上 下
48 / 234
第2章

◇悶々*圭

しおりを挟む

 土曜も日曜も、自分のマンションで1人悶々と過ごした。

 落ち着いて考えようが、変わらない。

 高瀬の事は、やっぱり、とにかく好きだった。

 ルックスだけじゃない。 ルックスだけだったら、こんなに長々、想いは続いてない。
 一緒に仕事してても頼りになるし、同期だけど尊敬できるし、仕事以外でも、本当に優しくて、すごく良い奴で。本当に、人として、これ以上無いくらい、好きな存在になってしまっている。

 見つめられるだけで、ドキドキしてしまうし。
 というか、いつも会社の席も隣なのに、少し離れた時に、遠くに姿を見つけるだけで一瞬喜んでる自分が居る事も、知ってる。

 ……だけど、やっぱり。
 良かった、のかな……?

 誰にも知られないところで、ただ心の中で、高瀬を好きで。
 かっこいいなあ、てしみじみ思って、楽しんでた、この勝手な気持ちも、

 恋人、なんてものになったら、そんな勝手に好きでいる訳にもいかないだろうし。 なんか、色々な、今からでは想像できないような問題も、起こってきそうだし。

 ……でも。
 男同士で、あんな風に抱き合う事ができるなんて。
 いや、何となく、できるんだろうなとは思っていたけど、なんか、その、ぼんやりと頭の片隅で形も取らずに思っていた事と、現実が、あまりにもかけ離れていた、というか。

 実際抱かれる時がくるなんて、思ってもなかったし、
 ……抱かれて、自分が、あんな風になってしまうなんて、想定外。


 ていうか――――……。
 繰り返し、何度も考える事は。最中、ずっと高瀬が言ってた、可愛いとか、好き、とか。何度も浮かぶ。

 可愛いってなんだろう。
 好きって、なんなんだろう。

 高瀬の中の「可愛い」の基準て、何なの。
 そこに、オレが、何で入るのか、もう究極の謎。

 何度も、可愛いって、聞いたけど。
 謎すぎて、全然、しっくりこない。

 土曜に、逃げるように高瀬のマンションを出る時に、高瀬が言った。

「お前が1人でちゃんと考えてくるなら、月曜、会社で会うまでは連絡しないけど、その方がいい?」

 こう言われたので、数秒止まった後。 「……うん」と答えた。

 そしたら、「体心配だし、家に無事着いた時に、連絡して?」と優しく言われたので、家に帰った時に、「ちゃんと着いたよ」とだけ入れた。

「良かった。了解、ゆっくりして」とだけ入ってきた。

 その後、約束通り、連絡はない。 

 延々と堂々巡りで同じ事だけを考えながら。
 オレは、週末を、完全引きこもり状態で過ごした。


 そして。
 来なければイイと思ってしまっていた、月曜日は、当然だけれどやってきた。




しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

[完結] 残念令嬢と渾名の公爵令嬢は出奔して冒険者となる

恋愛 / 完結 24h.ポイント:29,933pt お気に入り:701

鷹城先生の特別授業

BL / 完結 24h.ポイント:191pt お気に入り:298

さようなら旦那様

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:20,390pt お気に入り:190

上司と部下の恋愛事情

BL / 連載中 24h.ポイント:99pt お気に入り:209

異世界で突然国王さまの伴侶に選ばれて溺愛されています

BL / 完結 24h.ポイント:946pt お気に入り:2,693

もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:185,831pt お気に入り:2,905

本当は貴方に興味なかったので断罪は謹んでお断り致します。

BL / 連載中 24h.ポイント:234pt お気に入り:2,970

処理中です...