ごめんね、手伝う」
「ん」
「何すればいい?」
「じゃあサラダ作って」
「分かった」
 エプロンをつけて、アランの隣に並ぶ。

「何してたの、上で。再会の感動に浸ってたのか?」
 テーブルに居るゴウの隣にルカが腰かけると、ゴウがまた、そんな話をルカに振ってる。

「何してたってほどのことはねぇけど……キスもしてないしな」

 ルカが普通な感じでそう答えていて、周りに座ってる皆も、珍しい、とか言って笑ってる。

「ああそうだ。――――……ちゃんと、ソラにプロポーズしてた」

 ……!
 オレがルカを振り返ると、皆が一斉にオレを見た。

「……って言っても、こないだもしてたよね?」
 リアが笑いながら言うと、アラン以外の皆は、確かに、と笑う。

「なに、結婚申し込まれてんの? ソラ」
「……そうみたい」
 アランの質問にそう答えたら、アランは可笑しそうに笑った。

「その様子だと保留中?」
「考えるって、答えたの」

「なるほど」

 ますます面白そうに笑うアランに、苦笑い。

 



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