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39 宰相の策略
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国王の執務室に、両陛下とバザジール宰相とネイベット王宮総務局大臣とバロームがソファで話をしている。
「バローム、ご苦労であったな。コリンヌにも伝えておいてくれ」
「陛下。とんでもないことでございます。ありがたきお言葉でございます」
座ったままであるが恭しく頭を下げる。
バロームは総務局の中の『教育係』の長である。バロームもコリンヌも離宮まで付き添っており、レンエールが先に王宮へ戻ってきてからサビマナの相手をもっぱら担当していたので苦労は一番である。
「ここでは無礼講で話を聞きたい。みな、よいな」
「「「かしこまりました」」」
「いやはや、ニールデン―バザジール公爵―の計画がここまで成功して一安心だ」
「娘―ノマーリン―と殿下の関係は悪いものではないようでしたので」
「そうですね。王宮メイドたちも以前からそう申しておりました」
ネイベット侯爵はメイドたちから二人の様子はずっと報告させていた。ノマーリンはメイドたちからの人気も高い。
「意外な登場人物もあり予想外の結末なところもありましたが」
さすがの宰相でも、ゾフキロの登場は予想していない。レンエールにサビマナの様子を冷静な状態で見せてサビマナを王子妃にすることを諦めさせる計画だった。
「レンエールがあそこまで変化したことも計算のうちか?」
「バローム殿にはそのように導いていただきましたね。そして、これも予想以上な好転でした」
バザジール公爵がニヤリと笑う。
「私は『教える、導く』という立場についてお話をしただけですよ。ノマーリン嬢の素晴らしさを私が話すとわざとらしくなりますから」
「殿下は元々は優秀でございますから」
計画では、レンエールがノマーリンの価値に気が付き、王子妃として大切にするようになればよいと考えられていた。
「ただ、ノマーリン嬢が優秀すぎて甘えていらっしゃったのでしょうね」
ネイベット侯爵は苦笑いして、バザジール公爵を見た。ネイベット侯爵はレンエールのこの短期間での成長を目の当たりにし、そう感じていた。
「我が娘ながら、頭の良さと心の広さには感服していますよ」
バザジール公爵が照れた。そしてふと寂しげな眼差しとなり目を伏せた。
「今回のことで娘には『婚約した時点で覚悟はできています』と言われました。殿下の不貞に心を乱された私は、娘より覚悟が足りなかったようです」
「そうか……」
国王陛下だけでなく、みな『少女』の覚悟に感服する。
「いつの間にやら親を超えていたようで寂しく感じましたよ……」
「女性は精神的な成長が男共より早いとは言われておるが、実の娘となると寂しいものだな」
バザジール公爵は小さく頷き、ここでの唯一の女性である王妃陛下は微苦笑をした。
「そういえば、この王宮にてノマーリン嬢と接していたメイドたちばかりなので、離宮でのサビマナさんの評判は最悪でした。サビマナさんが可哀想なほどでしたよ。本人には伝わっておりませんがね」
ノマーリンは王子妃教育のため王宮に足繁く通っており、その際にはメイドたちにも労いの言葉をいつもかけていた。
「王宮メイドたちがそんなこと顔に出すわけはないわ。でも、いくら我慢強いメイドたちでもバロームには愚痴を言いたかったのでしょうね。一番堪えているコリンヌには言えないもの」
王宮メイドたちの愚痴を聞かされているバロームの様子を想像し、みな小さく笑った。本人は頭をかいて笑っている。
「バローム、ご苦労であったな。コリンヌにも伝えておいてくれ」
「陛下。とんでもないことでございます。ありがたきお言葉でございます」
座ったままであるが恭しく頭を下げる。
バロームは総務局の中の『教育係』の長である。バロームもコリンヌも離宮まで付き添っており、レンエールが先に王宮へ戻ってきてからサビマナの相手をもっぱら担当していたので苦労は一番である。
「ここでは無礼講で話を聞きたい。みな、よいな」
「「「かしこまりました」」」
「いやはや、ニールデン―バザジール公爵―の計画がここまで成功して一安心だ」
「娘―ノマーリン―と殿下の関係は悪いものではないようでしたので」
「そうですね。王宮メイドたちも以前からそう申しておりました」
ネイベット侯爵はメイドたちから二人の様子はずっと報告させていた。ノマーリンはメイドたちからの人気も高い。
「意外な登場人物もあり予想外の結末なところもありましたが」
さすがの宰相でも、ゾフキロの登場は予想していない。レンエールにサビマナの様子を冷静な状態で見せてサビマナを王子妃にすることを諦めさせる計画だった。
「レンエールがあそこまで変化したことも計算のうちか?」
「バローム殿にはそのように導いていただきましたね。そして、これも予想以上な好転でした」
バザジール公爵がニヤリと笑う。
「私は『教える、導く』という立場についてお話をしただけですよ。ノマーリン嬢の素晴らしさを私が話すとわざとらしくなりますから」
「殿下は元々は優秀でございますから」
計画では、レンエールがノマーリンの価値に気が付き、王子妃として大切にするようになればよいと考えられていた。
「ただ、ノマーリン嬢が優秀すぎて甘えていらっしゃったのでしょうね」
ネイベット侯爵は苦笑いして、バザジール公爵を見た。ネイベット侯爵はレンエールのこの短期間での成長を目の当たりにし、そう感じていた。
「我が娘ながら、頭の良さと心の広さには感服していますよ」
バザジール公爵が照れた。そしてふと寂しげな眼差しとなり目を伏せた。
「今回のことで娘には『婚約した時点で覚悟はできています』と言われました。殿下の不貞に心を乱された私は、娘より覚悟が足りなかったようです」
「そうか……」
国王陛下だけでなく、みな『少女』の覚悟に感服する。
「いつの間にやら親を超えていたようで寂しく感じましたよ……」
「女性は精神的な成長が男共より早いとは言われておるが、実の娘となると寂しいものだな」
バザジール公爵は小さく頷き、ここでの唯一の女性である王妃陛下は微苦笑をした。
「そういえば、この王宮にてノマーリン嬢と接していたメイドたちばかりなので、離宮でのサビマナさんの評判は最悪でした。サビマナさんが可哀想なほどでしたよ。本人には伝わっておりませんがね」
ノマーリンは王子妃教育のため王宮に足繁く通っており、その際にはメイドたちにも労いの言葉をいつもかけていた。
「王宮メイドたちがそんなこと顔に出すわけはないわ。でも、いくら我慢強いメイドたちでもバロームには愚痴を言いたかったのでしょうね。一番堪えているコリンヌには言えないもの」
王宮メイドたちの愚痴を聞かされているバロームの様子を想像し、みな小さく笑った。本人は頭をかいて笑っている。
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