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二度目の砦生活
決戦
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僕はフーガと戦場を駆けていた。今回は前線に出て、第一弓隊長の隣で弓を引き絞っては放つを繰り返していた。
今回の戦いには長距離射程の弓を使用している。僕の世界のボウガンをヒントに改良した、反動の強い型の弓を試作していたものが間に合ったんだ。僕が剣を鍛練するかたわらで、開発にも協力していたものがしばらく前に完成していた。
もちろん合戦の鬨の声の後で、白魔法の加護を与えてあるので威力は以前より増して空気を切り裂いて遠くまで飛んでいく。僕は矢が飛んでいく方向を睨みながら、こちらの勢力が押しているのを感じた。
「第一弓隊、後方へ下がれ!」
隊長の号令で20名ほどの弓隊は一斉に前線を離脱した。敵との距離が近くなったので、今度は接近戦が始まる。弓で倒れなかった前線の敵兵を剣で切り崩しながら突き進む騎士や兵士達は、ジュリアンと副団長が率いていた。
副団長が時々投げ込む魔法陣の描かれた球体は、弧を描いて敵陣に落ちると眩しい光を発して視界を奪う様で、動きの悪くなった敵兵の陣を切り込んでいく。そんな味方を指揮するのがジュリアンだった。
僕は第一弓隊の前線離脱と共に、ジュリアンの側に駆け寄った。
「シン タチバナ参りました!」
ジュリアンは僕をチラッと見ると前方を見つめながら言った。
「よく戻った!シンは前方からの矢を防御せよ!」
僕はすぐさま短い返事をするとジュリアンの前方へ出て、ジュリアンの盾となるべく、目と耳を凝らして警戒した。僕の隣には一緒に剣の訓練をした若手の騎士ミックが同様にジュリアンの右方を守っていた。
「2時の方向!」
僕が叫ぶとミックが剣で飛んできた矢を薙ぎ払った。僕は剣を鍛練する際、戦場で護衛が要人の盾となることを知って攻撃が来る方向を示すのに、時計を提案した。分かり易いと評判になった方位時計はあちこちで使われ始めた。
「助かった!」
ミックは矢を薙ぎ払った後、僕に礼を言うと強張った顔を緩めて辺りを見回して叫んだ。
「こちらには白の加護者、シンがついている!勝利を掴もう!」
ミックの声に励まされて、野太い兵士達の鼓舞する雄叫びが響き渡った。
僕はダシに使われてやれやれとも思いながらも、使うものは張りぼての僕だって使うのが戦なんだと身を引き締めた。戦況は我が国の優位に進んでいた。いや、進んでいた筈だった。
味方の陣の右方から押し切ってきた、あの赤い眼の戦神が姿を見せるまでは。
今回の戦いには長距離射程の弓を使用している。僕の世界のボウガンをヒントに改良した、反動の強い型の弓を試作していたものが間に合ったんだ。僕が剣を鍛練するかたわらで、開発にも協力していたものがしばらく前に完成していた。
もちろん合戦の鬨の声の後で、白魔法の加護を与えてあるので威力は以前より増して空気を切り裂いて遠くまで飛んでいく。僕は矢が飛んでいく方向を睨みながら、こちらの勢力が押しているのを感じた。
「第一弓隊、後方へ下がれ!」
隊長の号令で20名ほどの弓隊は一斉に前線を離脱した。敵との距離が近くなったので、今度は接近戦が始まる。弓で倒れなかった前線の敵兵を剣で切り崩しながら突き進む騎士や兵士達は、ジュリアンと副団長が率いていた。
副団長が時々投げ込む魔法陣の描かれた球体は、弧を描いて敵陣に落ちると眩しい光を発して視界を奪う様で、動きの悪くなった敵兵の陣を切り込んでいく。そんな味方を指揮するのがジュリアンだった。
僕は第一弓隊の前線離脱と共に、ジュリアンの側に駆け寄った。
「シン タチバナ参りました!」
ジュリアンは僕をチラッと見ると前方を見つめながら言った。
「よく戻った!シンは前方からの矢を防御せよ!」
僕はすぐさま短い返事をするとジュリアンの前方へ出て、ジュリアンの盾となるべく、目と耳を凝らして警戒した。僕の隣には一緒に剣の訓練をした若手の騎士ミックが同様にジュリアンの右方を守っていた。
「2時の方向!」
僕が叫ぶとミックが剣で飛んできた矢を薙ぎ払った。僕は剣を鍛練する際、戦場で護衛が要人の盾となることを知って攻撃が来る方向を示すのに、時計を提案した。分かり易いと評判になった方位時計はあちこちで使われ始めた。
「助かった!」
ミックは矢を薙ぎ払った後、僕に礼を言うと強張った顔を緩めて辺りを見回して叫んだ。
「こちらには白の加護者、シンがついている!勝利を掴もう!」
ミックの声に励まされて、野太い兵士達の鼓舞する雄叫びが響き渡った。
僕はダシに使われてやれやれとも思いながらも、使うものは張りぼての僕だって使うのが戦なんだと身を引き締めた。戦況は我が国の優位に進んでいた。いや、進んでいた筈だった。
味方の陣の右方から押し切ってきた、あの赤い眼の戦神が姿を見せるまでは。
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