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45 パメラの提案
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ニールデンは一緒にノマーリンの話を聞いたパメラと相談してこの問題の解決策を練った。一度婚約解消させることを思いついたのはパメラだ。
母親としては娘を虚仮にされたと怒りはあるが、臣下としてはレンエールを支えるべきだとパメラも考えた。そしてノマーリンの考えはまさにお国を支えるという考えに基づいたものだ。
「王子殿下の婚約者の親として、わたくしたちの覚悟は甘かったようね。お茶会の席で聞かされた時にははらわたが煮えくり返るかと思ったわ。
でも、個人的なことでいちいち苛立っていたら王妃として国全体を見ることは難しいものね」
「そうだな。私も宰相として国を見ているくせに娘のこととなったら冷静さを欠いてしまったようだ」
ニールデンとパメラは肩を落として困り笑顔で目を合わせた。
「ノマーリンの意思を尊重しましょう。わたくしたちよりずっと冷静で上に立つべき者の考え方をできる子なのね。母親としてではなく、一人の国民としてはノマーリンに王妃になってほしいわ」
「ん? 母親としてはどうなのだ?」
「殿下がその小娘に手を出すようなら、娘を差し出したくはないわ。そうなったら母親として考えるべきか国民として考えるべきか悩んでしまうわね」
「そうか。その辺も見極めよう」
「ええ。ノマーリンを信じれば殿下は気がつける方でしょう。その小娘が優秀ならいいけど」
「及第点がノマーリンとなると酷だろうな。落とし所も考えてみよう」
ニールデンはパメラの提案を中心に、架空の破棄とさせながらサビマナの教育をしてみることにしたのだった。落とし所を心配することもなく、サビマナは優秀には程遠いことはこの時にはまだわかっていない。
これから一ヶ月後。ニールデンとノマーリンは揃って国王陛下の執務室へ赴くこととなった。
〰️ 〰️ 〰️
「パメラにも母親として辛い思いをさせてしまったわ」
王妃陛下が目を落とす。
「妻は気にしておりませんよ。ノマーリンの覚悟を聞いて、子供の成長を喜んでおりました。そして私の同様、自分に覚悟が足りなかったことを反省したほどです。
そういえば、パメラはレンエール殿下の側近候補者について心配しておりました。これから娘と協力して殿下をお支えするかもしれない者たちなので、ノマーリンの苦労を慮っておりました」
学園でサビマナの取り巻きをしていたのは、レンエールとゾフキロと他に二人の高位貴族令息がおり、二人もまたゾフキロとともにレンエールの側近候補と言われていた。
「ああ。そやつらなら一新するべきだろう。レンエール本人だけでなく、そやつらも再教育だ」
「―ゾフキロ以外の―他の二人は今はどうしているの?」
「二人のことも調べて、先日各家に顛末を話しました。残念ながら、ただサビマナに会えぬことを嘆いていただけのようです」
ネイベット侯爵はため息をついた。王宮総務局としては一人はネイベット侯爵の後継にしたかったのだ。
バザジール公爵も一人を宰相の後継と考えていたので、ため息とともに頭を振った。
「悪い現状を打破する気概と発想がなくては国の中枢には向きませんからな」
「ええ、そうですね。家の方に彼らの現状を知らせ、調べさせました。とりあえずは自宅で再教育させると聞いております」
その二人がサビマナに夢中で学業を疎かにしていることや、他の生徒たちに呆れられていることは調べればすぐにわかることだ。
母親としては娘を虚仮にされたと怒りはあるが、臣下としてはレンエールを支えるべきだとパメラも考えた。そしてノマーリンの考えはまさにお国を支えるという考えに基づいたものだ。
「王子殿下の婚約者の親として、わたくしたちの覚悟は甘かったようね。お茶会の席で聞かされた時にははらわたが煮えくり返るかと思ったわ。
でも、個人的なことでいちいち苛立っていたら王妃として国全体を見ることは難しいものね」
「そうだな。私も宰相として国を見ているくせに娘のこととなったら冷静さを欠いてしまったようだ」
ニールデンとパメラは肩を落として困り笑顔で目を合わせた。
「ノマーリンの意思を尊重しましょう。わたくしたちよりずっと冷静で上に立つべき者の考え方をできる子なのね。母親としてではなく、一人の国民としてはノマーリンに王妃になってほしいわ」
「ん? 母親としてはどうなのだ?」
「殿下がその小娘に手を出すようなら、娘を差し出したくはないわ。そうなったら母親として考えるべきか国民として考えるべきか悩んでしまうわね」
「そうか。その辺も見極めよう」
「ええ。ノマーリンを信じれば殿下は気がつける方でしょう。その小娘が優秀ならいいけど」
「及第点がノマーリンとなると酷だろうな。落とし所も考えてみよう」
ニールデンはパメラの提案を中心に、架空の破棄とさせながらサビマナの教育をしてみることにしたのだった。落とし所を心配することもなく、サビマナは優秀には程遠いことはこの時にはまだわかっていない。
これから一ヶ月後。ニールデンとノマーリンは揃って国王陛下の執務室へ赴くこととなった。
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「パメラにも母親として辛い思いをさせてしまったわ」
王妃陛下が目を落とす。
「妻は気にしておりませんよ。ノマーリンの覚悟を聞いて、子供の成長を喜んでおりました。そして私の同様、自分に覚悟が足りなかったことを反省したほどです。
そういえば、パメラはレンエール殿下の側近候補者について心配しておりました。これから娘と協力して殿下をお支えするかもしれない者たちなので、ノマーリンの苦労を慮っておりました」
学園でサビマナの取り巻きをしていたのは、レンエールとゾフキロと他に二人の高位貴族令息がおり、二人もまたゾフキロとともにレンエールの側近候補と言われていた。
「ああ。そやつらなら一新するべきだろう。レンエール本人だけでなく、そやつらも再教育だ」
「―ゾフキロ以外の―他の二人は今はどうしているの?」
「二人のことも調べて、先日各家に顛末を話しました。残念ながら、ただサビマナに会えぬことを嘆いていただけのようです」
ネイベット侯爵はため息をついた。王宮総務局としては一人はネイベット侯爵の後継にしたかったのだ。
バザジール公爵も一人を宰相の後継と考えていたので、ため息とともに頭を振った。
「悪い現状を打破する気概と発想がなくては国の中枢には向きませんからな」
「ええ、そうですね。家の方に彼らの現状を知らせ、調べさせました。とりあえずは自宅で再教育させると聞いております」
その二人がサビマナに夢中で学業を疎かにしていることや、他の生徒たちに呆れられていることは調べればすぐにわかることだ。
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