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お土産屋。 1話

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 レグルスさまとブレンさまの優しいまなざしに気付いて、顔を上げる。

「お土産屋に寄って、寮に帰ろうか」
「ええ、そうしましょう」

 クラスメイトたちはきっとまだ水族館にいるだろうし、先に帰ってしまいましょう。

 確か、お土産屋は入り口付近にあったはず。

 みんなで移動していると、やっぱり視線を感じる。

 わたくしたちが一緒に歩いていると、すれ違う人たちの注目を集めるみたい。

 お土産屋に入り、ぬいぐるみのコーナーに足を進めた。

 いろんなぬいぐるみが置いてあるのね。

 真剣にぬいぐるみを選ぶ。マティス殿下に渡すには、大きなぬいぐるみがいいかしら。

 きっとどんな大きさでも受け取るでしょうね。大きなぬいぐるみを持って歩くマティス殿下を想像し、ふっと笑みを浮かべる。

 まぁ、このくらいのことは許されるわよね……?

 面白い顔のぬいぐるみを探してみましょう。じっとぬいぐるみを見つめていると、レグルスさまが声をかけた。

「そんなに真剣に悩んで……」
「マティス殿下に渡すものですから。可愛いのではなく、面白いものが良いのです」
「……敬語、やめない? 同じ学園に通っているんだしさ」

 わたくしは思わず目をぱちくりと瞬かせた。女性にそんなことを提案する男性は初めてだ。リンブルグでは、そうなのかしらね?

「カミラに戻ったら、そうしますわ」
「そうして。俺、あんまり敬語って好きじゃないんだよね。遠い気がして」
「レグルスさまに敬語を使わない方なんて、いらっしゃいますの?」
「いたよー。ブレンも人目があるから敬語なだけで、リンブルグじゃ普通に話してる」

 それはちょっと意外。

 あのほのぼのとフィッシュバーガーを食べている姿を思い出して、ふふっと笑ってしまった。

「ブレンさまはお腹が丈夫なのですね」
「ヤツの胃はどうなってんだかね……」

 付き合いの長いレグルスさまさえわからないのなら、わたくしにわかるわけがないわね。それでも、彼らの会話を聞くのも楽しくて……

「レグルスさまたちと一緒に過ごしていると、あっという間に時間が過ぎていきますね」

 楽しい時間はあっという間に終わると、本に書いてあったわ。

 今、それを実感している。

 ……あ、このサメのぬいぐるみ、面白い顔をしているから、このぬいぐるみにしようかな。

 これをかかえて寮まで運ぶマティス殿下を想像して、口角を上げた。

「……」
「レグルスさま?」
「……いや、きみは……」

 レグルスさまは言いかけた言葉を切り、緩やかに首を振る。

 わたくしが首をかしげると、「買っておいで」と購入をうながした。
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