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二章 精霊姫 人間界に降りる

漁師の気分

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 朝食を取った後は、特に彼らに絡まれることもなく、すんなりと次の階層へ降りることが出来た。
 次の階層は、森が広がっていって、地下ダンジョンとは思えない空間になっていた。

 地下なのに・・・あぁ、良い天気だなぁー・・・と場違いな感想が湧く。

 薬草なども採取出来るが、今回は狩りを主としているので、薬草などはスルーする。

 森の中に入っていくと、所々開けた場所があるので、そこで戦闘になると予想している。
 ハービーは、基本的にウィンドカッターと羽を使った攻撃を仕掛けてくるので、木の後ろに隠れて攻撃を躱せば良いのでは?と思われるかもしれないが、ウィンドカッターの威力が強すぎて木ごと体を切り裂かれるので、下手に木の後ろに隠れると周りの木に押し潰されるか、ウィンドカッターの威力を木が殺せずそのまま体を切り裂かれるかの二択しかない。

 その為、出来れば開けた場所で、防御魔法を展開するか攻撃を躱すしかない。
 私達の場合は、私が防御魔法を使えるので、私がシールドを張って攻撃を防ぎ、ミリアと私で遠隔攻撃を仕掛けて、地上に落ちてきたハービーをロイ義兄様とフォルス様が仕留めるという寸法だ。

 因みに、私とミリアの出番なく、ロイ義兄様とフォルス様だけで片がついてしまうが、それでは折角ダンジョンに潜っているのに、私とミリアが詰まらないということで、初手は任せてもらう事になった。

 森の中だけあって、果物や木の実もあり、食後のデザートに良さそうなので、索敵をしながら収穫することに。

 甘酸っぱくて木苺の様な果物が沢山実っていたので、サクサク収穫しマジックバッグ の中へ。
 これは、果実水にも向いてそうだから、後で作ろうかな。
 あ、後は砂糖で煮込んでジャムにするのも良いかな。

 胡桃のように殻に入った木の実もあったので、ちょっと行儀が悪いかも知れないけれど食べ歩きするのにも良いなと一緒にマジックバッグ の中へ。
 木の実は、後でまとめて殻を剥いて皆に分けよう。

 そんなことを考えながら歩いていると、隣を歩くロイ義兄様の気配が鋭くなる。
 
 「少し先に開けた場所があるから、走るよ・・・いけ!」

 ロイ義兄様の言葉を合図に、身体強化を掛けて一気に駆け抜ける。
 すぐにバサッバサッと羽音が聞こえる。ハービーの群れが近寄っていてきている様だ。

 敵も私達に気付き、そのまま追ってくる。
 流石に飛んでいるだけあって、障害物もない為、開けた場所についた時には、すぐ真上に追いついてきていた。
 すぐにシールドを展開し、防御体勢に入る。
 視界に入ってすぐにウィンドカッターを仕掛けて来たが、シールドに守られて私たちは無事だが、周りにある木々が倒され、開けた場所が更に広くなった。
 
 「うわー、凄い。こんなにいるんですね」

 「・・・そうだね。思ったより多いな」

 「これだけ居ると・・・私とリア義姉様だけで落とせるのでしょうか・・・」

 「もし良ければ、私も魔法で落としますけど、どうしますか?」

 予想よりも大群で驚いていると、ミリアが落としきれないのでは?と心配し、フォルス様が魔法で落とそうかと提案してくるが、ここは私に任せて欲しい!

 「いえ、私に考えがあるので任せて貰えますか?ミリアは、適当に好きなの落としちゃって」

 「分かりました!リア義姉様がどんな手を使うのか楽しみにしてますね!」

 「さぁ、戦闘開始と行きましょうか」

 ミリアは弓を引き、フォルス様とロイ義兄様は剣を抜き、魔力を纏わせる。
 私は魔力を練り上げて・・・網を作る。

 始めは、魔力を練り上げてを作るつもり立ったのだけれど、余りにも数が多いので縄で捕まえて行くのは効率が悪い。
 そこで思いついたのが、を使って一網打尽!
 気分は、漁師!網漁で大漁!魚ではないけれど・・・。まぁ、細かいことはさておき、イメージは網漁。

 私が魔力を練り上げていると、ロイ義兄様とフォルス様が興味津々で見ていた。
 
 「それって、聖属性の網なんでしょうか?それとも水?うーん、属性有る網ってことは敵によっては意味なかったりするのかな・・・」

 フォルス様は、私の網が気になるようで、私に話しかけてるような独り言のような感じでブツブツと呟いていた。
 
 「これは・・・どの敵にも有効なので、聖属性で網を編んでます。ほんのりと網が白く光っているでしょう?強度は、魔力を練る人の練度に寄るので、なんとも言えないですね。私の場合は・・・網が切れることはないとだけ言っておきますね」

 フォルス様の独り言の様な呟きに、一応説明してみる。
 私の場合、どれだけ強大な敵であろうとも網が切れることはない。
 私以上の魔法の使い手などいないのだから。

 説明も済み、網を上空へ投げ一気に捕獲していく。
 視界に入る敵が全て網の範囲に入ったのを確認し、一気に引く。
 勿論、腕力で引く訳ではない。魔法って便利。ちょっとクイっと引くだけで、敵を地上まで連れてきてくれる。

 「ロイ義兄様、出来るだけ羽を多く回収したいので、あまり体を傷付けずに仕留めて頂きたいのですが・・・」

 「あぁ、なるほどね。分かったよ。それじゃ、私の出番と行こうか」

 そうすると、構えていた剣を鞘にしまい、手に魔力が集中していく。
 何の魔法を使うのだろうと見ていると・・・ハービーの氷漬けが大量に出来上がった。

 確かに、これなら体が傷付かず、血塗れにもならない。
 ロイ義兄様らしいと言えばらしいかな。

 ミリアの方は弓で5匹落とし、フォルス様が首を切り落として仕留めていた。
 私達の方に向けた視線が呆れた様に見えた気がするが、きっと気のせいだと思う。
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