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本編

等価交換出来ない

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そして、問題の自分のツノは装着を認められた。

「孫が可愛い。ワシも同じ物を作りたい」

と、言ってくれたので自分のツノを貸してみたりもしたのだがパパやセイバースさんには不評だった。
隠しているのだが、肩が震えていたので笑っていたのだと思う。
自分的には似合っていたと思うのだが、やはり大人の男性には玩具感が強く出過ぎてしまったのかもしれない。
枝ではなく、鹿のツノでも拾えたらお爺さまにプレゼントしようと決めた。

「ファルシュターにはよく似合うのにな。ギルと揃いで嬉しいか?」
「あい!こんど、うりょこも、ちゅくるのぉ」

次回は鱗も装着しようと思っているのだ。
こちらの材料には見当が付いている。
そう、トカゲだ。
トカゲはまだ一度も脱皮していないが、いつかは脱皮をすると思う。
それを回収して鱗を貰おうと思っているのだ。
なので気長に待つつもりだが、もしかしたら騎士団で友達になった蛇が先に脱皮する可能性もある。
自分の手首はまだ細いので、そんなに枚数も必要としないはずだ。

「ルシー、鱗も欲しいの?」

ギル兄様が目を見開いているが、どうしたのだろうか。
ギル兄様とお揃いのモノなど欲しいに決まっている。
大きくなったら髪も脱色したい。
キノコを脱却出来たのなら、髪も伸ばして同じ髪型にしたいと思っているのだ。

「うん。カゲちゃんに、もらうのぉ」

その前に蛇かもしれないがそこは黙っておく。

「それなら…今度、僕のが抜け落ちた時、……欲しい?」

ちょっと待ってください。
そんな国宝級の宝物を貰ってもいいんですか!?
何を対価に支払えば頂けるかわからないが、貰えるのだとしたら何を犠牲にしてでも欲しい。
だって、本物だ。
ギル兄様の身体を守っていた鱗なら、御利益がすごいと思う。
大事すぎて手首に無造作にはつけられないだろうが、毎日磨いて祈りを捧げよう。
祭壇を作って、その前で毎日讃美歌を歌うのも良いだろう。

「くりぇりゅの!?なにと、こーかん、する?」
「えっ!?本当に欲しいの?…気持ち悪くない?」

気持ち悪いとしたら興奮しすぎている自分だ。
お爺さまがそんな自分にドン引きしていないといいのだが、今は構っていられない。
何としてでもギル兄様の鱗を手に入れてみせる。
自分の宝物はお揃いのリボンと、庭で拾ったギル兄様の声が聞こえる石、それからツノ(枝)だ。
ベクストが作ってくれた熊や虎の木工細工もあるが、これは自分の物とカウントしてはいけないだろう。
セイバースさんの作ってくれている着ぐるみは自分の物だが、サイズ的にギル兄様には不要な物だ。

どうしよう。
交換出来る物が無い。
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