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第2章

◇ときめかせて*圭

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 たくさんたくさん、ベッドでゆっくりした後、やっと起きて、朝ごはん、一緒に作る事になった。

「オレ、卵焼くから、パン焼いてくれる?」
「うん」

「これ、バターね」

 高瀬が卵を出すついでにバターをカウンターに置いてくれる。

 食パンをトースターにセットして、蓋を閉めると、高瀬が一番最初にセットしてたコーヒーメーカーがピピと音を立てた。マグカップに注いでると、またカウンターに牛乳が置かれた。

「ありがと」
「ん」

 クスっと笑いながら頷いて、フライパンで良い匂いをさせてる高瀬。
 オレのコーヒーにだけ牛乳を入れて、冷蔵庫に戻す。

 パンがちょうど焼けたから、バターを塗っていると、皿の端にレタスとミニトマトが乗っかってきて、その横に卵とベーコンが置かれた。

 フライパンを戻してから、高瀬がコーヒーと箸をテーブルに運ぶと、戻ってきて、オレがバターを塗ってるのを見守ってる。

「……高瀬ってさ」
「ん」

「仕事もそうだけど――――……なんか、流れるように色々やるよね」
「……流れる?」

「そう。なんかこう……あれやりながら、これ、とか」
「そうだった?」

「卵出しながら、バターくれて、オレがコーヒー淹れてたら、牛乳出してくれて、なんかあれこれ、無駄がないというか……しかも、牛乳はオレしか入れないしさ」
「だって織田いつも入れるから」
「だからね、そういうのを、さらさらーーっと」

「うーん……そう?」
「そう。仕事もそうだよ、いつも、早い」

「んー……ほめてんの?」

 くす、と笑われて見つめられて。

「めちゃくちゃカッコいいって、褒めてる」

 笑いながら言うと、高瀬も、ふ、と目を細めて。

「……ありがと」

 言ってすぐに、少し背をかがめて。
 ちゅ、とキスされた。

 ゆっくり離されるけど。
 なんかあまりにカッコよくキスされるものだから、ぼー、と固まってると。

「織田、パン……」

 塗り途中だったの、忘れてたオレは、クスクス笑われて、はっと気づく。


 ていうか。
 ……超イケメンしかできないキスだよな。

 ちょっと屈まれて、キスされちゃうとか、
 しかも、なんかちょっと、ていうか、すごいカッコよく笑いながら、見つめながら、あっという間に近づいてて、でもって、優しくキスしてきちゃうとか、もうほんとに――――……。

 なんかいっぱい色々狼狽えて考えながら、ぬりぬりしてると。

「んー……ぬりすぎ……?」

 また高瀬が笑う。
 はっ。……確かに。

 固まったオレに笑いながら、高瀬はバターを冷蔵庫に片づけて、皿を二つ持って、テーブルに運ぶ。

「織田、麦茶飲む?」
「うん」

「冷蔵庫に作ったから、出して」
「あ、うん」

 冷蔵庫の右ポケットの所から、麦茶を出しながら。


「あれ? 麦茶って、前から作ってたっけ……?」
「織田が飲むだろ? 自分の家だと作ってるって言ってたし」

「うん。オレは飲む……作ってくれたの? 入れ物は?」
「買ったけど……作ったらオレも飲むし」

 何でもないことのように、ん?と見つめてくるけれど。


 ――――……そういうとこだよ。
 ……カッコいいというか。優しいというか。



 大好きっていうか。

 ……もう、なんか。
 オレをこれ以上ときめかせてどーしてくれるんだ。もう。





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