【ドS勇者vsオレ】オレ様勇者に執着&溺愛されてるけど、ドSだから大変✨奨励賞受賞

悠里

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第2章

「戦う能力」

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 何とか無事なご飯たちを食べることになった。
 スープは、鍋のが残ってたから温めて入れ直す。

「床は後でまとめて流すからほっといていいよ」
 アランの言葉に頷いて、皆で食事の続き。

 ミウはもうお腹いっぱいみたいで、オレの膝からふわっと飛んで、空中をふわふわ浮き始めた。部屋の中を飛びながら、色々見てまわってる感じ。可愛い。


「さっきの魔物が大量に居るっていうのはわかんねえけどさ」

 アランが考えながら、話し始める。

「波を起こしてる大元は居ると思うよ。ああいうのがたくさんいて、皆でやってるなら、もっと波がバラバラにおこるんじゃねえかな。休憩時間みたいなのも、たくさん居たらそんな無いだろうし……まあ通常の波とは違うからそう思うってだけだけど――――……でかいのが居る、とは思うんだけどな」

「でかいのが居るとして、でもさっきみたいなのがたくさん居ると、厄介だよな。正直、オレ、することねえけど」

 ゴウが苦笑い。

「剣だけだと効かねえし。魔法を使えるリアとキースはいいけど」
「でもあたしたちの魔法じゃ倒せないもんね。ずっと魔法で攻撃して、結界がはれなくなる位弱らせるとか……ちょっと無理だよね」
「無理だね。向こうがが弱る前に、こっちの魔力が切れる気がする」

 ゴウもリアもキースも、珍しく、困り顔。

 ルカは皆が話してる間は、食べながら黙ってたけど。


「――――……まあ最悪、吹き飛ばすか」

 ん? 吹き飛ばす?


「倒せなくても、とりあえずあの中途半端なサイズの奴は、遠くに吹き飛ばす。風の魔法ものせて、沖の方に。斬れなくてもそれなら出来るだろ」
「……ああ、なるほど」

「リアの魔法は、もっと魔法か効く相手までは使わない方がいいし」
「……確かにあんまり意味ないもんね」

「……オレもでかいのは居る気がする。それ倒せば、あいつら、弱るんじゃねえかな。……居たよな、そういう魔物、今までも」
「居たね。そいつが生んでる可能性もあるよね」

 キースも、頷きながらそう言う。

「だからさっきみたいなのが現れたら、なるべく力使わず、跳ね返してく作戦で。――――……多分居る、でかいの倒さねえと」

 ルカの言葉に、皆、そうだね、と頷いてる。

 そっか。
 色々大変。分かんないことも多いし。
 ……魔法とか、攻撃が効かないとか。大変だなあ。
 
 あー、でも、ゲームの世界もそんなこといっぱいあったっけ。
 ――――……ゲームの世界……。うーん……。やっぱりゲームの世界?

 でもオレ料理してるし。食べてるし。普通に生きてるし。
 ……うーんうーん……わからない……。


 食べながら、ぼーと考えていると。
 くしゃ、と髪を撫でられる。


「何難しい顔してんの、ソラ」
「んー……なんか大変だなーと思って」

「ふーん?」
 クスクス笑いながら、くしゃくしゃされる。


「……オレも戦えたらいいんだけど。なんか無いのかな、戦う能力」

 うーん、と考えながらそう言ったら。
 何だかシーンと静かになって。

 ん?と皆を見渡すと、なんだかとってもニヤニヤされている。


「気持ちだけもらっとくか?」

 ルカが笑いながら、皆に言うと、皆はクスクス笑って頷く。



 気持ちだけ貰われた……。
 まあ確かに、何も出来ないんだけどさ。でもさ。

 ちょっと不満でムッとしてると、ルカの片手が顎にかかり、ぶに、とつぶされる。


「もー、何だよー!」

「お前はお前が出来ることしてればいいし――――……オレらと居てくれればいいって、言ってんだろ」
「――――……」

 ルカの言葉と、優しい視線に何も返せず。

 少しして、うん、と頷く。


 皆がクスクス笑ってるし。
 ルカにはまた、ヨシヨシされる。



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