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第12話 陛下の願い
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公爵と共に王宮へと到着する。
王宮では、公爵の後に付いて行くような感じだ。
王宮に入ると直ぐに応接間に通された。
「兄上は直ぐに来るそうだ。もう少し待っていてくれ」
「分かりました」
アナスタシアはソファーに座り、紅茶を一口含んだ。
そこから数分して、応接間の扉が開いた。
「お待たせしてしまったね」
ガッチリとした体格に、金髪を短く切り揃えている。
いつか見た、国王陛下そのままだった。
「私が、ミュルヘン王国国王、エルドレッドだ」
「アナスタシアと申します」
「君の噂は聞いているよ。甥っ子を助けてくれたそうだね」
「私はそんな大したことはしてませんよ」
「謙遜も行きすぎると美学ではなくなるぞ。君の技術は素晴らしいものだ。我が国の誇りと言っていい」
陛下は少し大袈裟に言った。
「ありがとうございます」
「にしても、あいつがようやく婚約する気になった相手というのがどんな相手か気になっていたんだ。あいつも、結局美しい女性には弱いんだな」
「兄上、セクハラになりかねませんよ」
「このくらいはいいだろう。さて、アナスタシアさん、本題に入らせてもらってもいいかな?」
そう言って、陛下はソファーに座り直した。
「はい、私にできることであれば」
「実は、私からも君に頼みたいことがあるんだ」
「頼み、ですか?」
「ああ、君が公爵家の専属なのは承知だ。弟の許可はもらっている。診てもらいたい人がいるんだ」
「分かりました。診させてもらいますよ」
「ありがとう。一緒に来てくれるか?」
アナスタシアは、国王陛下と公爵と共に応接間を出る。
「ここだ」
そこは王宮の一室。
かなり豪華な装飾がされた扉がある。
中に入ると、天蓋付きのベッドに高級そうな絨毯が敷かれている。
「彼女は?」
ベッドには綺麗な女性が横になっている。
そのベッドの横には年端も行かぬ少女の姿があった。
陛下が診てほしい人物とはベッドに横になっている人のことだろう。
「私の妻だ。急に倒れ込んでしまってな。原因がわからない」
「なるほど。ちょっと診ますね」
異常な発汗に激しい動悸。
これに似た症状をアナスタシアは一度見たことがあった。
「王妃様が倒れたのはいつのことですか?」
「昨日の夜だ」
熱もあるらしい。
苦しそうに表情を歪ませている。
「王妃様、何か飲んだり食べたりしましたか? 何か、いつもと違うものを」
「確か、薬師が持ってきた薬を飲んでいたな。最近流行りの美容に効果がある薬だと聞いているが」
「その薬、残っていますか?」
「ああ、残りはまだあるはずだ」
「見せてください」
陛下は引き出しの中から薬包紙に包まれた薬をアナスタシアに手渡す。
「やっぱり……」
アナスタシアは直ぐに薬の正体を見破った。
「何かわかったのかね?」
「これは美容の薬なんかじゃありません。麻薬です」
「じゃあ、妻は……」
「薬物中毒です」
王宮では、公爵の後に付いて行くような感じだ。
王宮に入ると直ぐに応接間に通された。
「兄上は直ぐに来るそうだ。もう少し待っていてくれ」
「分かりました」
アナスタシアはソファーに座り、紅茶を一口含んだ。
そこから数分して、応接間の扉が開いた。
「お待たせしてしまったね」
ガッチリとした体格に、金髪を短く切り揃えている。
いつか見た、国王陛下そのままだった。
「私が、ミュルヘン王国国王、エルドレッドだ」
「アナスタシアと申します」
「君の噂は聞いているよ。甥っ子を助けてくれたそうだね」
「私はそんな大したことはしてませんよ」
「謙遜も行きすぎると美学ではなくなるぞ。君の技術は素晴らしいものだ。我が国の誇りと言っていい」
陛下は少し大袈裟に言った。
「ありがとうございます」
「にしても、あいつがようやく婚約する気になった相手というのがどんな相手か気になっていたんだ。あいつも、結局美しい女性には弱いんだな」
「兄上、セクハラになりかねませんよ」
「このくらいはいいだろう。さて、アナスタシアさん、本題に入らせてもらってもいいかな?」
そう言って、陛下はソファーに座り直した。
「はい、私にできることであれば」
「実は、私からも君に頼みたいことがあるんだ」
「頼み、ですか?」
「ああ、君が公爵家の専属なのは承知だ。弟の許可はもらっている。診てもらいたい人がいるんだ」
「分かりました。診させてもらいますよ」
「ありがとう。一緒に来てくれるか?」
アナスタシアは、国王陛下と公爵と共に応接間を出る。
「ここだ」
そこは王宮の一室。
かなり豪華な装飾がされた扉がある。
中に入ると、天蓋付きのベッドに高級そうな絨毯が敷かれている。
「彼女は?」
ベッドには綺麗な女性が横になっている。
そのベッドの横には年端も行かぬ少女の姿があった。
陛下が診てほしい人物とはベッドに横になっている人のことだろう。
「私の妻だ。急に倒れ込んでしまってな。原因がわからない」
「なるほど。ちょっと診ますね」
異常な発汗に激しい動悸。
これに似た症状をアナスタシアは一度見たことがあった。
「王妃様が倒れたのはいつのことですか?」
「昨日の夜だ」
熱もあるらしい。
苦しそうに表情を歪ませている。
「王妃様、何か飲んだり食べたりしましたか? 何か、いつもと違うものを」
「確か、薬師が持ってきた薬を飲んでいたな。最近流行りの美容に効果がある薬だと聞いているが」
「その薬、残っていますか?」
「ああ、残りはまだあるはずだ」
「見せてください」
陛下は引き出しの中から薬包紙に包まれた薬をアナスタシアに手渡す。
「やっぱり……」
アナスタシアは直ぐに薬の正体を見破った。
「何かわかったのかね?」
「これは美容の薬なんかじゃありません。麻薬です」
「じゃあ、妻は……」
「薬物中毒です」
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