ヘタレαにつかまりまして 2

三日月

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38 記憶 side 陸

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渡の顔がこちらを向く。
目にすれば、抱かれることへのハードルが上がんのは間違いねぇ。
文字で読んでの覚悟なんざ、実物の前じゃなんの助けにもなんねぇだろう。

どんな反応をされても仕方がねぇと腹を括る。
昂ぶって後先考えずに出した俺のミスだ。
これまで、渡が何もかもを受け入れてくれていたのが恵まれ過ぎてたんだ。
相手に拒まれんのは、散々予想してきたじゃねぇか。

渡の視線が、俺の顔から下がり股間へ流れる。
瞬時に渡の目は見開かれ・・・釘付け、ガン見、固定。
「わぁ」とうっかりすれば歓声に聞こえそうな明るい声をあげ、顔面蒼白予想を裏切る興味津々な顔で視線を全く逸らさない。

おい、なんでそうなる?!


「俺、直ぐにイッてしもたから続けてくれただけでも嬉しかったのに、えっ、えっ、さ、触らしてくれんの?」

「・・・あ"?」


渡はこの状況を自分なりに、俺にとってはどう繋げりゃそうなんのかわかんねぇ方向で解釈したようだ。
触らしてくれるって・・・そりゃ、俺は全然問題がねぇが。
竦んだ気持ちと比例して多少縮んだとはいえ、本当に平気なのかよ?
僅かな期待に、グググと掌の上で力を取り戻していく。

渡は、その様子に萎縮もせずに目を輝かせ、濡れた下着から手を離し、いそいそとしか形容のしようがねぇ様子で両膝で躙りよってきた。
渡の行動が読めねぇのは初めてじゃねぇが、その明るい態度にこっちは思わず下がりそうになった。
渡は、チラチラこちらを伺いながら手を伸ばしてくると、俺が黙って見ていることに照れ笑い。
寸前で指一本立たせ、ツンッと亀頭の中央をつついてからの感想が。


「わぁっ、触ってしもたっ」


あー、喜んでるように聞こえんのは、俺の耳がおかしいのか?
いや、渡のテンションがおかしいんだ。


「陸のん、めっちゃ格好ええ。
俺のとえらい違いやわ」

「お前なぁ、わかってんのか?
コレがお前の中に入るんだぞ?」

「生命の神秘やなぁ」


のほほんと回答してんじゃねぇよ。


「指二本できつかったんだぞ。
本当にコレを発情期前に入れる気でいんのかよ」


この二本がだぞと、横に並べてわかりやすく示して見せると、返ってきたのは恐ろしいほど前向きな笑顔だった。


「もちろんやでっ
俺、指一本でもキチキチやったのに、陸は一回目で二本入れる練習してくれて入ったやん?
フフッ、最初は確かに痛かってんけど、途中から頭真っ白になるくらい気持ち良かってん。
あと、二、三回練習したら大丈夫ちゃうかなぁ。
俺、頑張るなっ」


俺も怖がらせたかったわけじゃねぇから、そう言ってくれんのは正直有難ぇ。
しっかし、本当にこんなんで大丈夫なの、か?
渡本人が大丈夫って言ってるから良いんだとか、そんなんで本当に?
良いように進み過ぎて、後にとんでもねぇ落とし穴が待ち構えてそうだ。

消極的な俺と違い、一方の渡は積極的だ。
「ほんまにおっきいなぁ」とそろりと両手で俺の手から掬い上げた。
突然のことに息が詰まり、触れられた場所からゾワリと熱が下腹目掛け這い上がってくる。
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