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二度目の砦生活
第二王子の思惑
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「殿下、馬と一緒にこやつまで釣れるとは一石二鳥ではありませんか。意識を失う最後まで馬の名を呼んでいるとは、異世界人とは変わってる。ククク。」
私は呑気に笑っているケブラを睨みつけて言った。
「ケブラ、ここに転げ落ちた際にこやつは白魔法を仕掛けようとしておったぞ。気づかなんだか?
油断ならぬ奴だ。…あの筆頭参謀の従騎士だけある。」
私は足元に転がっている黒髪の従騎士を見下ろした。うつ伏せているので顔はよく見えない。
「ケブラ、こやつの顔を見せよ。」
ケブラと兵士が従騎士を両脇を抱えて膝まずかせて、意識の無い奴の顔を上げさせた。
白の従騎士はぐったりとして目を閉じていたが、確かにこの世界にはない風貌だった。従騎士というには華奢な身体つきはそれでもしなやかだった。
「確かに妙にそそられる。まだ目を覚さないだろう。連れて行け。…お前達では白魔法を制御出来ないだろう。私の部屋へ閉じ込めておけ。
ケブラ、ここに作った結界は一度閉めるが、残しておく。向こうからは干渉できぬだろうからな。
あと、先程餌にした馬は大事に管理せよ。白の従騎士にとっての良い切り札になりそうだ。」
そう命じると、私は跪くケブラ達を残して国境砦から踵を返した。
私が白の従騎士の馬のために作った結界罠は、砦近くの荒地だった。
まずは白の従騎士の馬を確保して、それを餌に誘き寄せる作戦だったが、一緒に確保出来るとは運が良い。
馬のために自分の身を犠牲にするとは何て愚かな奴だ。そんな愚かな奴に前回の戦でしてやられたと思うと、ふつふつと怒りが湧いてくる。
私が父、国王に認められる為に一体どれだけの事を成し遂げてきたか…。何もせずとも可愛がられる長兄の皇太子と私にどれ程の違いがあると言うのか。
私は無意識に握りつぶしていた武具を投げ捨てると、従者のハミットに代用品を部屋へ届けるように言いつけた。
ハミットの後ろ姿を一瞥しながら、奴にも傲慢さが見え隠れするようになったと苦い心持ちになった。
王子に媚びへつらう奴らは多かれど、心から付き従う従者など、この国には居ない。少しでも便利に思い仕えさせると、王子の寵愛を受けていると傲慢になっていく。
この国は魔神信仰してるだけあって、人の心まで魔に取り込まれて行くのか。
白の従騎士が仕えているのは、あの筆頭参謀だったか。あの国では騎士と従騎士は互いに一生にひとりだけの関係と聞く。ではあの筆頭参謀は今頃どんな心持ちであろうか。
私は腹の底から湧き上がる楽しさに、久しぶりに胸が晴れる想いだった。
私は呑気に笑っているケブラを睨みつけて言った。
「ケブラ、ここに転げ落ちた際にこやつは白魔法を仕掛けようとしておったぞ。気づかなんだか?
油断ならぬ奴だ。…あの筆頭参謀の従騎士だけある。」
私は足元に転がっている黒髪の従騎士を見下ろした。うつ伏せているので顔はよく見えない。
「ケブラ、こやつの顔を見せよ。」
ケブラと兵士が従騎士を両脇を抱えて膝まずかせて、意識の無い奴の顔を上げさせた。
白の従騎士はぐったりとして目を閉じていたが、確かにこの世界にはない風貌だった。従騎士というには華奢な身体つきはそれでもしなやかだった。
「確かに妙にそそられる。まだ目を覚さないだろう。連れて行け。…お前達では白魔法を制御出来ないだろう。私の部屋へ閉じ込めておけ。
ケブラ、ここに作った結界は一度閉めるが、残しておく。向こうからは干渉できぬだろうからな。
あと、先程餌にした馬は大事に管理せよ。白の従騎士にとっての良い切り札になりそうだ。」
そう命じると、私は跪くケブラ達を残して国境砦から踵を返した。
私が白の従騎士の馬のために作った結界罠は、砦近くの荒地だった。
まずは白の従騎士の馬を確保して、それを餌に誘き寄せる作戦だったが、一緒に確保出来るとは運が良い。
馬のために自分の身を犠牲にするとは何て愚かな奴だ。そんな愚かな奴に前回の戦でしてやられたと思うと、ふつふつと怒りが湧いてくる。
私が父、国王に認められる為に一体どれだけの事を成し遂げてきたか…。何もせずとも可愛がられる長兄の皇太子と私にどれ程の違いがあると言うのか。
私は無意識に握りつぶしていた武具を投げ捨てると、従者のハミットに代用品を部屋へ届けるように言いつけた。
ハミットの後ろ姿を一瞥しながら、奴にも傲慢さが見え隠れするようになったと苦い心持ちになった。
王子に媚びへつらう奴らは多かれど、心から付き従う従者など、この国には居ない。少しでも便利に思い仕えさせると、王子の寵愛を受けていると傲慢になっていく。
この国は魔神信仰してるだけあって、人の心まで魔に取り込まれて行くのか。
白の従騎士が仕えているのは、あの筆頭参謀だったか。あの国では騎士と従騎士は互いに一生にひとりだけの関係と聞く。ではあの筆頭参謀は今頃どんな心持ちであろうか。
私は腹の底から湧き上がる楽しさに、久しぶりに胸が晴れる想いだった。
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