ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

文字の大きさ
上 下
903 / 911
38 記憶 side 陸

13

しおりを挟む
「俺、初めてやし、最初はそんなにおっきくならんといてな?」


渡の指が、宥めるように優しく表面を上から下へと何度も撫でる。
俺の一部だってこと、わかってんのか?
んなことされたら、逆効果だっつーのっ
血管が脈打ち、あっという間に頭をもたげて渡の掌を押し上げていた。


「わぁ・・・」


流石の渡も、手の中で急成長を遂げるその変化に驚き声が上擦っていた。
なのに、手を離さず、キュッと包んで緩くしごき始める。
そのあからさまな動きに、俺は目を剥いた。


「おまっ」

「お、俺も陸のこと気持ち良くしたいねんっ」


これ以上煽ってどうする気だ、このエロ天っ
考え無しに行動すんなと、手首を掴み距離を取ろうとしたが・・・出来なかった。
両膝を着いて腰を上げ、恐る恐るといった手付きで両手を上下させている渡の表情は真剣そのもの。
興味本位なだけじゃねぇ。
俺と渡、αとΩ、その現実と正面から向き合おうとしてんのが伝わってきたからだ。

掴もうと伸ばしていた手で、渡の頭を優しく撫で胸に引き寄せる。


「ん、気持ちぃーぜ」


慣れていない辿々しさがもどかしぃ。
ゆらゆらと小さな快感を重ねてきたと思えば、跡形も無くスッと引かれてじれったくもある。
けど、身体的な刺激より、渡が本当に抱かれようとしてくれているのを実感した喜びに身体が反応し先走りが滲む。
渡の気持ちに気付けた自分への安堵と、渡の決意を軽んじていた自分を恥入る気持ちで情けねぇのに身体は正直だ。


「でっ、出てきたっ」


化学実験でなんか発見でもしたみてぇに、声を上げて騒ぐ色気のねぇ渡に苦笑い。
そりゃ、出るだろう。
お前に触られてんだから。
顔を上げて俺に報告してくるが、それに俺は何を言えっていうんだ。

油断している渡の下半身に手を伸ばし、下着の中へそのまま突っ込み目当てのものを捕まえた。
クチュッと濡れた音がたち、渡が身を縮めた。


「ええっ、お、俺はもぉえぇよぉ。
一回だけやったのに、もぉ、さ、三回もイッてしもてるし」


途端に及び腰になった渡から白状された回数に嗤ってしまう。
俺の知らねぇ内に、一回増えてんのかよ。
まだ緩く芯の残った茎を握り、親指の腹でゆるゆると刺激。
直ぐにムクムクと勃ってきたから二度嗤っていた。


「しゃ、しゃぁないやんっ
陸の手、魔法の手ぇやねんもんっ」


魔法の手?
なんだそりゃ。
馴染みのねぇ言葉に首を傾げたが、まぁ、うん、なんでも良いわ。
今はそんなこと気にしてるときじゃねぇし。
味見がてら摘んでた俺と違い、渡の腹がいつまで待ってくれるかわかんねぇしな。


「俺を気持ち良くしてくれんだろ?
どこが良いか、コレで教えてやるよ」


あぐらをかいてその上に跨がらせ、向かい合わせになるよう座らせる。
わざとバランスがとりづれぇ格好を選んだから下手に動けねぇし、うまい具合に傾斜と段差で二本のてっぺんが近付く。


「お、重ない?」

「全然」


俺は二本まとめて握ると動かし始めた。
形も大きさもだが、こうやって重ねると色の違いも目立つ。


「や、陸、タンマぁっ、わけわからへんなるからっ」


グニグニと俺の手の中で押し合う様を目にした渡は、のっけから興奮して息を弾ませ身体を震わせる。
俺の言葉を信じて覚えようとしていた渡には悪かったが、渡が感じる場所を優先してしまうのはどうしようもねぇよ。
しおりを挟む
感想 961

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

処理中です...