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本編

そんな物でいいんですか?

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「ファルシュターは本当にギルが好きなんだな」
「出会った瞬間から、ギルバートの事が好きだと全身で訴えているんですよ。そんなファル君が私たちは可愛くて仕方がないんです」

パパとお爺さまが何か話しているが、交換出来る物を探す事に一生懸命になりすぎてあまり頭に入ってこなかった。
リボンは既にお揃いだし、ツノ(枝)に至ってはギル兄様には本物があるのだ。
いらないだろう。
そうすると、石一択なのだがギル兄様は己の声が聞こえる石が欲しいだろうか。
パパやお爺さま、亡くなった母親の声が聞こえる石であれば自分は手に入れた瞬間にプレゼントしていると思う。
だが、聞こえるのはギル兄様本人の声だ。
自分にとっては宝物だが、ギル兄様はナルシストではないのでそこに価値があるかわからない。

「ぼく、こーかん、しゅるの、ない」

ここはもう、ギル兄様に欲しい物を聞くべきだ。
今、持っていなくても入手出来る様に頑張る。
それまで交換を待ってもらう事は可能だろうか。

「それなら、一枚あげる度にほっぺにキスしてもいい?ルシーから僕にキスしてくれても大歓迎だよ」

そんな事で貰えるのか?
しかも、何枚も貰える様に聞こえたのだが、聞き間違いでは無いだろうか。
セイバースさんが幻覚が見えていたのなら、自分は幻聴が聞こえているのかもしれない。
あまりにも自分に都合が良すぎる。

「手紙にあった通りだが、ギルのファルシュターへの愛が重過ぎないか?」
「アレは平常運転です。さっきまでファル君が見えなくなっただけで取り乱していましたよ。あの子はやっぱり竜人なんですね…執着と溺愛が凄いんです」

パパとお爺さまはまだボソボソと会話を続けている様だ。
都合が良すぎる展開に何度もギル兄様に確認したが、本当に頬にキスされる、もしくはするだけで鱗を貰えるらしい。
頬と言わず、自分としてはどこにでもブチュッとして欲しいくらいなのだが、やはりギル兄様は謙虚だ。

「ありがとぉ。にいしゃま、だいしゅき!」
「僕もありがとう。ルシーはやっぱり僕の天使だ」

席を立ち近づいてきたギル兄様に、お爺さまの膝の上から下され抱っこされた。

「前にルシーがいるのは可愛い顔がいつでも見られてよかったけど、やっぱり僕の隣に戻っておいで?それとも、僕の膝の上に来る?」

クスクス笑うギル兄様に誘導されるまま膝の上に着地を決めてしまった。
セイバースさんが自分用の椅子を隣に準備してくれたが、しばらくはギル兄様のお膝を堪能してもいいだろうか。
ご飯が始まるまでお願いしたい。
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