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第13話 薬物中毒
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「薬物中毒だと!?」
陛下は驚きの声をあげた。
「そんな、お母様……」
王女様もまた表情を暗くしている。
「あの薬師め! ふざけやがって!」
陛下は怒りを露わにしている。
「今は、この薬物中毒を緩和させる方が先です。このままでは、王妃様の命に関わります」
「治せるのか?」
「やってみます。少し、離れてもらってもいいですか?」
近くに第三者がいると、アナスタシアの魔力がその人にも干渉してしまう。
本来の効力が発揮できなくなるのである。
「わかった」
アナスタシアの言葉で、そこにいる全員がベッドから距離を取った。
「光の女神の加護を授かりし、アナスタシアの名を持って命じる。かの者に癒しを、救いの御手を」
アナスタシアの詠唱が終わると、王妃様の体全体が光に包まれる。
数分して、その光は収まった。
「呼吸も落ち着いたみたいです。もう、大丈夫ですね」
「今のは、浄化魔法じゃないのか?」
「はい、その通りです。王妃様の体内にある薬物を浄化しました」
薬物が原因なら、通常の治癒魔法では効かない可能性がある。
それなら、原因である薬物を浄化させる方が確実だろう。
「目が覚めたら、いつも通りになっていると思いますよ」
「どうやら、ガルンが言っていることは本当だったようだな」
陛下が顎に手を当てながら言った。
「はい?」
「やはり、君が真の聖女だ。浄化魔法が使えるのは聖女だけと聞く」
確かに、浄化の魔法は聖力を持つ者にしか使えない。
聖力は神によって加護を授かっている者。
つまりは聖女ということになる。
「私が聖女かどうかということは、陛下のご判断にお任せします。この後、少し話はできますか?」
「もちろんだ」
アナスタシアは公爵と陛下と共に、応接間へと戻った。
「あの薬の正体は麻薬です。何か心当たりはありますか?」
「お恥ずかしい話なのだが、最近許可した薬が実は用法を変えると麻薬になるということがわかったのだ」
「なるほど……」
この国では薬は全て薬師連盟の認可が必要になる。
その認可の無い薬を販売することも、服用することもできない。
「最近、巷でよく聞くようになった新しい自分に出会えるとか謳っている薬ですか?」
「アナスタシアさんの耳にも入っていたか」
「ええ、まさか王宮内にまで入ってくるとは思いませんでしたが」
確か、死者も出している危険な麻薬だ。
大量に摂取すると、理性が吹っ飛んで暴走する。
周りにも危害を加える可能性も含んでいる危険なものだ。
「対策はどうなっていますか?」
「販売と服用を禁止したが、まだ追いついていないのが現状だ。有効な治療法も見つかっていない」
「分かりました。特効薬については私の方でも考えてみます。薬師連盟の副会長とは知り合いなので、何かできるかもしれません」
「助かる。全く、面目ないが、よろしく頼む」
陛下が頭を下げる。
「頭を上げて下さい。困った時はお互い様ですから」
「ありがとう。今回の件の褒美は何がいい? 金でも爵位でもなんなら領地だっていいぞ」
「別に、褒美を期待してやったことではありませんから。必要ありません」
「しかし、それでは王家の名が折れる。何かさせてほしい」
「じゃあ、これは陛下への貸しってことでどうですか?」
「大きな貸しができてしまったな」
陛下は苦笑いを浮かべていた。
陛下は驚きの声をあげた。
「そんな、お母様……」
王女様もまた表情を暗くしている。
「あの薬師め! ふざけやがって!」
陛下は怒りを露わにしている。
「今は、この薬物中毒を緩和させる方が先です。このままでは、王妃様の命に関わります」
「治せるのか?」
「やってみます。少し、離れてもらってもいいですか?」
近くに第三者がいると、アナスタシアの魔力がその人にも干渉してしまう。
本来の効力が発揮できなくなるのである。
「わかった」
アナスタシアの言葉で、そこにいる全員がベッドから距離を取った。
「光の女神の加護を授かりし、アナスタシアの名を持って命じる。かの者に癒しを、救いの御手を」
アナスタシアの詠唱が終わると、王妃様の体全体が光に包まれる。
数分して、その光は収まった。
「呼吸も落ち着いたみたいです。もう、大丈夫ですね」
「今のは、浄化魔法じゃないのか?」
「はい、その通りです。王妃様の体内にある薬物を浄化しました」
薬物が原因なら、通常の治癒魔法では効かない可能性がある。
それなら、原因である薬物を浄化させる方が確実だろう。
「目が覚めたら、いつも通りになっていると思いますよ」
「どうやら、ガルンが言っていることは本当だったようだな」
陛下が顎に手を当てながら言った。
「はい?」
「やはり、君が真の聖女だ。浄化魔法が使えるのは聖女だけと聞く」
確かに、浄化の魔法は聖力を持つ者にしか使えない。
聖力は神によって加護を授かっている者。
つまりは聖女ということになる。
「私が聖女かどうかということは、陛下のご判断にお任せします。この後、少し話はできますか?」
「もちろんだ」
アナスタシアは公爵と陛下と共に、応接間へと戻った。
「あの薬の正体は麻薬です。何か心当たりはありますか?」
「お恥ずかしい話なのだが、最近許可した薬が実は用法を変えると麻薬になるということがわかったのだ」
「なるほど……」
この国では薬は全て薬師連盟の認可が必要になる。
その認可の無い薬を販売することも、服用することもできない。
「最近、巷でよく聞くようになった新しい自分に出会えるとか謳っている薬ですか?」
「アナスタシアさんの耳にも入っていたか」
「ええ、まさか王宮内にまで入ってくるとは思いませんでしたが」
確か、死者も出している危険な麻薬だ。
大量に摂取すると、理性が吹っ飛んで暴走する。
周りにも危害を加える可能性も含んでいる危険なものだ。
「対策はどうなっていますか?」
「販売と服用を禁止したが、まだ追いついていないのが現状だ。有効な治療法も見つかっていない」
「分かりました。特効薬については私の方でも考えてみます。薬師連盟の副会長とは知り合いなので、何かできるかもしれません」
「助かる。全く、面目ないが、よろしく頼む」
陛下が頭を下げる。
「頭を上げて下さい。困った時はお互い様ですから」
「ありがとう。今回の件の褒美は何がいい? 金でも爵位でもなんなら領地だっていいぞ」
「別に、褒美を期待してやったことではありませんから。必要ありません」
「しかし、それでは王家の名が折れる。何かさせてほしい」
「じゃあ、これは陛下への貸しってことでどうですか?」
「大きな貸しができてしまったな」
陛下は苦笑いを浮かべていた。
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