38 / 54
38話 真の姿
しおりを挟む
「私がただ無駄に時間を稼がせていたと思う? 見せてあげるわ! 『蘇れ』!」
ナツキが何か魔法? を使ったとか思うと、私の上で白い何かが光始める。
「これは!?」
私はトカゲサルから目を離さない様に走りつつも、そちらが気になって仕方ない。
「何って決まってるでしょ! アキを復活させたのよ!」
「お待たせー!」
私の背中にはアキが元気そうに羽を広げて存在を主張していた。でも、どうやって。
「回復魔法を持っているんですか?」
「当然でしょう!? 守ることに関しては私に任せなさい!」
「すごいよナツキ!」
「ふふん。ま、詠唱に3分もかかるしMPも今の9割持ってかれるとかいう鬼畜仕様じゃ無ければ使いやすいんだけど……」
「それって厳しくない?」
私の疑問に、フユカが更に教えてくれる。
「はい……。しかも詠唱中はすごく狙われやすくなるので、正直あんまりおススメされる魔法ではないって聞きました……」
「そうよね。普通のパーティーでそんなことしてたら絶対に狙われるからね。でも、ハルに乗れる私ならそれは変わらない」
「あ……」
「だから、ヘイトを稼ぐのも問題ないのよ。私たちは4人で1体なんだから!」
「おお! それいいね!」
すごい。ナツキは天才だろうか。
「ねー。お楽しみの所申し訳ないけどー。いいー?」
「どうしたの?」
「なんかめっちゃ怒ってるよー?」
私たちはアキが指す方向を見ると、トカゲサルがドラミングをして真っ赤なオーラを纏っていた。
「うほおおおおおおおおおおお!!!」
「あ」
「忘れてた訳じゃないのよ?」
「うほおおおおおおおおおおおお!!!」
ゴシャア!
奴は怒りの為か岩を投げつけてくる。
私は攻撃を躱し、ギリギリ避けられる距離で走りながらフユカに聞く。
「フユカ! アイツに弱点ってないの!?」
「それが見つからないんです! あ、でも、探知魔法を使ってもいいですか!?」
「使うのを聞くってことは何か弱点でもあるの!?」
「敵に狙われやすくなります!」
「狙われるのは皆一緒だから問題ないよ!」
「ありがとうございます! ターゲットロック!『見抜け』!!! 見えました! 奴の弱点は腹です!」
フユカが自信満々に言ってくれる。しかし私たちは……。
「今まで散々どつき回した所だよね」
「そうね……。逆に腹以外攻撃したことってあったかしら?」
「一番当てやすいしねー」
「そんなに腹にばっかり狙ってたんですか……?」
「丁度良かったからー」
「うほおおおおおおおお!!!」
話していると、奴は海底に潜り始める。
「あ! 潜っちゃった!」
このままだと又追いかけっこが。
「何を言ってるのよ!」
「あたしに任せてー! でもその前に私に『共有』をかけて!」
「分かりました! 『共有』!」
フユカが私たちに共有をかけてくれる。
奴がいるのは今は海底から50cm位下。そこでこちらに近づいて来るところだった。
「そこにいるなら隙だらけだよー! 『風よ巻き起これ』!」
「うほほっほ!?」
アキの魔法で砂が巻き上げられ、奴の姿が丸見えになる。
「その状態じゃ躱せないよねー!? 『炎の槍よ』×2!」
シュバアアアアア!!!
「うほおおおおおおお!!!???」
奴は炎の槍に貫かれて、驚いて上がってくる。ここで私の番でしょう!
