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第2章

◇デート*拓哉

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 怒涛の一週間を終えて、織田を迎えに行って、何とか無事回収して、家に連れ帰った。


 ――――……正直、須長と2人でトイレに居るとか、どーいうことと思いはしたけど。まあ。織田が無事だったし、久しぶりで可愛すぎたし。

 結局最大限に可愛がって、一緒に寝て、今日はデートする事にした。

 助手席にいる織田は、前もそうだったけど、ずっとオレの方、ちらちら見てて、ほんと可愛いし。――――……車、走らせながらキスしたくなる事とか、今までは無かったから、ちょっと自分でも不思議になる位だけど。

 とにかく、車もプラネタリウムも。
 ずっと織田が可愛くて。

 オレはマジで、織田の事、なんでも可愛いんだろうなー。
 なんて、思っていた所に。


 なんか織田にそっくりな、ちびっこが現れた。
 織田が俊兄と呼ぶ織田の兄さんは、いかにも「兄」っぽい雰囲気の、優しいタイプ。少し居るだけで、兄弟仲がいいのはすぐ分かった。

 織田は、最初は申し訳なさそうな顔をしてて、途中までは遠慮してたけれど。
 途中から、ありがと、と言って、笑顔になった。


 正直、すごく楽しい時間だった。

 あれくらいのちびっ子と絡むのは久しぶりだったけれど。

 なんか、真宙くんはほんとに織田がちっちゃくなったみたいなビジュアルだし。来海ちゃんの素直なのも、何か似てる。

 絵奈も居たし、元々子供は嫌いじゃないけど、なんか織田と血が繋がってると思うと余計可愛かった。


 車まで見送って、織田と2人、紅茶を飲める店に入ることにしたのだけれど。
 席に案内されて、座ってすぐに店内を見回して、織田と顔を見合わせてしまう。



「……なんかすごい可愛い店だね」
「女子かカップルしかいないな」

 2人でクスクス笑ってしまう。


「まいっか。 あ、高瀬、ケーキ、食べる?」
「んー……セットで頼む?」

「うん、そうする」

 ケーキを選んで、注文を済ませた所で。
 織田がひそひそと言うことには。


「絶対今の店員さん、高瀬の事カッコイイなーって思ってたと思う」

 とか言ってる。


「そう?」
「だってすっごい顔見てたよ」

 クスクス笑って、「まあすごく分かるけど」とか言ってるから、多分ヤキモチとかそう言うんじゃなくて、すごいなあとでも思ってる感じ。


「高瀬いつも優しいけど……来海や真宙には、もっと優しく話してたね」
「……まあ子供だし。可愛かったし」

「赤ちゃん言葉ではなかった」
「……それはさすがに無いな」

 そうだね、と笑った織田が、ふ、とオレを見つめて。


「高瀬がさ。……圭ちゃん、とか呼ぶから、死ぬかと思った」
「ん?」


 死ぬかと思った?

 織田を見てると。


「あ、一緒に、圭ちゃん、とか呼んだでしょ?」
「ん、呼んだ。真似して」

「……それの事、なんだけど」
「――――……死ぬかと思ったって何?」

「え。あー……」

 織田は、んー、と困った顔をして。


「……よく分かんないけど、衝撃すぎて、死ぬかと思った」
「何だそれ」

 恥ずかしそうに言うから、ふ、と笑んでしまう。


 ――――……圭ちゃん、か。
 あの時は、真似しただけだったけど。


「そう呼んでほしい?」

 そう聞いたら。織田は目を見開いて。
 ブンブンと首を振った。


「変になるから、呼ばないで」


 ……変になるって。
 ほんと。

 ――――……可愛いな。



 目の前で、話題を変えようと頑張って話し始める織田に返事をしながら。

 ふ、と笑みが浮かんでしまう。





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