上 下
57 / 106
二章 精霊姫 人間界に降りる

順調

しおりを挟む
 呆気なく、ハービーの大群を討伐し氷漬けにされたままマジックバッグ に入れる。
 後程、解体して羽根を分けるが、肉は美味しくないと評判が悪い為、解体後処分されることが殆どだ。

 今回私達が相手にしたハービーは、羽根の色が赤からオレンジのグラデーションが掛かっている割と良く見かけるタイプだったが、その中に羽根の色が青から緑のグラデーションが掛かっている個体が1体だけ混ざっていた。

 これは、余りお目に掛かる事もない為、羽根は高値で取引されている。
 私の瞳の色とも合うし、私が全部買い取っちゃおうかな?
 あ、でもミリアも女の子だし、お洒落さんだから欲しがるかもしれないな。
 一旦私が買い取って、ミリアにプレゼントするのも良いかもしれない。

 そして、この森にはピンク色のスライムが居る。
 主に、初夜などに使う香油の材料として使われるので、これもそれなりに需要がある。
 効果は、筋肉を緩め痛みを抑えるのと、軽い媚薬の効果があり、初めてでも痛みがなく快楽を拾うことが出来るというもの。

 私的には特に必要ないけど・・・ミリアの今後の事を考えて狩っておくのも良いかもしれない。
 私お手製の初夜用の香油を作ってあげても良いかな。スケスケ夜着とセットでプレゼントしたら、とても恥ずかしがった可愛い顔が見れるかもしれない。うん、有りだわ。

 下の階層に向かう森の中で出くわしたピンクスライムを狩まくってたら、ロイ義兄様がスリッと小指を絡ませてきた。

 「リア・・・それ何に使うものか分かっているんだよね?既にリアには必要ないものだと思うけど。」

 「えっと、これは私用ではなくて・・・えーっと、それなりに需要があるものなので、適度に狩って売ろうかと思いまして」

 流石に、ロイ義兄様にミリアの初夜用に準備したいとは言えない。

 「そう、それなら良かった。もしかしたら、それの軽い媚薬効果を期待して狩ってるのかと思ったから。満足させてあげられてないのかなと思ってね」

 そういうと、耳元で話していたロイ義兄様は私の耳にカプッと歯を立てた。

 「・・・っ。ロイ義兄様っ!」

 小声で抗議する。幾らミリアとフォルス様が前を歩いていて見られていないからといって、流石にここでそういうことをされるのは・・・。

 「ごめんね。リアが余りにそれを狩っているから、どうしても意識が夜の方に行ってしまってね。今夜もリアを可愛がりたいな」

 「・・・ロイ義兄様。昨日はしょうがないかなと思いましたが、元々ダンジョン内ではしないと話していた筈ですが」

 「そうなんだけどね。昨日リアのテントで寝たことがフォルスにバレていたからもう良いかなと」

 「えっ!?」

 「ほら、今朝リアがテントから出てきた時、フォルスと話していたでしょ?」

 「そういえば、何か話していましたね」

 「昨日ミリアの提案で4人でカードゲームをしようってことになったらしくて、フォルスが私のテントに来たらしいんだ。そこで、私が居なかったからリアのテントに行ったんだなと思ったそうだ。まぁ、それがなくてもフォルスは私がリアの所に行っていると思っていた様だったけどね」

 「そうだったのですね・・・。フォルス様はロイ義兄様と私の関係について何か言っていましたか?」

 「・・・いや、特には何も言っていないかな。彼も余計なことを言うタイプじゃないからね」

 「・・・そうですか。そんな素振り無かったので、気付かれているなんて全然分かりませんでした。ミリアは・・・」

 「あぁ、ミリアは知らないよ。あの子はそういうの顔に出るタイプだからね。それに・・・ミリアは知らない方が良いだろう」

 「そうですね」

 ミリアは、私の事もお義姉様の事も慕っている。
 私とロイ義兄様の関係を知れば、ショックを受けるだろう。

 「それにしても、フォルス様良く気付きましたね。私達の関係。ロイ義兄様結構気を付けられてると思うのですが」

 「あー・・・、邸にいる時は気を張っているし、使用人など人の目が多いから常に気をつけているんだけどね・・・。ここだと少し開放的になるというか、そう言った意味での緊張感がないというか・・・ちょっと気が抜けて自然体になってしまっているかな。それでリアへの態度も普段よりも甘くなっているのかも知れない」

 「・・・なるほど。」

 そう言われてみると、ロイ義兄様が私を見る瞳は甘さがあるし、良く私の腰に手を回したり、手を繋いだりということもしている。
 私がソロ冒険者と話していた時の殺気といい、普段と違うと言えば違う。
 バレた相手がフォルス様で良かった・・・。
 ミリアは、お兄様とリア義姉様は仲良しだな程度にしか思っていないけど、それも今度どう変わるか分からない。
 ダンジョンにいる間もロイ義兄様には、少し気を引き締めて貰わなくちゃ。
 
 ダンジョンから出れば、5日間2人きりで別荘で過ごせるのだから。
 
 ミリアとフォルス様には、リッドラン辺境伯領に出来たばかりの温泉旅館を予約したので、そちらを楽しんで貰う予定。
 ロイ義兄様と私はそれぞれの別荘で過ごすという程で、ロイ義兄様は転移で私の別荘に移ってくる予定だ。

 5日間の内1日は、ミリア達と合流し街で一緒に昼食を取ったり、買い物をしたりして楽しみたいなと思っている。
 流石に5日間毎日ミリア達と合流するのはちょっと・・・きっとフォルス様もミリアと2人でイチャイチャしたいと思うし、私もロイ義兄様とたっぷりイチャイチャしたい。

 ロイ義兄様の浴衣も準備してあるから、普段は見れないロイ義兄様を満喫するぞ!
 

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】夫は私に精霊の泉に身を投げろと言った

冬馬亮
恋愛
クロイセフ王国の王ジョーセフは、妻である正妃アリアドネに「精霊の泉に身を投げろ」と言った。 「そこまで頑なに無実を主張するのなら、精霊王の裁きに身を委ね、己の無実を証明してみせよ」と。 ※精霊の泉での罪の判定方法は、魔女狩りで行われていた水審『水に沈めて生きていたら魔女として処刑、死んだら普通の人間とみなす』という逸話をモチーフにしています。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生幼女の怠惰なため息

(◉ɷ◉ )〈ぬこ〉
ファンタジー
ひとり残業中のアラフォー、清水 紗代(しみず さよ)。異世界の神のゴタゴタに巻き込まれ、アッという間に死亡…( ºωº )チーン… 紗世を幼い頃から見守ってきた座敷わらしズがガチギレ⁉💢 座敷わらしズが異世界の神を脅し…ε=o(´ロ`||)ゴホゴホッ説得して異世界での幼女生活スタートっ!! もう何番煎じかわからない異世界幼女転生のご都合主義なお話です。 全くの初心者となりますので、よろしくお願いします。 作者は極度のとうふメンタルとなっております…

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

番から逃げる事にしました

みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。 前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。 彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。 ❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。 ❋独自設定有りです。 ❋他視点の話もあります。 ❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。

処理中です...