「もう一回行くよー! 『疾走』!『牙で突く』!『ぶちかまし』!」
「うほおおおおおおおおおおおお!!!???」
「うわああああああ!!!」
私たちは吹き飛び、海底を跳ねて起き上がる。
「癒せ」
「ありがと」
「あたしにはー?」
「後」
「はーい」
私は奴に視線を向けるけど、『共有』が切れてしまっていて、更に砂煙でどこにいるか分からない。
「フユカ。奴はどう?」
「倒れたまま動きません……」
「倒した……?」
「流石にそれはどうだろー? 仮にも幻想種だよー?」
「動きました! え……。これは?」
「どうしたの!?」
「奴の体が大きくなっていってます! 嘘! 倍以上の大きさに……」
フユカの悲鳴に私たちは警戒心を強くする。
私は一応走り距離を取った。少し走ると、聞いたことのない声が聞えて来た。
「ワシにここまでの苦戦を強いるとは……中々に骨のあるやつらだな」
「誰!?」
「当然今まで貴様らと戦っていたワシに決まっておろう」
響くような低い声の方を見ると、そこには高さ10mはあろうかという竜がいた。奴の姿は2足歩行する黄土色の完全な竜の姿になっていた。ただし、体中はゴリラの様な筋肉で膨れ上がり、竜? と思わせるような姿になっている。
「しゃべってる!?」
「トカゲサルが!?」
「そんな知能あるのー?」
「しゃべる敵なんて初めてみましたぁ」
「……そのトカゲサルというのは何とかならんのか? これでも幻想種としての威厳がな」
「うるさいトカゲサル!」
「アンタなんかトカゲサルで十分よ!」
「トカゲサルに優しくしてやる義理はないよねー!」
「あ、そ、その……。ごめんなさい! トカゲサルさん!」
「皆して言わなくてもいいと思うんじゃー。ワシ」
そんな事をいうけど、私たちは警戒した目で奴を見続ける。
「……少しくらい優しくしてくれてもいいと思うのだがな……。まぁいい。次が最後の挑戦状だ。最初に出会った場で待っているぞ」
「ただの挨拶……?」
「くはははははは! それだけのはずがなかろう。これでお前達にワシの実力を見せることが出来る! 食らえ! 『焼却光線』!!!」
ナツキが何か魔法? を使ったとか思うと、私の上で白い何かが光始める。
「これは!?」
私はトカゲサルから目を離さない様に走りつつも、そちらが気になって仕方ない。
「何って決まってるでしょ! アキを復活させたのよ!」
「お待たせー!」
私の背中にはアキが元気そうに羽を広げて存在を主張していた。でも、どうやって。
「回復魔法を持っているんですか?」
「当然でしょう!? 守ることに関しては私に任せなさい!」
「すごいよナツキ!」
「ふふん。ま、詠唱に3分もかかるしMPも今の9割持ってかれるとかいう鬼畜仕様じゃ無ければ使いやすいんだけど……」
「それって厳しくない?」
私の疑問に、フユカが更に教えてくれる。
「はい……。しかも詠唱中はすごく狙われやすくなるので、正直あんまりおススメされる魔法ではないって聞きました……」
「そうよね。普通のパーティーでそんなことしてたら絶対に狙われるからね。でも、ハルに乗れる私ならそれは変わらない」
「あ……」
「だから、ヘイトを稼ぐのも問題ないのよ。私たちは4人で1体なんだから!」
「おお! それいいね!」
すごい。ナツキは天才だろうか。
「ねー。お楽しみの所申し訳ないけどー。いいー?」
「どうしたの?」
「なんかめっちゃ怒ってるよー?」
私たちはアキが指す方向を見ると、トカゲサルがドラミングをして真っ赤なオーラを纏っていた。
「うほおおおおおおおおおおお!!!」
「あ」
「忘れてた訳じゃないのよ?」
「うほおおおおおおおおおおおお!!!」
ゴシャア!
