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騎士科

暗闇の中で

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真っ暗な部屋の中で僕は甘いオイルの残り香を感じながら、目を開いて呆然としていた。さっきまでの出来事は本当に起きた事なのだろうか。僕は暗闇にぼんやり浮かんで見える窓辺越しの三日月を見つめた。

思わずため息をついたけれど、さっき僕が吐き出していた熱いため息とは明らかに種類が違う気がした。結局僕が、朝起きた時のベタつきしか知らない事を知ったエイデン様は、起きている時に適切な処理をすれば、朝下着を汚さなくて済む様になると教えてくれた。


その処理の仕方をまさに手取り足取り教えてくれたのだけど、それは今思い出しても恥ずかしさと気持ち良さで叫びたくなるものだった。ああ、みんなこんな事してもらっているんだろうか…。

オイルでぬるんだエイデン様の手に自分の手を重ねて、僕のエレクトしたものをゆっくりと撫でる練習をした…。僕の後ろに座ったエイデン様が優しく何か言っていた。


僕はいっぱいいっぱいだったから、何て言われていたかよく思い出せないけれど…。初めての事でドキドキしている僕をリラックスさせるために、優しく身体を撫でてくれていた気がする。

オイルがつくからとエイデン様がシャツをはだけて、僕の背中に筋肉質の身体を添わして、僕はその事にもドキドキして堪らなかった。僕の上半身もゆっくりとなぞられて、変な声も出た気がしたけれど、もう僕はそれどころじゃ無かった。


エイデン様の手の動きに追いつく様に自分では動かせなくて、結局エイデン様に全部してもらって、僕は初めて自分でベタつくそれを出した。いや、エイデン様がしてくれたから自分では出来ていないのかな?

ともかく僕は、エイデン様曰く大人の男に一歩近づいたはずだ。喜ぶ事なんだ…よね?僕はこれ以上考えるのも限界になって、瞼の重さにも耐えられなくて目を閉じた。


ぐったりした僕に優しく身体を拭いてくれて、寝着を着せ掛けてくれたエイデン様。部屋を出る時にしてくれた口づけは、いつもと少し違ったのはどうしてなんだろう。

柔らかく啄む様なエイデン様の唇が僕の唇を優しく引っ張って、思わず出たため息を吸い込むようにエイデン様の舌が僕の口の中をなぞった。思わず目を見開いた僕に、僕を見つめていたエイデン様がふわりと笑って僕に囁いたんだ。

「…私の子猫は臆病で可愛いね。」

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