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星井 悠里

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第173話 キラキラのオーラ

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 それからしばらくは、大忙し。昼交代の皆が集まり始めたので、シフトを確認しているところに、売り子で回ってた颯たちが戻ってきた。「おかえり」と声をかけると、颯がオレの隣に来てくれた。

「思ってた以上に大盛況だな。色んなとこ回ってきたけど、ここが一番混んでるかも」
「え、そうなの?」

 まあ確かに、ここら付近では、他と比べて列が長すぎるとは思ってたけど。
 昴が振り返って、颯に気づいた。

「ああ、お帰り。売れた?」
「持って出たのは、売ってきた。な?」

 颯が振り返ってそう言うと、颯と一緒に周りに行ってた皆も近づいてきて、「颯が居ると皆が買いにくるから、呼び込み、あんまりいらない」と笑う。

「買いに来る女子率、高いよなー」

 そんな声に、むむ、と、オレがちょっとだけ、何も言わずにいると。
 颯がオレを見下ろして、ふ、と微笑む。……向けられた優しい視線に、何も言われなくても、ほわんと溶ける心。……はっ。なんかあまりにちょろすぎないだろうか、オレ。
 ……って言っても、まあ別に、本気で嫉妬してるとか、怒ってるとかじゃないから、な。

「イケメンコンテストのビラも配ってるんだけどさ。颯が言ってた、「結婚相手の番の子が推薦人なんだよ」っていうのも伝えてんの。あと、相手もイケメンだから、屋台見に行ってみてねっていうのも言ってて」

 そんな言葉に、え、そうなの? ……オレのこと? と少し考えてから、はた、と思い当たること。
 だからかー!! と、さっきから不思議だったことが、急に繋がって、颯を見上げた時。

「それでか」
 と昴も笑った。

「慧ってこういう時、目立つから、高校ん時から、よく売り子とかに使ってたけど」
「使うって言い方……」
 むむ、と口をはさむと、昴は、はは、と苦笑して続ける。

「それにしても、やたらきゃあきゃあ言われてたんだよな。……どうりでね。あの子ら、皆、最初から慧を見に来てた訳ね」

 ははっ、すげーな、と昴が笑うと、颯が一緒に回ってた皆も、「ちゃんと見に来てるってすげー」と笑ってる。

 なんか納得。通常じゃない視線に、何だろ? なんかついてる?? って本気で思ってた。

「慧ときたら、オレの顔になんかついてる? とか真面目に聞いてたもんな」
「だって、すごい見られるから」

 皆が、何でだよ、と、どっと笑う。皆が口々に言うことには。

「イケメン同士で番で学生結婚してるとか、女子のテンション、すげー上がってる気がする。応援してますーって」

 そ、そうなんだ。そういうものなのか? よく分かんないけど。
 首を傾げていると、颯も笑いながら、「指輪してた方が良いって、皆ももう、そう言ってるから」なんて言ってる。

「指輪つけてて平気って、言っただろ?」

 颯が、ふ、と微笑んで、オレを見つめてくる。

「うん……」

 もうほんとに、――――……キラキラしてるんだよなぁ、もう……。

 昔からカッコいいのは知ってたし。顔整ってるし、立ち姿だけでもカッコいいなーと、頭の隅では認めてた。……悔しいから、それを言ったことは無かったけど。

 でも。……オレとこうなってからの颯は。
 「カッコいい」にプラスで、優しく笑う感じとか、キラキラのオーラ振りまく感じが付け足されてしまって。正直もう、昔の何倍も、カッコよく見える。

 ……オレが颯を好きだと思ってるから、余計かもしんないけど。でも、多分、これは、好きとかそんなの抜きにしても、ほんとにカッコイイと思う。

 こんな顔で、そんな風に、優しく笑ったりしてると、オチるよねぇ。

 ……結婚してるから応援する、とかじゃなくて。
 もう、颯がめちゃくちゃカッコよすぎるから、結婚とかどうでもいいから、応援する、てことなんじゃないのかなぁ……??

 一人納得していると、昴が「慧」とオレを呼んだ。

「とりあえず、慧は、颯と学内回ってきな」
「あ、いいの?」
「昼用の交代も来たし、今の内に行ってこいよ」
「うん!」

 つけてたエプロンを外して、颯の隣に立つ。
 いってきまーすと、皆に言うと、振り返った皆が、なんか面白そうに笑う。

「嬉しそう、慧」

 振り返った誠に言われて、そう??と言いつつ。
 じゃね、と皆と別れて、颯と歩き始めた。


「お腹空いた、颯」
「ん。何か食べよ。……焼きそばは? 食べてないのか?」
「食べたー! でも空いた」

 そう言うと、颯、クスクス笑いながら、オレを見つめる。

「慧、何食べたい?」
「んー。歩きながら決める?」
「いいよ。あっちの中庭に食べ物の屋台集まってたな。行く?」
「行く行く」

 わーい、と颯と歩き出して、ふと、さっきの誠の言葉を思い出す。
 
 ……嬉しそう、て言われたけど。
 …………そんなことない、とは言えなかったなー。


 てか、だって、すげー嬉しいし。

「慧、こっち」

 優しく、背中に触れられるだけで。
 ……好き、って思ってしまう。



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