奴は怒りの為か岩を投げつけてくる。
私は攻撃を躱し、ギリギリ避けられる距離で走りながらフユカに聞く。
「フユカ! アイツに弱点ってないの!?」
「それが見つからないんです! あ、でも、探知魔法を使ってもいいですか!?」
「使うのを聞くってことは何か弱点でもあるの!?」
「敵に狙われやすくなります!」
「狙われるのは皆一緒だから問題ないよ!」
「ありがとうございます! ターゲットロック!『見抜け』!!! 見えました! 奴の弱点は腹です!」
フユカが自信満々に言ってくれる。しかし私たちは……。
「今まで散々どつき回した所だよね」
「そうね……。逆に腹以外攻撃したことってあったかしら?」
「一番当てやすいしねー」
「そんなに腹にばっかり狙ってたんですか……?」
「丁度良かったからー」
「うほおおおおおおおお!!!」
話していると、奴は海底に潜り始める。
「あ! 潜っちゃった!」
このままだと又追いかけっこが。
「何を言ってるのよ!」
「あたしに任せてー! でもその前に私に『共有』をかけて!」
「分かりました! 『共有』!」
フユカが私たちに共有をかけてくれる。
奴がいるのは今は海底から50cm位下。そこでこちらに近づいて来るところだった。
「そこにいるなら隙だらけだよー! 『風よ巻き起これ』!」
「うほほっほ!?」
アキの魔法で砂が巻き上げられ、奴の姿が丸見えになる。
「その状態じゃ躱せないよねー!? 『炎の槍よ』×2!」
シュバアアアアア!!!
「うほおおおおおおお!!!???」
奴は炎の槍に貫かれて、驚いて上がってくる。ここで私の番でしょう!
「もう一回行くよー! 『疾走』!『牙で突く』!『ぶちかまし』!」
「うほおおおおおおおおおおおお!!!???」
「うわああああああ!!!」
私たちは吹き飛び、海底を跳ねて起き上がる。
「癒せ」
「ありがと」
「あたしにはー?」
「後」
「はーい」
私は奴に視線を向けるけど、『共有』が切れてしまっていて、更に砂煙でどこにいるか分からない。
「フユカ。奴はどう?」
「倒れたまま動きません……」
「倒した……?」
「流石にそれはどうだろー? 仮にも幻想種だよー?」
「動きました! え……。これは?」
「どうしたの!?」
「奴の体が大きくなっていってます! 嘘! 倍以上の大きさに……」
フユカの悲鳴に私たちは警戒心を強くする。
私は一応走り距離を取った。少し走ると、聞いたことのない声が聞えて来た。
「ワシにここまでの苦戦を強いるとは……中々に骨のあるやつらだな」
「誰!?」
「当然今まで貴様らと戦っていたワシに決まっておろう」
響くような低い声の方を見ると、そこには高さ10mはあろうかという竜がいた。奴の姿は2足歩行する黄土色の完全な竜の姿になっていた。ただし、体中はゴリラの様な筋肉で膨れ上がり、竜? と思わせるような姿になっている。
「しゃべってる!?」
「トカゲサルが!?」
「そんな知能あるのー?」
「しゃべる敵なんて初めてみましたぁ」
「……そのトカゲサルというのは何とかならんのか? これでも幻想種としての威厳がな」
「うるさいトカゲサル!」
「アンタなんかトカゲサルで十分よ!」
「トカゲサルに優しくしてやる義理はないよねー!」
「あ、そ、その……。ごめんなさい! トカゲサルさん!」
「皆して言わなくてもいいと思うんじゃー。ワシ」
そんな事をいうけど、私たちは警戒した目で奴を見続ける。
「……少しくらい優しくしてくれてもいいと思うのだがな……。まぁいい。次が最後の挑戦状だ。最初に出会った場で待っているぞ」
「ただの挨拶……?」
「くはははははは! それだけのはずがなかろう。これでお前達にワシの実力を見せることが出来る! 食らえ! 『焼却光線』!!!」
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?
たまご
ファンタジー
アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。
最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。
だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。
女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。
猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!!
「私はスローライフ希望なんですけど……」
この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。
表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる