最初から勘違いだった~愛人管理か離縁のはずが、なぜか公爵に溺愛されまして~

猪本夜

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37 甘い時間

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 帝都に滞在して二十五日が経過した。
 今日も夜会に参加し、先ほど疲れて帰ってきて、バタバタと寝る準備をしていると、ルークが私の部屋にやってきた。

「……また来られたのですか?」

 ルークがニコニコと私に近づいてくる。

「そろそろ寝るのだろう? 一緒に寝よう」
「……」

 帝都にやってきたルークは、とにかく忙しい。舞踏会や夜会といったパーティーから、仕事でも忙しく、領では毎夜夕食を共にしていたのも、最近はできないことがあった。昔はルークのいない食事をしても寂しいと思ったことがなかったのに、ずいぶんルークに慣らされてしまって、食事と楽しい会話と、甘い時間がないと寂しいのだ。

 しかし、そんなことをルークに言えるはずもなかったのだが、数日前からルークが夜にやってくるようになった。

 最初にルークが一緒に寝ようと言った日はギョッとして、警戒した。

「最近話す時間が短いだろう? 眠りにつくまで、一緒に話せればいいと思って」
「そんな急に言われましても! 一緒に寝なくても、お茶でも飲みながらゆっくりとお話を……!?」

 いきなりルークに抱えられ、必死にルークにしがみつく。ルークはベッドに向かって歩き出した。

「寝ながら話した方が、朝まで一緒にいられるだろう」
「いや、でも……!」
「大丈夫、何もしないよ」
「……」
「それとも、もしかして、何か期待してる?」
「していません!」

 ははは、と笑うルークに、からかわれているのかも、と悔しくなっていると、私はベッドに降ろされた。ルークは上から羽織っていた薄手のガウンを脱ぐと、すぐにベッドの私の隣に入って来る。

「どうして上は裸なのですか!?」
「……? 俺はいつも上は何も着ないで寝るけど」

 少しだけでもとルークから離れると、その距離はあっさりルークに詰められてしまった。目のやり場がなくて、ルークのいない横を向くと、ルークを見るように体を引っ張られてしまう。

「顔が見えない」
「見ないでください……」
「はは、赤いね。可愛い」

 額、頬にキスをされる。

「何もしないと、さっき言ったのに……」
「額や頬のキスは、普段からの習慣でしょう。そういえば、今日聞いた話で――」

 ルークは本当に話をしにきたようで、結局寝るまで話をして、いつの間にか眠りについた。朝起きたら、ルークに抱きしめられて寝ていて、なんだか幸せのような気がした。

 それからというもの、あれから毎日ルークが寝る時に部屋にやってくる。

 ぐだぐだと、寝転がって話すだけなのに、この時間が大切な時間になりつつある。時々ふざけ合って騒ぐこともある。笑いが止まらないこともある。この時間がずっと続いたなら、そう思いながら、その日もルークと夢の中に誘われるのだった。
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