【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜

秋月一花

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イルカショーのあとに。 1話

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 イルカのショーを見終わって、拍手をする。

 平民、貴族、関係なくはしゃいでいる様子を目に焼き付けて、ゆっくりと息を吐いた。

「そろそろお昼みたいだ。俺らも移動しようか」
「フィッシュバーガーがお勧めらしいですよー」
「……水族館で魚を食べるのは、複雑な気分ですね」
「確かに……」

 そんな会話をしながらフードコートに足を進めると、お昼頃ということもあってすごく混んでいる。

 そして――休日ということでクラスメイトたちも遊びにきていたのだろう。目が合った。

 ざわっと一瞬でわたくしたちに注目が集まる。

 その視線を受けて、思わず肩をすくめてクロエを見ると、彼女はわたくしを見て小さくうなずく。

 レグルスさまとブレンさまはそんな注目なんて気にしていないように歩き、フィッシュバーガーとメロンソーダを注文した。

 わたくしたちの分も注文してくれたみたいで、トレーを持って空いている場所に移動する。

「慣れていますのね」
「ファーストフード店はよく利用していたから」
「えっ?」

 そんなに珍しい? と視線で問うレグルスさまに、わたくしとクロエは顔を見合わせた。

 少なくとも、わたくしはファーストフード店を利用したことがないわ。

 クロエはどうなのかしら?

「熱々のうちに食べましょうー」
「すごい量ですね」

 フィッシュバーガーが山のように乗っているトレーを見て、思わず眉を下げる。これ全部一人でたべるのだろうか、と。そう考えていたらすごい勢いで食べ始めた。

 わたくしたちも、温かいうちにいただきましょう。……とはいえ、これどうやって食べるの?

 レグルスさまとクロエを見てみると、包装紙を剥がしてそのまま口元に運んでいた。

 少し抵抗があるけれど、そうやって食べるもの……なのよね?

 わたくしもそうやって食べてみた。

 ふかふかのパンにフィッシュフライ、千切りキャベツにソース……熱かったけれど、美味しい!

 フィッシュフライにも味付けされていた。分厚いのに歯切れが良くて食べやすい。

「美味しいですね」
「ええ、本当に……」

 にこにこと笑いながら、美味しそうに食べるブレンさま。食べ方がわりとワイルドなレグルスさま。

 口が小さいのか食べるのに必死になっているクロエ。

 ……でもやっぱり、水族館でフィッシュフライを食べるのは、いろいろ考えさせられるわね。

「視線がわずらわしいから、ちょっと早いけどお土産屋見てみようか」
「そうですね」

 こちらをじーっと見てくるクラスメイトたちの視線が刺さる。

 誰も話しかけてこないから、なんとも言えない不思議な感じ。

 様子をうかがっているのかしら。辺りを見渡すと、ばちっと視線が合った。

 だけど、すぐにそらされてしまった。

 これは明日、なにかありそうね。寮に戻ったら対策を考えておきましょう。

 メロンソーダもすべて飲み干し、食事を終える。

「捨ててくるよ」
「え、あ、ありがとうございます。……そ、そうだ、お金……」
「いいって。こっちが誘ったんだから」

 レグルスさまがパチンとウインクを一つしてから、トレーを持っていった。

 わたくしとクロエ、そして自分の分を。
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